敷金礼金の実態、そして地域での違いをさぐる(2019年6月発表版)

↑ 「空室あり」との告知のある賃貸住宅。さて敷金や礼金は?(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

全国平均の礼金は家賃の0.98か月分、敷金は1.18か月分

賃貸住宅を借りる契約をする際に必要となる敷金や礼金。慣習として家賃の何倍かを支払う事が当たり前のようになっているが、実情としてはどれほどの額が相場なのだろうか。その実情を賃貸住宅の管理会社による協会「日本賃貸住宅管理協会」の調査「賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)」(※)から確認する。

まずは礼金・敷金の平均動向について。最初に用語の確認を行う。「礼金」は言葉通り賃貸契約が新規に結ばれた時に、貸主(大家)に支払われる「お礼金」のこと。一方「敷金」は「賃貸住宅に土台として敷かれた(、そして住宅利用時に少しずつ損耗していく)お金」との概念によるもの。その賃貸住宅から退去する際に、次の借主が支障無く使えるよう、原状復帰のために使われるお金でもある。ただし通常使用における損耗は、自然に生じるものとして、その分の責は利用者には無いとするのが一般的。

今回調査の対象期間(2018年10月~2019年3月)において、全国平均では礼金は家賃の0.98か月分、敷金は1.18か月分との結果が出ている。

↑ 入居時の条件(一時金、平均月数)(2018年10月~2019年3月)
↑ 入居時の条件(一時金、平均月数)(2018年10月~2019年3月)

関西圏では敷引き(解約引き。入居時の保証金のうち半分程度を退去時の原状復帰費用として返還しない仕組み。保証金そのものは家賃の半年から8か月分とされ、これには礼金も含まれる。この制度が導入される物件では更新料も無いのが原則)制度が商習慣として根付いて「いた」(過去形であることに注意)。その名残もあり、礼金の額が他地域と比べて高い結果が出ている。

また都市圏と比べると首都圏・関西圏以外で敷金が高めに出ているのが気になる。契約物件のリスクが高いのかもしれない。

今件値は業者側の調査に基づいた結果。地域、周辺環境の違いも多分に影響するが、この値を覚えておけば、無駄な探索をしたり、怪しげな物件に惑わされる心配はずいぶんと減る。

入居時の条件交渉の変化をさぐる

各賃貸住宅管理会社が管理している賃貸物件において、敷金や礼金、そして賃料、さらには設備の設置(エアコンや洗濯機など)について、入居希望者との間での交渉度合はどのような変化を示しているのか。借り手・貸し手の力関係を推し量れるデータともいえるが、それぞれについてその移り変わり(前年同期比)を尋ねたところ、全国では回答企業の4割強が入居の際に「賃料を下げてほしいとの交渉が増加している」と返答した。礼金・敷金などの初期費用の値引きを求める度合いが増加したとの意見も4割強に上っている。

↑ 入居時の条件交渉の変化(前年同月比)(2018年10月~2019年3月)
↑ 入居時の条件交渉の変化(前年同月比)(2018年10月~2019年3月)

首都圏と関西圏を比較すると、設備設置以外の項目で関西圏の方が増加の回答率は高い。特に礼金・敷金などでは20%ポイント近くもの差がついている。

さらに首都圏・関西圏以外の地域では首都圏や関西圏よりも全項目で増加の回答率が高く、賃料や礼金・敷金などでは増加回答率が5割を超えている。首都圏や関西圏と比べ、その他の地域では貸主側の競争が激化している、賃貸物件が供給過剰状態にあることが透けて見えてくる。

ともあれ、首都圏ですら賃料や礼金・敷金など金銭面において、3割強が「交渉増加」と回答している結果が出ている。ダメ元との点もあるのだろうが、「賃貸住宅は入居希望者が主導権を握る借り手市場」との認識に違いは無いのだろう。

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※賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)

日本賃貸住宅管理協会会員に対して半年ごとに定期的に行われている調査で、直近は2019年4~5月にインターネットを用いて実施。有効回答数は242社(回収率19.2%)。2018年10月1日から2019年3月31日に関する状況についての回答。

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