若者のテレビ離れ、見方を変えれば高齢層のテレビへの強い執着とも読める行動性向は、世代によるものか、それとも年齢によるものなのか。NHK放送文化研究所が2021年5月に発表した、2020年国民生活時間調査(※)の報告書の内容から考察する。

今調査ではテレビを見る人の割合(テレビ行為者率、1日15分以上連続してテレビ(据置型テレビの他にワンセグによる視聴も含む。録画視聴や購入・レンタルソフトの視聴は除く)を見ている人。実質的に回答者が「テレビを見ている」と自認できるほどの視聴をしている)を調べている。結果としては2020年では平日・休日を問わず8割近くが該当する結果が出ている。

↑ テレビ行為者率(全体)
↑ テレビ行為者率(全体)

テレビが現在でも多数の人に視聴されている媒体であることに違いはない。しかしこの25年の経過の中で、少しずつだが確実に「テレビを見ない(厳密にはまったく見ない以外に、1日に15分未満しか見ない人、細切れでしか見ない人、テレビ受信器のスイッチは入っているが「見ている」との自覚が無い人も含む)」人が増加し、いわゆるテレビ離れが起きているのが分かる。そしてグラフ化は省略するが、現状では高齢層ほどテレビをよく見ているとの結果が出ている。

それではこの「テレビ離れ」は世代によるものか、それとも年齢によるものなのだろうか。世代によるものならば現在テレビを敬遠している若年層は歳を取って中年層、そして高齢層に至ってもテレビを見ないライフスタイルを継続するだろう。年齢によるものならば、今はテレビと距離を置く若年層も、歳を重ねるに連れて他メディアとの接触に難儀を覚えるなどの理由で、テレビをより近いものと認識していくに違いない。

今調査は1995年以降5年間隔で実施されているため、世代における経年変化を一部ではあるが知ることができる。例えば2020年時点で30代の人は、2010年時点では20代、2000年時点では10代となる。当然、同じ人を追跡調査しているわけではないので、あくまでも「各時点での同一世代の代表値」でしかないが、歳を取り、年齢階層がシフトした際に、テレビ行為者率もそのままシフトしたか否かを確認できる。

↑ 直近年の各年齢階層における過去のテレビ行為者率との比較(2020年時点、10年単位、男性、平日)
↑ 直近年の各年齢階層における過去のテレビ行為者率との比較(2020年時点、10年単位、男性、平日)

↑ 直近年の各年齢階層における過去のテレビ行為者率との比較(2020年時点、10年単位、女性、平日)
↑ 直近年の各年齢階層における過去のテレビ行為者率との比較(2020年時点、10年単位、女性、平日)

例えば男性で2020年時点では50代の人は82.6%、10年前はその世代は40代だったが、その時の値は86.0%、20年前は30代だったが86.0%と読む。20代は20年前では回答のしようがないので空欄となっている。10代の10年前・20年前も同様。

それぞれの動向を見るに、男女ともに現在における50代までは歳を重ねるに連れてテレビ行為者率が減少していく。特に2020年における減少ぶりが顕著。一方で60代以降はほぼ変わらない、男性ではむしろ増加する傾向すら見られる。

また現時点における男性は40代まで、女性は20代までの世代において、大きなテレビ離れが起きている感はある。新型コロナウイルス流行による巣ごもり化という社会現象が生じている中での調査にもかかわらず、2020年で生じた大幅な減少は注目に値する動きに違いない。

現在はまだ50代までで確認できる「テレビ離れ世代」だが、今後時間の流れとともに各世代が歳を取るに連れ、さらにメディア技術の進歩やコンテンツの質の変化に伴い、少しずつ領域を拡大していく。それとともに各世代のテレビ離れの度合いも加速していくかもしれない。

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※2020年国民生活時間調査

住民基本台帳から層化無作為二段抽出法によって選ばれた10歳以上の日本国民7200人を対象に、2020年10月13日から18日にかけて郵送法によるプリコード方式で行われたもので、有効回答数は4247人分。過去の調査もほぼ同様に行われているが、2015年以前は配布回収法によって実施されている。

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