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持続型寒気で東北地方は厳しい寒さに

平野貴久気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
この先一週間の予想気温(ウェザーマップ)

 この冬、宮城県では、寒くはなっても、その寒さが長く続かないという印象があります。下の図は、1月1日~2月6日までの仙台の最高気温をグラフにしたものです。青が平年、オレンジが今年の最高気温を表しています。見ていただくとわかるように、時々、平年を下回る寒さになりますが、またすぐに気温が高くなり、寒さが持続していないことがわかります。ただ、あす8日(金)以降は、“安定した寒さ” がしばらく続く見込みです。

仙台の最高気温の変化(筆者作成)
仙台の最高気温の変化(筆者作成)

極渦(きょくうず)の南下

1月31日発表の1か月予報(気象庁ホームページ)
1月31日発表の1か月予報(気象庁ホームページ)

 寒さは、前回(1月31日発表)の1か月予報ですでに予測されていました。2月9日~15日にかけて、気温が「低い」確率が、北海道は60パーセント、東北地方は50パーセントと、高い確率になっています。

 この原因とされたのが「極渦(きょくうず)」です。極渦とは、北極の上空に形成される寒冷で大規模な低圧部のことで、偏西風の蛇行に伴い、分裂したり、南下することがあります。ニュースでも話題になった、カナダからアメリカ北部の記録的な低温も、この極渦によるものです。これと同様のものが、北海道や東北地方の上空にも南下して、寒くなるというわけです。

上空5500メートル付近の寒気(ウェザーマップ)
上空5500メートル付近の寒気(ウェザーマップ)

今回の寒さは長期戦

 今回の寒さは、すぐには終わらず、持続するというのが特徴です。

 今月はじめに流れ込んできた寒気は、どちらかというとシャープな入り方をしていました。いわば、寒気のおこぼれをもらったような形で、こういう寒気は長続きしません。しかし今回は、寒気の芯の太い部分がそのまま流れ込み、鍋底のような形になっています。このような寒気はすぐには抜けていかず、長続きします。

 北海道では-30℃を下回る所も出てくることでしょう。東北地方も-10℃はざらにある。そんな厳しい寒さに見舞われそうです。

 なお、今回の寒さも北日本限定といえます。西日本まで顕著な低温に見舞われることはなさそうです。

上空1500メートル付近の寒気(ウェザーマップ)
上空1500メートル付近の寒気(ウェザーマップ)
気象解説者/気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

1980年愛知県生まれ。大学では気象学を専攻。卒業後は番組制作会社でリサーチャーとして活動。メディアを通じて自ら気象情報を発信したいという思いから、2009年に気象予報士の資格を取得。2012年から宮城県の仙台放送にて気象キャスターを務める。現在「仙台放送 Live News it!」出演中。予報はもちろんのこと、これまで宮城県内さまざまな場所を取材した経験から見えてくることなども発信できたらと思います。

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