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情報取得のための新聞やテレビの使われ度合いをさぐる(2017~2020年分)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ テレビを情報取得のために使うのは世界共通なのだろうか。(写真:PantherMedia/イメージマート)

日本における従来型メディア、具体的にはテレビ・ラジオ・新聞・雑誌への信頼度の高さはすでに内外に知られた通りで、信頼を寄せているからこそ各メディアへの傾注度も高く、多数の人が時間を割いて見聞きしているといわれている。それでは実際のところ、主要メディアに対する情報取得のための利用度合いはどれほどのものなのだろうか。日本以外の国でも同様の状況なのだろうか。世界規模で国単位の価値観を定点観測している「World Values Survey(世界価値観調査)」(※)の結果から新聞とテレビについて、その実情を確認する。

次以降に示すのは該当メディアを用いて国内外の情報を取得しているか否かの割合。「用いる」であり、保有・購入の有無は問われていない。例えば新聞を購読していなくても日々会社で一通り目を通す、テレビはいつも昼食の際に食堂で視聴する場合も利用に該当する。そして利用頻度に関して「毎日」「週一」「月一」「月一未満」「全然用いない」「分からない」のいずれか一つを選んでもらうことになる(結果として「無回答」もありうる)。その上で、一定度以上の利用頻度に該当する(定期利用)ものとして「毎日」と「週一」を足し、ほとんど使わないに値するものとして「月一未満」と「全然用いない」を加算し、ぞれぞれの該当率とする。

なお今回取り上げる設問については現在集計中らしく値が非開示となっている、あるいは元から設問が用意されていない可能性がある国が複数確認できる。

まずは新聞。

↑ 国内外の情報を取得する際に新聞を週一以上で読んでいる(2017~2020年)
↑ 国内外の情報を取得する際に新聞を週一以上で読んでいる(2017~2020年)

↑ 国内外の情報を取得する際に新聞を読むことは月一未満である(2017~2020年)
↑ 国内外の情報を取得する際に新聞を読むことは月一未満である(2017~2020年)

日本、ドイツ、香港、ニュージーランドの4か国は過半数が新聞を実質的に定期利用している。日本以外の国は新聞・雑誌に対する信頼度は低いのだが、それにもかかわらず利用者が多いのは不思議なところ。他方、低い国はエジプト、中国、イラク、イランなどで、1割台に留まっている。アメリカ合衆国は4割近く。

当然、ほとんど利用していない人の割合の順位は、ほぼ定期的な利用者の逆となる。エジプト、中国、イラク、ウクライナ、イランが上位につき、日本は3割足らず。アメリカ合衆国は過半数。エジプトや中国ではほとんど新聞が利用されていないようだ。そのような習慣が元々無いのか、それとも情報の信憑性の上で読むに値しないとの認識が広まっているのか。

続いてテレビ。利用ハードルが低いことから、各国とも高い値を示している。

↑ 国内外の情報を取得する際にテレビを週一以上で見ている(2017~2020年)
↑ 国内外の情報を取得する際にテレビを週一以上で見ている(2017~2020年)

↑ 国内外の情報を取得する際にテレビを見ることは月一未満である(2017~2020年)
↑ 国内外の情報を取得する際にテレビを見ることは月一未満である(2017~2020年)

テレビをもっとも利用している国は韓国。その値、実に96.1%。次いで日本が95.8%、フィリピン、トルコまでが9割台。その他の国も一様に高く、エジプト以外は7割を超えている。そのエジプトでもほぼ2/3。中国やアメリカ合衆国はやや低めだが、それでも7割台。

実質的な非利用者は、一番高いエジプトで27.5%と群を抜いているが、それ以外の国は2割足らず。日本では2.6%とほぼ誤差の領域。当然といえば当然だが、利用者本人が購入せずとも容易に利用が可能なため、非常に多くの人が情報取得ツールとして利用している形である。

報取得手段としての主要メディアの性能向上や普及率の変化、それぞれのメディアの利用性向の動きはこの数年で大きな流れの中にある。その最中における調査であるため、同じ期間内でも具体的調査年が年単位でずれることで、実情とは小さからぬずれを示している国があることは否定できない。

次の調査期間、恐らくは2022~2025年においては、多くの国で劇的な変化が生じているに違いない。

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※World Values Survey(世界価値観調査)

世界100か国以上が参加して実施している国際的プロジェクト「世界価値観調査」によるもの。各国・地域毎に全国の18歳以上85歳以下の男女1000サンプル程度(実際には1000~2000人程度)の回収を基本とした個人対象の意識調査。調査そのものはおおよそ5年おきに実施されているが、調査期間によって一時的に対象外となる国も少なくない。また現時点では集計が完全には終わっておらず、値が掲載されていない国もある。直近の調査結果は2017年から2020年にかけて行われたものだが、記事執筆時点で項目によって調査結果が掲載されていない国が複数確認できる(最終的な報告書は2021年秋に発表予定)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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