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テレビや新聞、インターネットなどのメディアとの接触時間の実情をさぐる(2022年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
情報を伝達する多様なメディア。その利用時間の実情は(写真:アフロ)

世の中には情報を伝える多様なメディアが存在する。それらに人々はどの程度の時間を費やしているのだろうか。博報堂DYメディアパートナーズのメディア環境研究所が2022年5月に発表した「メディア定点調査2022」(※)の公開値から確認する。

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌から構成される従来型4マスメディア、パソコンと携帯電話、さらにはタブレット型端末の利用まで含めたメディアの接触時間の総計は、 2021年では445.5分/日(週平均)との結果が出ている。昨年2021年が450.9分/日だから、わずかな減少を示していることになる。

また年齢階層別・男女別では、20代男性がもっとも長く511.3分の値を示している。次いで長いのは20代女性で480.4分。

↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、男女別・年齢階層別、分)(2022年)
↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、男女別・年齢階層別、分)(2022年)

↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、前年比、男女別・年齢階層別、分)(2022年)
↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、前年比、男女別・年齢階層別、分)(2022年)

全般的には男女ともに傾向だったものは見出しにくいが、あえて言えば未成年と中年層が比較的短めというところ。

また前年2021年分と比べると、男性では若年層、女性では中年層あたりで伸びている。特に男性30代は1時間以上も伸びているのが目にとまる。他方、女性の15~19歳は1時間半近くも減少している。

これを各メディアの時間配分で区分すると、多様な特徴が確認できる。

↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、男女別・年齢階層別、分)(2022年)
↑ メディア接触時間(1日あたり、週平均、男女別・年齢階層別、分)(2022年)

・男性は40代、女性は50代まで、タブレット型端末と携帯電話の接触時間の合計が長時間(2時間超)。

・パソコンは同じ年齢階層なら女性より男性の方が長い。仕事での活用場面が多いのが原因と考えられる。

・テレビは男性では20代、女性は15~19歳がもっとも短い。男女ともその最短な年齢階層以降、おおよそ年齢とともに増えていく。また同年齢階層ならテレビは男性よりも女性の方が長い(15~19歳を除く)。

・ラジオは男性では50代で、女性は60代でもっとも長い。余暇時間の利用対象としての聴取だろうか。男性50代以降で長めになるのはカーステレオによるものと考えられる。

・男女とも年齢が上になるに連れて、従来型4マス(テレビ・ラジオ・新聞・雑誌)の接触割合が増え、新メディア(パソコン、タブレット型端末、携帯電話)が減っていく。

・15~19歳から40代まで男女ともに、タブレット型端末と携帯電話の合計がテレビの接触時間を上回っている。

・男性は15~19歳から50代、女性は15~19歳から40代でパソコン・タブレット型端末・携帯電話の合計(緑系統色の着色部分、要はインターネットを利用したメディア)がテレビを上回っている。

インターネットを用いる端末への接触時間が、特に若年層で長いこと、年が上になるに連れてテレビへの接触時間が伸びる傾向など、メディア系の調査結果ではお馴染みの、そして実体験からも容易に想像可能な、年齢階層間におけるメディア接触様式のギャップがあらためて認識できる結果ではある。

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※メディア定点調査2022

調査方法は郵送調査方式。調査期間は2022年1月20日から2月4日。東京都を対象にRDD(Random Digit Dialing)方式で選ばれた15歳から69歳の男女個人に対し調査票が送付され、652通が回収された。各値は2021年の住民基本台帳を基に年齢階層・男女でのウェイトバックが実施されている。

過去の調査では利用機器に2014年からタブレット型端末が追加されている。2013年までは(ノート)パソコンと同一視され回答にくわえられていた可能性もあるが、2014年以降は機器として独立項目が設けられたため、以前と比べてメディア接触時間の合計が上乗せされている可能性が高い(メディア接触時間が有意で増加している)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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