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LINEは92.5%が利用中…主要なソーシャルメディアなどの利用状況の変化

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
暇さえあればソーシャルメディア。利用実情は(写真:アフロ)

この数年でコミュニケーションの様式を大きく変化させた要因の一つに挙げられるのがソーシャルメディア。スマートフォンと相互作用する形で普及率はうなぎのぼりとなり、さまざまな社会・経済方面にも影響を与えている。今回は総務省情報通信政策研究所が2022年8月に発表した「令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)などの調査結果を基に、複数年にわたる主要ソーシャルメディアなどの利用状況を確認する。

まずはLINE。

↑ ソーシャルメディア利用状況(LINE、属性別)
↑ ソーシャルメディア利用状況(LINE、属性別)

若年層、特に10~20代の利用率が高く、2012年から2013年にかけて急速に普及が進んだようすが分かる。特に学生・生徒(中学生から大学生)では2012年の時点ですでに45.3%が利用しており、2013年ではさらに30%ポイント近い増加を示して3/4の利用率に達している。ほぼ同時期にはスマートフォンの普及も急速に進んでいることから、スマートフォンの利用とLINEが一体化したかのような連動性を示していることが理解できよう。

直近の2021年ではむしろ先行して普及した属性は頭打ちの状態で、50代以降にまで浸透が進み始めている。10代の値がやや大人しめだったが、これはLINEを使える機種そのものを持っていない人がいたため。しかし2019年では大きく伸び、20代や30代とほぼ変わりない値となった。2021年ではほぼ前年の2020年の値と変わらず、むしろ少々減少してしまっているほど(誤差の範囲だろう)。他方、30代から50代における2014年以降の急増ぶりは、子供との連絡用として導入したことも十分考えられる。直近年では50代と60代の伸び方が著しい。

続いてFacebook。

↑ ソーシャルメディア利用状況(Facebook、属性別)
↑ ソーシャルメディア利用状況(Facebook、属性別)

LINEほどではないが、やはり2012年から2013年に大きな飛躍が確認できる。もっとも20代から50代のような就業者の範ちゅうでの伸びが著しく、学生・生徒や10代では大きな増加が無いことから、ビジネス的な利用目的で始めた人が多かったようだ。ところが2014~2015年をピークに、10~30代では利用率が落ちる傾向が見受けられる。若者のFacebook離れとの表現はあまりにも陳腐すぎるが、数字はそれを裏付けている。

直近の2021年では前年比で男性、20代と40~50代において増加、60代では変わらないものの、それ以外の属性での減少が確認できる。特に女性や30代の減少は継続的で、不安を覚えさせるものがある。社会人になってからTwitterやLINEなどにシフトしているのだろうか。一方で40代が増加を続けているが、こちらは仕事上の関係で使うからかもしれない。

TwitterはFacebookのやや若者よりな状態。

↑ ソーシャルメディア利用状況(Twitter、属性別)
↑ ソーシャルメディア利用状況(Twitter、属性別)

2012~2013年の大きな動きは10~20代で顕著だが、それ以外の属性では見られない。少しずつ利用率が高まる形。

直近の2021年で前年比を見ると10~20代、60代、学生・生徒で天井感が見られるが、それ以外のおおよその属性で小さからぬ増加を示している。

最後はmixi。

↑ ソーシャルメディア利用状況(mixi、属性別)
↑ ソーシャルメディア利用状況(mixi、属性別)

上記3ソーシャルメディアとはおおよそ逆で、昔から今に近づくに連れて利用率が減少する動きを示している。特に2012年から2013年にかけて若年層、具体的には10~20代、学生・生徒の減り方が著しく、とりわけ10代と学生・生徒では半分以下にまで落ち込んでいる。同時期にLINEが急速に伸びた動きを示していることを併せ考えると、相関関係からの推論でしかないが、多分のmixi若年層利用者がLINEに流れたと見ても不思議ではない。

全体では2012年から2019年にかけて利用者は1/4ぐらいにまで減少。10代に限れば5%程度にまで減ってしまっている。60代はここ数年で増加の動きがあるが、それでも1割にも満たない。増加傾向にあった40~50代や学生・生徒ですら、ここ数年では減少している。直近では最多利用層は30代、次いで20代となっている。

今調査は現時点で10年分しか該当データを抽出できないため、ぶれが生じている可能性は否めない。明確な変動傾向はあと数年調査結果の蓄積が欲しいところだが、インターネットサービス系のすう勢は流れが速く、調査データが蓄積される前に明らかな結果(サービスの閉鎖など)が出てしまう可能性すらある。

とはいえこの数年は、ソーシャルメディアのすう勢が大きく動いた期間でもある。色々な意味で、納得のいく動きを示していることには違いない。

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※令和3年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2021年11月30日から12月6日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォータサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳の1500サンプルを対象としたもの。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。

調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが確認できるが、これについて報告書では「経年での利用時間などの変化については、調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きを入れている。さらに2020年分の調査については「令和2年度調査は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、11都府県を対象とした緊急事態宣言下で行われたものであることにも留意が必要」との補足があった。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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