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25年でテレビの視聴スタイルはどれほど変わったか、見る時間は増えたのか

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ テレビを見ながら食事する。結構やっている人も多いのでは。(写真:Paylessimages/イメージマート)

テレビ視聴のスタイルは「他の事柄をしながら見る(ながら視聴)」「専念して見る(専念視聴)」の2様式に区分ができる。NHK放送文化研究所が2021年5月に発表した2020年国民生活時間調査(※)の報告書を基に、その現状(2020年)と前世紀となる25年前(1995年)との違いを確認する。

今件ではテレビ(番組)を見ている人を「テレビ(視聴)行為者」と表現しているが、これは1日15分以上テレビ(据置型テレビの他にワンセグによる視聴も含む。録画視聴や購入・レンタルソフトの視聴は除く)を見ている人を意味する。要は実質的に回答者が「テレビを見ている」と自認できるほどの視聴をしている人のことを指す。

テレビは後者の「ながら視聴」を容易にできることが、メディアとしての優位性のポイントでもある。この2様式の視聴動向の推移を、今件データに関して取得可能なもっとも古い値となる1995年と、直近となる2020年で記したのが次のグラフ。

↑ テレビ視聴行為者率(ながら・専念別)
↑ テレビ視聴行為者率(ながら・専念別)

↑ テレビ視聴行為者のテレビ視聴時間(ながら・専念別、時間:分)
↑ テレビ視聴行為者のテレビ視聴時間(ながら・専念別、時間:分)

ながら視聴の方が行為者率は低くなる状況は昔も今も変わらない。一方で25年の経過で減少した%ポイントを見ると、平日は専念しての視聴の方が行為者率の減少は大きいが、日曜はながら視聴の方が大きく減っている。平日は夕食後の家族そろっての憩いの時間における専念視聴が減った機会が大きいからだろう。休日は時間の余裕がある中で、すること・できることが増えたのが一因かもしれない。

視聴者に限定した視聴時間は、ながら・専念、平日・日曜を問わずに増加している。テレビ視聴行為者に占める、テレビ視聴への注力度合いが大きい高齢者の比率が増えたからだろう。またながら視聴に限れば、テレビを見ながら利用する機会が多いスマートフォンが普及したのも大きな理由ではないだろうか。

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※2020年国民生活時間調査

住民基本台帳から層化無作為二段抽出法によって選ばれた10歳以上の日本国民7200人を対象に、2020年10月13日から18日にかけて郵送法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は4247人分。過去の調査もほぼ同様に行われているが、2015年以前は配布回収法によって実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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