Yahoo!ニュース

ミネラルウォーターやカップ麺はどの地域で買われているのか大検証(2023年版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
ミネラルウォーターはどの地域でよく買われているのだろうか(写真:イメージマート)

1923年9月1日に発生した関東大震災を受け、9月は防災月間と定められている。災害に備えて用意されることが多い非常食の中でもすぐに思い浮かぶ、ミネラルウォーターやカップ麺だが、これらの購入はどの地域で盛んなのだろうか。少々タイミングとしては遅くなってしまったが、総務省統計局の家計調査の結果を基に確認する。

まずは直近となる2022年におけるミネラルウォーターやカップ麺の都道府県別支出金額の実情。対象となるのは総世帯(単身世帯と二人以上世帯の合計。要は全部の世帯)で、年間の支出金額。例えば2022年のカップ麺は全国で4622円とあるので、1世帯あたり全国の総世帯では年間で平均4622円分のカップ麺を購入していることになる。

↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)
↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)

↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)
↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、円)(2022年)

カップ麺で最大の支出金額を示したのは長野県の6775円。突出した値を示しているが、直接的な原因は見当たらない。2022年に長野県で大規模な台風などの自然災害が発生していれば、カップ麺を普段の食事として買わざるを得なくなったケースが生じたり、防災意識の高まりによる需要の拡大が生じた結果が推定できるのだが。

それ以外では特段地域別の傾向だった動きは見当たらない。北日本や東日本の日本海側で多いように見受けられる程度。特定地域に限れば、東京都で3774円と全国平均よりも低い支出金額にとどまっているのが意外ではある。一方大阪府では4657円と、全国平均とほぼ同じ支出金額となっている。

ミネラルウォーターは群馬県が5917円ともっとも高く、次いで山口県の5377円、沖縄県の5286円と続く。群馬県利根郡みなかみ町に2022年3月にJR東日本クロスステーションがミネラルウォーターの新工場の稼働開始をしており、これが影響した可能性がある。また沖縄県については、水道水に消毒として使われるカルキ臭が強いことから、ミネラルウォーターの需要が高く、相場も安いのが原因のようだ。

地域別動向としては関東、東海、四国にやや高めの値が出る傾向があるように見える。東海で多めなのは、ミネラルウォーターの名産地が多いのも一因かもしれない。

よい機会でもあるので、取得可能な最古の値となる2005年分と直近値の2022年分との比較を行う。

↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2022年ヘの増減比)
↑ ミネラルウォーター支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2022年ヘの増減比)

↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2022年ヘの増減比)
↑ カップ麺支出金額(総世帯、都道府県別、2005年から2022年ヘの増減比)

ミネラルウォーターもカップ麺も普段の食生活の中で使う機会が増えているようで、全国平均はもちろん、ほとんどの地域でプラスの値を示している。カップ麺では長野県のプラス161.0%と沖縄県のプラス160.9%が際立っている。一方で、東日本大震災で大きな被害を受けた被災3県(岩手県、宮城県、福島県)は特別な増加ぶりを示していないのは意外なところ(福島県がプラス106.8%と、やや大きめというところか)。防災意識の高まりから、備蓄品としてのカップ麺の需要が大いに増えるようにも思えたのだが。

ミネラルウォーターでは群馬県のプラス508.7%が際立つ増加ぶり。次いで三重県のプラス240.0%が続く。地域別の傾向としては関東で伸び率が鈍い、東北や中部、近畿で安定した伸び方が見られるなどが挙げられよう。前者については元々多くの人が普段の食生活の中で使っていたからだろうか。後者は台風などによる災害への備えの意識が高まったのも要因かもしれない。

ミネラルウォーターもカップ麺も、ある程度日持ちのする食品に違いない。普段の食生活の中で使う機会が増えたとしても、その特徴に変わりはない。ある程度まとめ買いをして、古いものから食べ、食べた分だけ新しく買い足すことで、実質的に備蓄非常食として使うこともできる。

普段の食生活の中で使う機会が増えたミネラルウォーターやカップ麺について、少々購入・消費の仕方を変えることで、備蓄非常食としての役割も担わせることができる点は、覚えておいた方がいいだろう。

■関連記事:

【震災前後で大きく変わる地震への備え実行率、既婚女性・子供持ちは特に高い傾向】

【習慣的に中食をしている人はほぼ8割・よく使っているものは冷凍食品(最新)】

(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は 【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事