2021年10月のたばこ税増税に伴い、日本たばこ産業(JT)はたばこ値上げを財務省に申請した(【セブンスターは600円、JTが173銘柄の値上げ申請…たばこ増税に合わせ】)。値上げは昨年2020年10月以来1年ぶりで、主力の「メビウス」(20本入り)は540円から580円になる。たばこ税の増税のたびに値上げされ、話題に上るたばこだか、そのたばこを専門に売る販売店や自動販売機はどのような実情なのだろうか。たばこの発売元であるJTの統合報告書を基に確認する。

まずはたばこ販売許可店。たばこは誰もが自由にたばこを売れるわけではなく、許可申請をして「許可店」の許しを得た上で、はじめて業者として販売が可能になる。

↑ たばこ販売の仕組み。実線は商品の流れ、破線は申請・許認可等の流れを示す(JTサイトより転載)
↑ たばこ販売の仕組み。実線は商品の流れ、破線は申請・許認可等の流れを示す(JTサイトより転載)

その販売許可店だが、今世紀初頭をピークに少しずつ、そして確実に減少する傾向にある。

↑ たばこ販売許可店数(万店)(各3月31日時点)
↑ たばこ販売許可店数(万店)(各3月31日時点)

特に2011年以降は、店数の減少度が大きくなっているように見える。これは「併設している自動販売機の撤去による採算の問題(自動販売機に稼いでもらい、店頭販売は半ば趣味的に商売を行うスタイルが成り立たなくなった)」「店主の高齢化による引退・閉店」「たばこ需要の減少に伴う売上の減少で利益が出なくなった」など、複数の要因が重なったもの。採算ラインぎりぎりにあった店舗が需要の低迷で、次々とシャッターを閉じていると考えればよい。直近の2020年では23.7万店。

一方、たばこの自動販売機数はどのような変移を見せているのか。こちらは店舗数以上に急激な減少傾向にある。

↑ たばこ自動販売機数(万台)(各12月31日時点)
↑ たばこ自動販売機数(万台)(各12月31日時点)

財務大臣の許可など条件さえ整えば、たばこの自動販売機そのものは無料で貸与を受けることができる。このたばこ自動販売機を「JT貸与機」と呼んでいる。この「JT貸与機」は2018年12月末時点で2.3万台(2019年分以降は非公開化のため実数は不明)、同時期における全たばこ自動販売機の15%ほど。1999年から2000年の伸びは、この「JT貸与機」の大幅な伸びが起因(1999年3月末時点で14.6万台だったものが2000年3月末には19.3万台、そして2001年3月末には22.0万台にまで増加している)。

その後自動販売機数はほぼ横ばい状態にあったが、貸与機に関する契約内容の変更、そしてタスポの導入(リース料は無料だがタスポ導入費用は設置側持ち。しかも導入後、手間がかかるなどの理由で利用者も減少=売上も減少)により、設置継続を断念するところが増え、結果として台数は急激に減少してしまう。

直近では2020年末時点でたばこ自動販売機台数は12.3万台。先の震災による直接の被害以外に、その後の生産調整に伴う入荷数・種類の減少、節電対策としての販売機自体の一時停止など、マイナス要素が畳みかけるように発生しているため、減少度合いに歯止めはかからない。毎年前年比で1割前後の台数が減少しているのが現状である。

嫌煙家からは「タバコ購入のハードルを低くする一因」として非難の対象となり、喫煙者からもタスポの導入で「購入が面倒」として避けられるようになったたばこ自動販売機。電力需給がひっ迫する中での過度の節電の時期は幸いにも過ぎたものの、いまだに主要照明を落としたままのものも多く、中には節電のために停止したのち、本体そのものが撤去されてしまった事例もある。コンビニでたばこを調達する事例が増えたのも要因だが、今後も台数減少傾向には歯止めがかからないだろう。

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