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東北地方の梅雨 次のステージへ

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
6月2日~7月1日の30日間の降水量平年比(気象庁ホームページより)

前線の影響を受けにくかった6月

 きのう、仙台管区気象台から、6月の東北地方の天候のまとめが発表されました。

 大まかに言うと「高温・多照・少雨」の6月でした。

 東北地方の月平均気温は、平年より2.1℃高く、1946年の統計開始以来、最も高くなりました。それに比例するように、日照時間は、東北北部で平年の115%、東北南部で123%と多く、降水量は、東北南部で67%と少なくなりました。仙台では月降水量の合計が43.5ミリと、平年の30%ほど。1927年の統計開始以来、最も少なくなりました。

 まず「高温」については、太平洋高気圧が日本の南で西へ張り出し、高気圧の縁を回って南から暖かい空気が流れ込みやすかったことが原因です。「多照・少雨」については、梅雨前線が本州の南海上に停滞することが多く、その影響を受けにくかったことが原因として挙げられます。

6月の大気の流れ(仙台管区気象台ホームページより)
6月の大気の流れ(仙台管区気象台ホームページより)

梅雨は次のステージへ 大雨に注意を

 下は、東京と仙台の16日先までの予報です。

 東京は、降水の可能性を示す黒い雲マークは目立つものの、全体的には晴れ間の出る日が多い予想となっています。きょう発表された1か月予報によると、関東甲信地方は、2週目以降(7月11日~)、前線の影響を受けにくくなる見込みで、それともおおむね合致します。

 関東で雨が降りにくくなるということは、前線が北に上がり、東北地方にかかりやすくなるということです。1か月予報では、東北地方の降水量は、日本海側で「多い」、太平洋側で「平年並みか多い」予想です。梅雨は、次のステージに入りつつあることを示しています。

東京の16日先までの予報(ウェザーマップ提供)
東京の16日先までの予報(ウェザーマップ提供)
仙台の16日先までの予報(ウェザーマップ提供)
仙台の16日先までの予報(ウェザーマップ提供)

 これまで雨が少なかった東北地方でも、今後は雨が降りやすくなる見込みです。また、気温は今後も高めの予想で、南から暖かく湿った空気が流れ込みやすくなります。そうなれば、前線の活動が活発になり、大雨になるおそれも出てくるわけです。

 もしもの時に備え、いま一度、ハザードマップなどで、危険な場所や避難場所を確認しておきたいところです。

気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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