主要国の家計資産の構成比率をさぐる(2019年公開版)

↑ 金融資産の中身の傾向は国それぞれ。(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

家計におけるお財布事情は人それぞれで、さらに国によって年金や投資など金銭関連の制度も異なるため、金融資産の中身も大きな違いを見せる。その実情をOECD(経済協力開発機構)の公開データベース「Household accounts」から確認する。

次に示すのは「Household accounts」に収録されている国のうち主要国として、ヨーロッパ諸国からはイギリス、スウェーデン、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、ギリシャを、それ以外からはイスラエル、日本、韓国、カナダ、アメリカ合衆国を選び、それぞれの国における家計の金融資産の主要項目における平均的な構成比率を算出したもの。なお「株式以外の証券」とは主に債券を意味する。

まずはヨーロッパ諸国。

↑ 家計金融資産構成比率比較(ヨーロッパ諸国、2019年時点で最新年値)
↑ 家計金融資産構成比率比較(ヨーロッパ諸国、2019年時点で最新年値)

ギリシャは現金・預金が6割強を占めており、この比率は日本以上の値を示している。日本は安全資産を求める傾向が強く、現金・預金の比率が高いことで知られているが、それ以上の値なのは驚き。他方スウェーデンは株式・出資金の比率が高く、後述するアメリカ合衆国すら追い抜いている。フランスでも株式・出資金の比率が高めだが、投資家への税制上の優遇措置となるPEA(Plan d'epargne en actions。同口座で5年以上保有し続けると配当や売却益は非課税になる)が有効に使われているのが主要因。

イギリスでは保険・年金の値が5割強と、今回挙げた国の中では最大の比率を示している。これは同国では税制上の優遇措置によって、一時払いの個人年金などが個人の貯蓄の手法として広く普及していることに加え、公的年金が民営化されているのが原因。内情としては年金基金部分が45.0%となっている。

続いて日本やアメリカ合衆国など。

↑ 家計金融資産構成比率比較(日米その他、2019年時点で最新年値)
↑ 家計金融資産構成比率比較(日米その他、2019年時点で最新年値)

日本の現金・預金、アメリカ合衆国の株式・出資金の多さはイメージ通りの結果。一方、先のヨーロッパ諸国のグラフでも言えることだが、それぞれの国の税制、金融制度によって家計の金融資産構成はまちまちで、日本・アメリカ合衆国いずれかのパターンに近いわけではないのが分かる。例えばカナダは「その他」が4割近くと大きな値を示しているが、これは特にデータベース上で説明は無いものの、TFSA(Tax-Free Saving Account。非課税貯蓄口座)やRRSP(Registered Retirement Savings Plan。税制適格退職貯蓄制度)、さらにはRESPs(Registered Education Savings Plans。税制適格教育貯蓄プラン)など日本のNISA的な制度が多数整備されており、それらか該当するものと考えられる。

限られた国数ではあるが、諸国の家計金融資産の構成比を見る限り、日本の現金・預金の多さはそれなりに高い値であり、リスク性資産の比率は相当に低い値であることが分かる。あるいはイギリスのような個人年金を奨励する税制措置、フランスのような長期投資を優遇する措置、カナダのような多様な優遇措置を提供する制度の整備で、リスク性資産の選択肢を増やすのも、現状を変える手立てとしては有効かもしれない。

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