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なぜ3月は離婚ラッシュ?幸せな新生活を迎えるための離婚準備のポイントとは【弁護士が解説】

後藤千絵フェリーチェ法律事務所 弁護士
(写真:アフロ)

1 はじめに

3月は1年を通じて離婚が最も多い月です。離婚のハイシーズンと言っても過言ではありません。

実際に厚生労働省のデータ(※1:人口動態統計速報)を見ても、3月の離婚件数が最も多いことが確認できます。

私は、兵庫県西宮市で家事事件を中心に扱う法律事務所を経営している弁護士ですが、3月は離婚の成立はもちろんのこと、離婚相談も他の月より断然多くなります。

3月に離婚が多い理由としては、お子さんを連れて離婚される方が学年の変わる前に離婚したいと考えるため、つまりお子さんの環境が変わることに対する配慮が一番の理由のように感じます。

また、4月(新年度)に向けて気持ちを新たにし、再出発を図りたいと考える人も多くいるのではないでしょうか。

今回は、幸せな新生活を迎えるための離婚準備のポイントを解説します。

離婚をする際に改めて見直したいポイントは大きく分けて2つあります。

簡単に言えば、「子供のこと」「お金のこと」

順を追って、ご説明していきましょう。

2 子供のこと

写真:アフロ

離婚する際に改めて見直したいポイントとしては、まずは親権に関することが挙げられます。

離婚後、父母双方に親権を認める共同親権の導入を盛り込んだ民法改正案が衆院本会議で審議に入ったことが話題となっています。

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240308/k10014383101000.html

成立すれば2026年にも共同親権が導入される可能性があるため、これからは共同親権を見据えてお子さんの親権を決めていくことが重要となってくるでしょう。

ポイントは、子供の生活の安定を最優先するということ。

離婚しても子供にとっては父親、母親であることは変わりません。

親のエゴを優先するのではなく、子供の幸せを第一に考え、子供の将来を見据えて夫婦で話し合いをすることが今後ますます必要になってくると思われます。

両親の離婚は、子供にとって大きな環境の変化を伴う出来事であり、大人が考えている以上に不安になっているものです。

子供の気持ちに最大限に配慮し、少しでも不安を少なくすることが親の義務でもあります。

離婚後の生活や、離れて暮らす親にも会えることをきちんと説明して、不安を取り除くようにすることが大切です。

子供に関することとしては、養育費の問題も避けて通れません。

現在、養育費を受け取れている割合は、母子家庭で28.1%、父子家庭では8.7%となっており、半数以上のひとり親家庭が養育費を受け取れていない状況となっています。(https://www.moj.go.jp/content/001388754.pdf

今回の改正案には、養育費の取り決めがなくても別居親に最低限の支払いを義務付ける「法定養育費」の創設も盛り込まれています。

養育費未払い問題が少しでも解消することが期待されますが、まずは養育費について夫婦でしっかり話し合いをし、できるだけ具体的に取り決めておきましょう。

養育費の金額は、家庭裁判所が出している「養育費算定表」を参考にするとよいでしょう。

支払いの終期についてもきちんと決めておき、できれば公証役場で公正証書にしておきましょう。

養育費は子供の権利でもあります。

未払いの場合には強制執行ができるように、面倒でもしっかりと決めておくことが大事です。

3 お金のこと

離婚後の生活設計を立てるためには、財産分与の知識も必要となってきます。

写真:イメージマート

婚姻期間中に夫婦で協力して築いた財産は、原則として2分の1ずつ分け合うことになります(「2分の1ルール」と言います)。

離婚する際のポイントとしては、配偶者に隠し財産がないかをできるかぎり調べた方がいいということです。

というのも、依頼者の方が最後によく言われるのが、「相手にまだ隠し財産があったのではないかと離婚後までモヤモヤしたくなかった」「きちんと調べないと絶対に後悔すると思った」「財産が明らかになって、きっちり半分にできて、すっきりしました。これで再出発ができます」という言葉だからです。

財産分与の対象となる財産としては、主に以下のものが挙げられます。

リストにしてチェックするとよいでしょう。

・現金や預貯金
・不動産
・株式
・退職金
・保険
・年金
・車、家財道具

離婚後に隠し財産が発覚した場合は、離婚後2年以内であればその分の財産分与の請求ができる場合もありますので、専門家に相談することをおすすめします。

4 おわりに

最近では、結婚生活に区切りをつけて新たな門出を祝うセレモニーとして「離婚式」が提案されているそうです。

写真:イメージマート

お互いが納得して離婚し、知人や友人を集めて「離婚式」ができる関係を築くことができれば、前述の共同親権や養育費未払いの問題もおのずと円満解決できるのではないかと思います。

2023年の離婚件数は18万7798組であり、前年度より4695組(2.6%)増加しています(※2)。

離婚は珍しいことではなくなり、また特別に不幸な出来事でもありません。

離婚は人生の転換期であることは確かですが、離婚によって人生を良い方向にリセットされる方も沢山おられます。

そのような方に共通して言えるのは、離婚をマイナスととらえずに人生やり直しのチャンスと前向きにとらえていること、そして離婚の準備をしっかりとされていることです。

自分一人では難しい場合は、専門家の力も借りながら、納得できる離婚ができるように準備をすることをおすすめします。

※1、※2

https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/s2023/12.html

フェリーチェ法律事務所 弁護士

京都生まれ。大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に入社するも、5年で退職。大手予備校での講師職を経て、30歳を過ぎてから法律の道に進むことを決意。派遣社員やアルバイトなどさまざまな職業に就きながら勉強を続け、2008年に弁護士になる。荒木法律事務所を経て、2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所設立。離婚・DV・慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流・相続問題など、家族の事案をもっとも得意とする。なかでも、離婚は女性を中心に、年間300件、のべ3,000人の相談に乗っている。

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