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20代の支出を抑えるための節約術の実情をさぐる(2024年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
マイボトルの持参も節約術の一つ(写真:アフロ)

欲しいもの、したいことを現実のものとするためには、相応のお金が必要となる。しかしお金は無尽蔵に湧いてくるわけではなく、夢をかなえるためには節約が不可欠なものとなる。特に年配者と比べて稼ぎが少ないであろう若年層では、夢の実現には不可欠といえる支出を抑えるために、どのような節約術を用いているのだろうか。今回はSMBCコンシューマーファイナンスが2024年1月に発表した調査結果「20代の金銭感覚についての意識調査2024」(※)から、20代における支出を抑えるために取り組んでいる節約術の実情を確認する。

次に示すのは今調査対象母集団における、支出を抑えるために取り組んでいる節約術を複数回答で尋ねた結果。もっとも多くの人が取り組んでいるのは「貯めたポイントを利用する」で56.0%と、過半数の人が実施している計算となる。

↑ 節約のために行っていること(20代、複数回答、上位陣、男女別)(2023年)
↑ 節約のために行っていること(20代、複数回答、上位陣、男女別)(2023年)

多くのお店ではカードやスマートフォン用アプリに会員登録し、買い物の際にそれを提示することで買い物額に応じたポイントを貯めることができる仕組みが用意されている。そしてそのポイントは、そのお店(チェーン店)での買い物の時に、割引に使えるようになっていることが多い。買い物の時には欠かさずポイントを貯めておき、必要な時にポイントで割引してもらうことにより、実質的な支払い金額を押し下げようというものだ。実際には買い物時に発生するポイントは割引の予約に過ぎないのだが。また、クレジットカードの利用金額に応じて得られるポイントを使い、色々な買い物をするケースも考えられよう。

次いで多いのは「クーポンを利用」で43.0%。お店で配布されたり、スマートフォン用アプリで提供されるクーポンを使い、少しでも割引をしてもらうというもの。期間・対象限定のことが多いが、使えるものは何でも使い、少しでも値引いてもらうことは悪い話ではない。実のところクーポンはお店側にとっては「割引するなら足を運んでみようか」と考えるお客を期待する、集客アイテムなのだが。

「外食控え」「マイボトルを持ち歩き」「徒歩や自転車で移動」のような、誰にでも容易にできる節約術も顔を見せている。最近は200円や300円の商品も増えて少額小物店的な装いになっている「100円ショップを利用」は27.7%。

聞きなれない言葉かもしれない「プチプラコスメを利用する」「プチプラ服を着る」も上位にきている。「プチプラ」とは「プチ(小さな)プライス(価格)」の略で、お値打ち価格のことを指すが、女性用の服飾品に対して使われることが多い。単に安いのみではなく、「安くてかわいい」「安くて容易に手に入る」などの意味合いを持つ。例えばしまむらやユニクロのようなブランドの商品が例に挙げられよう。また100円ショップでも女性向けコスメが充実しているお店もあり、これもプチプラとして認識されている。

男女別に見ると、「徒歩や自転車で移動」「外出控え」「フリーWi-Fiを利用」以外の全部の項目で、男性よりも女性の方が高い値を示しており、女性は男性より積極的に節約に取り組んでいるようである。「プチプラ服を着る」「プチプラコスメを利用する」で女性の値が圧倒的に男性より多いのは当然としても、多くの項目で10%ポイント以上の大きな差が出ているのは、少々驚きを覚えるかもしれない。

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※20代の金銭感覚についての意識調査2024

2023年12月13日から15日にかけて、携帯電話を用いたインターネット経由で20代男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女・20代前半と後半の区切りで均等割り当て。未婚者826人、既婚者174人。調査協力機関はネットエイジア。

今調査における「年収」とは特に設問中で定義がされていないため、世間一般に認識されている通り、手取り(所得)ではなくサラリーマンなどなら天引きされている税金や社会保険料を含めた金額を意味するものとする。また、世帯「主」年収ではなく、世帯年収であることに注意。回答者が所帯持ちだった場合、配偶者の収入も合わせてカウントされる。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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