内閣府は2022年1月、外交に関する世論調査(※)を発表した。次に示すのはその調査結果を基にした、日本人の諸外国への親近感の実情。調査対象母集団に対し諸外国、あるいは地域毎に親しみを抱いているか否かに関して、「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じない」「親しみを感じない」の4選択肢を提示、その中から自分の心境にもっとも近いもの一つを選んでもらい、その結果を集計したのが次のグラフ。

↑ 諸外国との親近感(2021年)
↑ 諸外国との親近感(2021年)

留意すべきは赤系統色の回答部分。「(どちらかというと)親しみを感じない」は回答者の心境的に「親しみの対象にならない」(無関心的な部分。「無回答」とは異なる)と「憎悪の対象となる」の2通りに解釈できる可能性として存在すること。赤系統色の回答率が多い国・地域が、日本から「憎まれている」との解釈には必ずしもたどり着かない。単に好まれていない、親しみを覚える対象にはならないだけの話。

結果を見るとまず目にとまるのが、アメリカ合衆国への親近感の高さ。親しみを覚えない人は1割程度で、今回の提示された国などではもっとも少ない。これは元々同国との間には親密な関係が継続されていたのに加え、2011年3月の東日本大震災における「オペレーション・トモダチ」をはじめとした、同国による大規模な救援活動の実態を見聞き、あるいは実際に支援を受けた結果によるところが大きい。

次いで東南アジア諸国、ヨーロッパ諸国が続く。両者はほぼ同じ傾向で、青系統色が約7割。マイナスイメージでの情報伝聞が少ないのが要因だろうか。そしてインドがそれに続く。

さらに韓国、中央アジア・コーカサス諸国が続くが、これらの国では親しみを感じない派の方が多くなっている。

他方、中国やロシアのような、いわゆる(元)共産圏諸国との親近感は低め。中国では「親しみを感じない」の値がもっとも高いものとなっている。

ここ数年大きな親近感が下落傾向にある中国と韓国だが、今回調査分(2021年実施)について前回調査分(2020年実施)と比べると、中国はいくぶん下落し、韓国は持ち直しの動きを示している。中国の動きは日々報道される強圧的な対外姿勢の結果によるものと考えるのが妥当ではある。韓国は逆で、前回調査時と比べると報じられ方が大人しくなってきたことによるものだろう。

好意的な選択肢「親しみを感じる」「どちらかというと親しみを感じる」を足した値を「親近感」と設定。そして今回調査分の2021年分と前回2020年調査分双方で選択肢として挙げられた国に関して、その変移を算出した結果が次のグラフ。

↑ 諸外国との親近感(好感的意見合計値の2021年における前回調査との差異、ppt)
↑ 諸外国との親近感(好感的意見合計値の2021年における前回調査との差異、ppt)

アメリカ合衆国と韓国が増加、ロシアが微減、中国がそれなりの減少。中国の減少は同国の強圧的、非常識にも見える外交姿勢が繰り返し報じられたことが影響しているものと考えられる。韓国の増加は上記にある通り、報道のされ方が大人しくなったまでと考えるのが無難だろう。アメリカ合衆国の大幅増加は大統領選挙も終わり、ネガティブな報道が減ったからかもしれない(大統領選挙は2020年11月3日に投票が実施されたため、それに関する各種報道が前回調査には大きな影響を与えている可能性がある)。

詳細は別の機会に解説するが、中国への親近感は低い値を記録し続けている。昨今の動向をかんがみれば、それもある程度納得ができてしまうものである。

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※外交に関する世論調査

2021年9月30日から11月7日にかけて、全国18歳以上の日本国籍を有する人の中から層化2段無作為抽出法によって選ばれた人に対し、郵送法によって行われたもので、有効回答数は1701人。男女比は835対866、年齢階層別構成比は10代33人・20代133人・30代222人・40代281人・50代295人・60代298人・70歳以上439人。

調査方法について2019年調査までは調査員による個別面接聴取法が用いられていたが、2020年調査以降では新型コロナウイルス流行という特殊事情により、郵送法が用いられている。調査方法の変更で一部設問の選択肢や回答傾向に違いが生じていることに注意が必要となる(「分からない」が「無回答」になっている、回答の意思が明確化されたために一部設問で「無回答」の値が以前の調査と比べて有意に少なくなっているなど)。

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