少額の支払では特に重宝する電子マネー。具体的にどこまで使われているのか。二人以上世帯(原則的に夫婦世帯)の実情を、総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果から確認する。

次に示すのは消費支出(税金や社会保険料をのぞいた「世帯を維持していくために必要な支出」)のうち、各品目への支払い額全体に対し電子マネーによる支払いの割合が大きい項目を抽出したもの。例えばトップはバス代の32.9%だが、これは同属性の1か月の平均支出額のうち、電子マネーを用いて支払ったのは32.9%に該当するということ。参考のため2019年における割合が大きい品目について、2014年時点での値を併記する。

なお今件における電子マネーの定義だが、全国家計構造調査の用語解説によると「電子的に行われる決済方法のことで、支払い方法によりプリペイド(前払い)方式とポストペイ(後払い)方式に分けられる。この調査では、プリペイド方式のみを電子マネーとして扱い、ポストペイ方式はクレジットカードと同様の扱いとした」とある。つまりいわゆるお財布ケータイや各種交通機関が採用しているICカードなどが該当する。ポストペイド方式についてはクレジットカードや月賦などとの合算値しか公開されていない。

↑ 電子マネー(プリペイド)の支払い割合が高い品目(二人以上世帯、2019年における上位15品目とその品目の2014年時点の値)
↑ 電子マネー(プリペイド)の支払い割合が高い品目(二人以上世帯、2019年における上位15品目とその品目の2014年時点の値)

トップはバス代で32.9%、次いで鉄道運賃の21.3%。家計全体のお金勘定が世帯主個人の勘定と同一視されることも多い単身世帯と異なり、二人以上世帯では「家計全体の収支」の観念に注意する必要があるものの、電子マネー(プリペイド)ならば支払いの上で家計単位での管理がし易いことから、便利なツールとして重宝されているのだろう。5年前の前回調査と比べると、バス代も鉄道運賃も確実に値が増加している。

交通関係の利用料金に続くのはたばこ。他の買い物と一緒にではなく単独で購入する機会が多く、自動販売機で買う機会も多々あることから、気軽に使える電子マネー(プリペイド)が重宝されているのだろう。あるいはたばこ代への支出を電子マネー(プリペイド)で自主管理・制限している人もいるかもしれない。雑誌もまた、同じようなスタイル(単品購入や支出の自主管理・制限)で用いられているものと思われる。

たばこの次には飲食品が並ぶ。こちらは恐らく単品ではなく、料理の材料としてスーパーなどでまとめ買いしたものが、個々に挙げられているものと考えられる(飲料や酒類は単品購入のケースもあるだろうが)。日々の食事のための食材の少なからずは、電子マネー(プリペイド)で調達されている次第。飲食品については前回調査の値と比べて2~3倍ぐらいにまで増えており、身近な場面における電子マネー(プリペイド)の利用が進んでいることがうかがえる。

なお詳細は機会を改めて解説する予定だが、当然のことながら高齢者世帯の方が電子マネー(プリペイド)の利用額・利用率は低い。いわゆる「デジタルデバイド」は支払いの方法においても存在している次第ではある。

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※全国家計構造調査

家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。

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