29歳以下では食費は5万3319円…働く若年夫婦のお財布事情
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00256234/title-1630525372370.jpeg?exp=10800)
働く若年夫婦はどのようなお金のやりくりをしているのだろうか。お財布事情を総務省統計局が2021年5月までに発表した全国家計構造調査(※)の結果を基に確認する。
次以降に示すのは1か月におけるお金のやりくりの内容。実収入(勤め先収入や事業収入、内職収入、財産収入、社会保障給付など実質的に資産の増加となる収入を集めた収入)と、実支出(税金や社会保険料などの支出を集めた「非消費支出」と、生活費を意味する「消費支出」、黒字(実収入から実支出を引いたもの)の合計)の内訳を、具体的金額と比率の面からそれぞれ確認する。なお、実収入から非消費支出を引いたものが可処分所得となるが、可処分所得における黒字の割合を黒字率と呼んでいる。もちろんこの値が高い方が、生活面で余裕が生じていると見てよい。
それぞれの関係は次の通り。
・実収入=勤め先収入+その他収入
・実支出=非消費支出+消費支出
・実収入=実支出+黒字
・可処分所得=実収入-非消費支出
・黒字=可処分所得-消費支出
=実収入-(消費支出+非消費支出)
・勤め先収入+その他収入=非消費支出+消費支出+黒字
=非消費支出+可処分所得
まずは世帯主の年齢が29歳以下の世帯について。
![↑ 家計収支の構成(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢29歳以下、円)(2019年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00256234/image-1630525414420.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
![↑ 家計収支の構成(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢29歳以下、比率)(2019年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00256234/image-1630525427408.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
![↑ 家計収支の構成(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢29歳以下、支出のみ、円)(2019年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00256234/image-1630525440038.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
非消費支出は14.6%。住居費で10.6%、食費で12.4%と比較的大きな割合を示し、交通・通品費も負担が大きい。食費は月に5万円強で、家賃は平均ではあるが4万円台(低めに見えるがこれは持家率が相応に高いため)。保健医療には1万円ほどかかっており、教養娯楽には2万円強が費やされている。そして貯蓄などに回される黒字は14万円近く。
30代前半になると大きく金額が底上げされる。
![↑ 家計収支の構成(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢30-34歳、円)(2019年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00256234/image-1630525457227.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
![↑ 家計収支の構成(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢30-34歳、比率)(2019年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00256234/image-1630525467933.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
![↑ 家計収支の構成(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢30-34歳、支出のみ、円)(2019年)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00256234/image-1630525484614.png?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
実収入は世帯主年齢29歳以下世帯と比べて5万円ほど上乗せされる。非消費支出をはじめ、食費や交通・通信費、教育費などが大きく増加しているが、これは子供の平均数が増えているのが原因。他方、住居費は逆に減っているが、上記言及の通り、持家率の増加に伴い、家賃支出の負担が減っているからに他ならない。
一か月の平均食費は6万円強。教育は7000円近く。光熱・水道は1万6000円ほど。黒字額は15万円ぐらいとなる。
今件はあくまでも平均的な若年二人以上世帯のお財布事情であり、実情はその立ち位置によって大きな違いを見せる。すべての若年層の夫婦世帯などがこのような金銭事情にあるとは限らないことに留意が必要。
他方、生活上の困難さが指摘される若年層の夫婦世帯などにおける、金銭面での実情を知る上で、よい指標となることに違いはあるまい。
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※全国家計構造調査
家計における消費、所得、資産および負債の実態を総合的に把握し、世帯の所得分布および消費の水準、構造などを全国的および地域別に明らかにすることを目的としている。調査間隔は5年おきで、直近となる2019年は10月から11月にかけて実施されている。対象世帯数は全国から無作為に選定した約9万世帯。調査票は調査員から渡され、その回答は調査票に記述・調査員に提出か、電子調査票でオンライン回答をするか、郵送提出か、調査票ごとに調査世帯が選択できるようになっている。
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