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日本に好感を持てるか否か、諸外国の国民の思惑は二極化(2022年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
他国から日本はどのように思われているのだろうか(写真:アフロ)

国家同士の関係はその国全体の利益、歴史観、周辺国とのつながり方など多要素によって形成されるため、単純な国民感情のみで決定されることは滅多に無い。一方で多くの国で採用されている民主主義的政治治世下においては、国民の意思が多々反映されるため、国民の強い意思により国政そのものが変化を受けることもある。今回は新聞通信調査会が2022年2月に発表した、諸外国のメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査」(※)などの内容から、国そのものの施策にも影響を及ぼすかもしれない、国民ベースにおける日本への信頼度合い、好感を持つか否かについて確認を行う。

次に示すのは日本への好感度合い。設問は日本に加え調査各国を評価回答対象としており、選択肢も強弱肯定的、強弱否定的の計4つのみとなっている。次に示すのは肯定的=好感を持つ人の割合。直近年分に関しては属性別の回答率も開示されているため、こちらもグラフを作成する。なお中国とタイの70歳以上は回答者数がごく少数のため統計上の有意値にならないと判断され、値は非公開となっている。

↑ 日本に好感を持てるか(とても+ややの合計)
↑ 日本に好感を持てるか(とても+ややの合計)

↑ 日本に好感を持てるか(とても+ややの合計、属性別)(2021年度)
↑ 日本に好感を持てるか(とても+ややの合計、属性別)(2021年度)

欧米3か国は肯定的な意見が6割台から8割台(イギリスは新型コロナウイルス流行で調査が中止された2020年度分が抜けているが、恐らくは他年度と同程度の値だろう)、イギリスがやや低めだが、これは2015年時点で公開されていた回答内容から勘案するに、「分からない」が多く他項目を圧迫しているだけであり(選択肢には存在しないが、回答しなかったものと考えられる)、実情としてはアメリカ合衆国やフランスとほぼ同じと解釈できる。他方、他項目でも日本への好感度の高さを示しているタイは肯定派がほぼ9割台と突き抜けて高い。これらの国の動向は経年変化では大きな変わりは無し。

韓国はといえば、この類の他調査同様、日本に対する反発心が強い。肯定派は3割前後でしかない。2019年度では大きな下落を示し2割台前半となってしまうが、これは調査期間が韓国では2019年11月25日-12月3日であったことから、GSOMIA問題や貿易管理問題が大きく影響したものと考えられる。中国は2014年度の時点では質問自体ができなかったので空欄となっているが、動向としては韓国とほぼ同じ。

直近年度の属性別動向を見ると、欧米諸国では男性の好感度が高く、女性は低め。若年層が高めで高齢層はやや落ちる動きを示している。タイは多少の誤差があるがほぼ押しなべて高め。

他方中国では10代が高く、20代以降が低いという二分化状態が見て取れる。韓国も10代~20代が高く、若年層に高い傾向が生じている。

さまざまな理由、思惑、背景があるにせよ、日本に対する各国のスタンスが透けて見えそうな結果ではある。

■関連記事:

【日本から主要5か国への親近感の推移をさぐる(2020年調査版)】

【主要国の人たちに聞いた「日本に好感持てる?」「信頼できる?!」】

※諸外国における対日メディア世論調査

直近発表分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2021年11月から12月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。回収サンプル数は各国約1000件。グラフの年数表記は調査結果の発表年で統一している。過去の調査もほぼ同じ形式で実施されたが、2014年度分は中国において質問そのものができなかった項目が複数ある。またイギリスの2020年度分は新型コロナウイルスの流行悪化の影響で調査はできなかったため、回答値が一切無い。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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