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熱中症での救急搬送人員数は1週間で513人(2022年9月26日~10月2日)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
もう秋の気配を覚える時期だが、熱中症への注意は必要(写真:アフロ)

・直近週における熱中症による救急搬送人員数は513人(2022年9月26日~10月2日)。

・年齢階層別では乳幼児が1.9%、少年が16.6%、成人が30.8%、高齢者が50.7%。

・地域別では愛知県の34人がもっとも多く、次いで大阪府の33人、沖縄県の29人。

総務省消防庁は2022年10月4日、同年9月26日~10月2日の1週間における熱中症による救急搬送人員数が513人(速報値)であることを発表した。消防庁が確認している今年の累計人員数は7万1381人(速報値)となっている。初診時に熱中症を起因とする死亡者は1人が、3週間以上の入院加療が必要な重症判定を受けた人は5人が確認されている。なお前年2021年の同時期における熱中症による救急搬送人員数は313人(確定値)で、今回週の人員数はそれと比べると200人多い。

↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位、速報値、人)(2022年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(週単位、速報値、人)(2022年)

↑ 熱中症による救急搬送状況(速報値、人)(2022年9月26日~10月2日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(速報値、人)(2022年9月26日~10月2日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分比率)(2022年)
↑ 熱中症による救急搬送状況(年齢区分比率)(2022年)

2022年6月7日付で政府は「2022年度の電力需給に関する総合対策」を決定、2015年度以来7年ぶりに家庭や企業に対しる節電の要請を決定した。期間は2022年7月1日から9月30日までで、特に太陽光発電による出力が減り電力需給が厳しくなると予想される17時から20時までの節電を呼び掛けている(【経済産業省:2022年度の電力需給に関する総合対策を決定しました】)。東日本震災から11年が過ぎた今なお、電力需給の観点で不安な状況が継続している。

また2022年2月時点で気象庁が発表した最新の暖候期予報では、平均気温は平年と比べてやや高め(北・東・西日本で高い確率50%、沖縄・奄美地方で高い確率40%)との話だった。熱中症リスクの観点では要注意な状況と判断できる。さらに今年は昨年に続き新型コロナウイルスの流行が継続中で、マスク着用を求められる場面が多いことから、熱中症には一層の注意が必要となる。

↑ 暖候期予報(夏(6~8月)の平均気温・降水量)(気象庁、2月時点)
↑ 暖候期予報(夏(6~8月)の平均気温・降水量)(気象庁、2月時点)

消防庁では例年と同じように熱中症による救急搬送人員数の調査とその結果報告について、5月初日が含まれる週の月曜となる4月25日から開始する形で、逐次報告を行うことを2022年4月18日の時点で発表している。

今回発表された各種値は今年の分としては第23週目のものとなる。現時点では速報値であり、今後逐次確定値に切り替えられることになる(確定値は速報値よりもいくぶんの増加が生じることが多い)。

地域別では愛知県の34人をはじめ、大阪府の33人、沖縄県の29人などが人数の上で上位につけている。人数で見ると人口密集地帯に多い感はある。

↑ 東京都の天候と最高気温(度)(2022年9月26日~10月2日)
↑ 東京都の天候と最高気温(度)(2022年9月26日~10月2日)

↑ 大阪府の天候と最高気温(度)(2022年9月26日~10月2日)
↑ 大阪府の天候と最高気温(度)(2022年9月26日~10月2日)

↑ 熱中症による救急搬送状況(救急搬送人員数上位都道府県、人)(2022年9月26日~10月2日)
↑ 熱中症による救急搬送状況(救急搬送人員数上位都道府県、人)(2022年9月26日~10月2日)

↑ 熱中症による救急搬送人員数(都道府県別、人)(2022年9月26日~10月2日)
↑ 熱中症による救急搬送人員数(都道府県別、人)(2022年9月26日~10月2日)

消防庁では今件熱中症の救急搬送者の統計ページにおいて、熱中症対策のリーフレットを配布している。また、関連省庁の熱中症に係わるページへのリンクも配し、さまざまな官公庁の対策状況や情報を確認できる。各自治体でも情報提供を展開中(一例:【熱中症に気をつけましょう(横浜市 健康福祉局)】)。

↑ 熱中症の応急手当。消防庁配布による熱中症対策のリーフレットから抜粋
↑ 熱中症の応急手当。消防庁配布による熱中症対策のリーフレットから抜粋

すでに暦の上では10月に入り、本格的な秋模様を覚える日々が続いている。消防庁の熱中症による救急搬送人数の発表も今年分は今回が最後となる。熱中症のことなど過去のものだとの認識もされつつあるが、自分自身だけでなく周囲の人も含め、油断は禁物。特に子供の集団行事では大人たちによる、子供に無理をさせない姿勢と十分な注意が欠かせない。引き続き知識、ノウハウを再確認し、自身の体力を過信せずに、さらには周囲への配慮も怠らず、熱中症への備えを心掛けてほしいものだ。

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(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)地域別天候と気温のグラフにおける気温の文字の色で、赤文字は真夏日(日中最高気温が30度以上)、赤文字・枠囲みは猛暑日(日中最高気温が35度以上)を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース(メディカル)】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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