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男性28.3%、女性17.8%…生涯未婚率の現状と今後(2022年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
一人暮らしを堪能する女性。このままの生活を続けるのか否か(写真:イメージマート)

男女の未婚状況を示す指標の一つに「生涯未婚率」がある。特定年齢層の未婚率から算出したものだが、この値は増加の傾向にある。その現状と今後の予想値を、直近となる2020年分の国勢調査の結果や、2022年7月に内閣府から発表された「少子化社会対策白書」を基に確認する。

「生涯未婚率」は言葉通り、その時点において今後一生涯結婚しないであろう人の割合を示す。生涯を通して実際に未婚だった人の割合ではないことに注意。死別や離別などの理由で配偶者と別れた結果として現在は独身の人もまた「未婚」には該当しない。公益財団法人生命保険文化センターの解説によると、

「45~49歳」と「50~54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率(結婚したことがない人の割合)を算出したものです。生涯を通して未婚である人の割合を示すものではありません。ただし50歳で未婚の人は、将来的にも結婚する予定がないと考えることもできることから、生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す統計指標として使われます。

とある。法的な結婚状態にはないが両者合意のもとに同棲状態にある人(事実婚)の場合、今回の結婚状態には含まれない。また性交渉の有無は今件とは関係はない。

この定義から、各国勢調査の調査年における「生涯未婚率」を算出していく。

↑ 生涯未婚率(45~49歳と50~54歳未婚率の平均値)
↑ 生涯未婚率(45~49歳と50~54歳未婚率の平均値)

男性は1985年あたりから上昇勾配がきつくなり、1995年以降はほぼ一直線での増加をしていたが、2020年分では上昇ぶりがいくぶん落ち着いた感がある。確定値の直近分の2020年では前回の2015年から3.5%ポイント増え、1/4に届いた状態となっている。

一方女性は1975年からはほぼ横ばいの動きを示していたが、1995年からは上昇に転じ、次第に伸び方が急上昇を示している。そのカーブの変容からは、明らかに何らかの状況変化が起きたことを示している。ただし男性同様女性も2020年ではやや上昇ぶりが落ち着いている。

2025年以降の推計値は2030年以降上昇ぶりが緩やかなものとなり、2040年時点で男性は29.5%、女性は18.7%になると推計している。この急激な上昇度合いの鈍化に関して白書側では特に説明はなく、単純に「これまでの未婚化、晩婚化の流れが変わらなければ、今後も50歳時の未婚割合の上昇が続くことを予測している」と言及されているのみ。もっとも緩やかな上昇に転じるとはいえ、男性の生涯未婚率が2040年には3割近くに達するのは衝撃的。

他方、少数ではあるが、上記で指摘したように、統計上は未婚扱いではあるものの、事実婚の状況で異性と同居(同棲)しているケースも想定される。これもまた価値観の多様化によるものではある。なお白書ではこの事実婚、さらにはそれによる出産で生じる婚外出生のパターンが日本では少ないため、生涯未婚率の上昇は出生率の低下の大きな要因となるとも指摘している。具体的には

・出生率の低下要因は、我が国では婚外出生が依然少ないため、結婚行動の変化(未婚化)と夫婦の出産行動の変化(有配偶出生率の低下)にほぼ分解され、前者の引下げ効果は、後者の効果に比べてはるかに大きいとの指摘がある。

・具体的には、1950年代後半から1970年代前半にかけての合計特殊出生率に相当する数値2.01から2012年の1.38までの変化量は、約90%が初婚行動の変化、約10%が夫婦の出生行動の変化で説明できるとされている。

との補足説明がされている。

今件データは原則的に国勢調査毎に更新されるため、次の確定値によるデータ公開は2027年となる。果たして今後生涯未婚率の上昇がゆるやかなものになるのか否か、他の結婚関連の値とともに、気になるところではある。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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