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固定電話は平日では10代0.7%・20代0.2%のみ…コミュニケーション系メディアの利用状況

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
業務でならともかく自宅ではあまり見られなくなった固定電話だが(写真:イメージマート)

10代の固定電話利用率、平日では0.7%

インターネットの普及と技術の進歩に伴い、コミュニケーションの形も通話からデジタルに、そしてデジタル内でも電子メールからソーシャルメディアへと、その利用頻度や注力度合いはシフトしつつある。利用のしやすさ、気兼ねの度合い、融通の利き易さなどでメリットが多い手段の方が多く使われるのは当然の成り行きだからだ。今回は総務省が2023年6月に情報通信政策研究所の調査結果として公開した「令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、個人が意思疎通のために用いるメディアの利用状況について確認をする。

次に示すのは平日におけるコミュニケーション系メディアの行為率。要はどの程度利用されているか。例えば10代のソーシャルメディアの値は60.0%とあるので、10代の6割は平日において、ソーシャルメディアを使ってコミュニケーションをしていることになる。また、これらのツール以外にもコミュニケーション手段は存在する。

↑ コミュニケーション系メディアの行為率(平日)(2022年)
↑ コミュニケーション系メディアの行為率(平日)(2022年)

全体ではほぼ5割がソーシャルメディアを利用している。次いで電子メール、携帯電話(通話)と続く。固定電話(通話)、インターネット通話(Skype、LINEなどの音声通話(ビデオ通話含む))の行為率が低めなのは、利用ハードルが高いことに加え、導入者が少ないことも一因として挙げられる。当事者が導入していても、意思を伝えたい相手の環境が整っていなければ、意思疎通の手段としての利用は不可能。

年齢階層別に見ると、コミュニケーション系メディアの年齢階層間格差、様態の違いの大きさが改めて認識できる。10代はソーシャルメディアが一番多く、そこから随分と値を落とす形で電子メールが続き、インターネット通話と携帯電話(通話)がどうにか顔をみせる。固定電話(通話)は0.7%。インターネット通話同様、固定電話(通話)もまた、利用する機会が無い以外に電話機そのものが無い人も多分にいるのだろう(就業者ならば勤め先で利用する機会はあるが)。

20代になると電子メールの行為率も上がるが、まだソーシャルメディアの方が行為率は上。しかも10代以上に使われている。そして固定電話(通話)は0.2%でしかない。

30代でもまだソーシャルメディアの方が電子メールよりも行為率は上だが、40代以降は順位が逆転し、ソーシャルメディアは漸次減っていく。興味深いのは携帯電話(通話)の行為率が30代以降はほぼ2割近くで安定していること。中年層だけでなく高齢層においても、携帯電話を介した通話の手法は十分に普及している、むしろ重要視されていることを意味している。また、高齢層ではデジタル系でも電子メールはそれなりに使われており(60代でも過半数)、注目に値する。

休日の実情は

今件は休日でも調査が行われ、結果が公開されている。そこで休日の動向と、さらに平日との差異を算出した結果をグラフ化する。

↑ コミュニケーション系メディアの行為率(休日)(2022年)
↑ コミュニケーション系メディアの行為率(休日)(2022年)

↑ コミュニケーション系メディアの行為率(休日における平日との差異、ppt)(2022年)
↑ コミュニケーション系メディアの行為率(休日における平日との差異、ppt)(2022年)

減少度合いに違いはあるが、全般的にどのメディアでも休日は平日と比べると減少している。本来なら一部メディアでは平日に利用できなかったメディアを休日に使うために増える傾向があるのだか、2022年に限ればその動きは見られない。新型コロナウイルスの流行で平日でも在宅就学・就業となる人が多くなり、生活の上で平日と休日の差異が見出しにくくなった上で、休日はむしろ他人とのコミュニケーションを抑えようとする動きが生じたのかもしれない。とはいえ、ソーシャルメディアはわずか0.1%ポイントの減少にとどまっているが。

一方、電子メールの落ち込み度合いは大きいものとなっているが、これは平日の利用が仕事によるもの、または仕事用の端末を使っていたことを示唆する動きと考えられる。仕事では電子メールで連絡をするため利用することになるが、プライベートでは使わないために行為率がその分落ちる次第である。

今後さらなるスマートフォンの普及に伴い、ソーシャルメディアを中心とした、コミュニケーションツールのデジタルへのシフトが進むことは間違いない。それに連れてコミュニケーション全体の増加もまた、推し進められていくのだろう。

■関連記事:

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※令和4年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

今調査は2022年11月5日から11月11日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳~69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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