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睡眠時間と自由時間、その実情をさぐる(2019年公開版)

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 睡眠は人にとって欠かせない生理行動。その平均時間は。(写真:アフロ)

人は毎日睡眠をとらねば健康的な生活を維持することは不可能。また自由な時間が無いと、精神的に参ってしまう。実態として人は毎日どの程度の睡眠時間や自由時間を取っているのだろうか。総務省の調査「平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)から確認する。

まずは平均睡眠時間。行為率、つまり該当行為をした人の割合はほぼ100%なので、(全体)平均値がそのまま行為者平均値となる。

↑ 平均睡眠時間(1日あたり)(2018年)
↑ 平均睡眠時間(1日あたり)(2018年)

調査対象母集団全体の平均睡眠時間は平日で7時間14分、休日で8時間29分。休日は平日より1時間半ほど長く、平日の睡眠不足を補っている形。男女別では平日はほとんど変わりないが、休日は男性の方がやや長めとなっている。

年齢階層別に見ると平日は中年層が一番短く、40~50代では7時間を切る。そして60代が一番長く7時間38分。休日になると若年層から中年層では平日との差が大きく、20代では1時間48分もの差が生じている。50代までは平日と休日の差が大きいのは、学校や会社勤めで生じた睡眠不足・体力の消耗を休日でカバーしているからだろう。60代になるとそれらの必要が無くなるためか、休日・平日の差がさほど無くなる(33分)。

続いて平均自由時間。これは生活必需時間(食事や睡眠、入浴など)や社会的拘束時間(仕事や学業、移動時間)を除いたもの。

↑ 平均自由時間(1日あたり)(2018年)
↑ 平均自由時間(1日あたり)(2018年)

睡眠時間以上に平日と休日の差が大きい。全体では平日は4時間近くだが休日は8時間半近くと2倍以上にまで延びる。男女別では平日は女性、休日は男性の方が長いが、これは平日は男性は就業機会が多く、休日は平日同様女性は家事に従事する時間が長いため。似たような理由で、退職を迎えた人が多くなる60代では、平日から自由時間は長いものとなる。休日の自由時間で20代が長めに出ているのは、独身回答者の多さによるものだろう。

10~20代の平日の平均自由時間は4時間台。具体的定義には「趣味・娯楽・休息・移動(余暇、旅行)・その他」とあるので、例えばスマートフォンの利用時間は趣味や娯楽との認識の上で利用しているのだろう。

今件各値はあくまでも平均値でしかないが、インターネット調査などではないことから調査様式による偏りも気にしなくて済む、実情に近い値ではある。自分自身の日常生活と比較し、その過不足分の考察に役立ててほしいものだ。

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※平成30年度 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2019年2月23日から3月1日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13~69歳を対象とする1500サンプルを対象としたもの。アンケート調査と日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。よってグラフの表記上は「10代」だが、厳密には13~19歳を意味する。

なお今調査は例年11~12月にかけて行われるが、直近分は翌年の2~3月となっている。グラフや本文上の表記や考察は、報告書に準ずる形で2018年と表記する。また調査のタイミングにより一部調査結果においてイレギュラー的な動きが生じているが、報告書では「調査時期の違いによる影響や単年の一時的な傾向である可能性も否定できず、継続的な傾向の把握については今後の調査などの結果も踏まえる必要がある」と但し書きをしている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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