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LINEは94.0%が利用中…主要なソーシャルメディアなどの利用状況の変化

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
暇さえあればソーシャルメディア。利用実情は(写真:アフロ)

この数年でコミュニケーションの様式を大きく変化させた要因の一つに挙げられるのがソーシャルメディア。スマートフォンと相互作用する形で普及率はうなぎのぼりとなり、さまざまな社会・経済方面にも影響を与えている。今回は総務省情報通信政策研究所が2023年6月に発表した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)などの調査結果を基に、複数年にわたる主要ソーシャルメディアなどの利用状況を確認する。

まずはLINE。

↑ ソーシャルメディア利用状況(LINE、属性別)
↑ ソーシャルメディア利用状況(LINE、属性別)

若年層、特に10代から20代の利用率が高い。学生・生徒(中学生から大学生)は2013年ですでにほぼ3/4の利用率に達している。同時期にはスマートフォンの普及も急速に進んでいることから、スマートフォンの利用とLINEが一体化したかのような連動性を示していることが理解できよう。

直近の2022年ではむしろ先行して普及した若年層などの属性は頭打ちの状態で、50代以上にまで浸透が進み始めている。10代の値がやや大人しめだったが、これはLINEを使える機種そのものを持っていない人がいたため。しかし2019年では大きく伸び、20~30代とほぼ変わりない値となった。2022年では20代と比べてほんのわずか少ない程度。他方、30代から50代における2014年以降の急増ぶりは、子供との連絡用として導入したことも十分考えられる。直近年では50~60代の伸び方がやや大きめ。

続いてFacebook。

↑ ソーシャルメディア利用状況(Facebook、属性別)
↑ ソーシャルメディア利用状況(Facebook、属性別)

2014~2015年をピークとする形で、それ以降10~30代では利用率が落ちる傾向が見受けられる。若者のFacebook離れとの表現はあまりにも陳腐すぎるが、数字はそれを裏付けている。

直近の2022年では前年比で30代と学生・生徒において増加、それ以外の属性での減少が確認できる。特に女性や10~20代の減少はほぼ継続的で、不安を覚えさせるものがある。X(Twitter)やLINEなどにシフトしているのだろうか。一方で40代が増加の動きを示しているが、こちらは仕事上の関係で使うからかもしれない。

X(Twitter)はFacebookよりもやや若者よりな状態。

↑ ソーシャルメディア利用状況(X(Twitter)、属性別)
↑ ソーシャルメディア利用状況(X(Twitter)、属性別)

少しずつ利用率が高まる形。30~50代では2017年から2018年にかけて大きな増加が見られる。

直近の2022年で前年比を見ると、10代と学生・生徒で大きな減少が確認できる。未成年者などが距離を置きたがるような動きがあったのだろうか。一方で60代は顕著な増加を示している。

最後はmixi。

↑ ソーシャルメディア利用状況(mixi、属性別)
↑ ソーシャルメディア利用状況(mixi、属性別)

上記3ソーシャルメディアとはおおよそ逆、昔から今に連れて利用率が減少する動きを示している。特に2013年から2015年にかけて若年層、具体的には10~30代、学生・生徒の減り方が著しく、とりわけ10代と学生・生徒では半分以下にまで落ち込んでいる。同時期にLINEが急速に伸びた動きを示していることを併せ考えると、相関関係からの推論でしかないが、多分のmixi若年層利用者がLINEに流れたと見ても不思議ではない。

全体では2013年から2022年にかけて利用者は1/6ぐらいにまで減少してしまっている。直近では最多利用年齢階層は30代、次いで10代となっている。

一応経年変化としてのデータは11年分存在するが、グラフ上では直近10年分を確認した。インターネットサービス系のすう勢は流れが速く、この10年の間に大きな変化が生じているものもある。今後、さらなる明らかな結果(サービスの閉鎖など)が出てしまう可能性も否定できない。

特にこの数年は、ソーシャルメディアのすう勢が大きく動いた期間ではある。色々な意味で、納得のいく動きを示していることには違いない。

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【Facebook・LINE・Twitterの利用状況を詳しくさぐる(2019年公開版)】

※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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