小学生シリーズは1誌…「小学一年生」~「小学六年生」などの部数動向をさぐる(2019年1~3月)

↑ 晴れて入学、小学一年生。専門雑誌は読みたいかな?(写真:アフロ)

残るは「小学一年生」のみ

紙媒体としての雑誌はメディアの変化の荒波にもまれ、部数を減らしている。少子化との関連も併せて動向が気になる、小学生向け雑誌の「小学一年生」~「小学六年生」などの実情を、日本雑誌協会が四半期ベースで発表している印刷証明付き部数(※)から確認する。

「小学一年生」~「小学六年生」の印刷証明付き部数の動向を示したのが次のグラフ。「GAKUMAN plus」は「小学五年生」「小学六年生」の統合・刷新版として登場した雑誌のため、あえて今グラフに含めている(すでに休刊しているが)。また後述する「小学8年生」は印刷証明付き部数が公開されていないので、当然グラフには登場しない。

↑ 印刷証明付き部数(小学一年生~六年生、部)
↑ 印刷証明付き部数(小学一年生~六年生、部)

子供は年を重ねるにつれて好奇心が旺盛になり、また使える手段や知識が多様化する。そのため定番雑誌以外の雑誌や媒体を求める欲求が増し、保護者もそれに応えるようになる。

また昨今では子供が小学生、さらには幼稚園・保育園児の時期からスマートフォンやタブレット型端末を買い与える保護者も少なくない。子供への情操教育などまで含めて、子供向けの学習用タブレット型端末をパッケージ化した教育プログラムも多数の関連企業から展開されており、それらが学習用も兼ねた子供向け雑誌の代替品として扱われる面もある。結果、高学年向け雑誌になるに連れて購買対象種類は増え、一雑誌あたりの購入部数は減っていく。今グラフではその実情が見事に現れた形となっている。

その上、昨今の雑誌業界全体の不況のあおりを受け、該当雑誌は次々に休刊。かつてこれらの雑誌で育ってきた大人にはショックな話ではあるが、すでに「小学三年生」「小学四年生」「小学五年生」「小学六年生」が休刊しており、発行を続けているのは「小学一年生」「小学二年生」の2誌のみだった。

そして「小学二年生」も2016年12月26日発売の「2・3月合併号」を最後に休刊。残りは「小学一年生」のみなのが現状。ちなみに直近期となる2019年1~3月期の部数は9万3000部。

直近期における前期比、つまり季節変動などによる影響がありうる動向は、「小学一年生」ではプラス136.9%となり、非常に大きな増加。季節変動を考慮した上での変化が分かる前年同期比はプラス4.1%で、明確な低迷感があった「小学一年生」に光明が差し込んだ感はある。

「小学二年生」の休刊後はその代替、というよりは「小学二年生」も含めた小学生全体に向けた雑誌とのコンセプトで、増刊号的立場の「小学8年生」が展開を開始している。該当期間内では2019年2月27日に発売された2019年4月号が最新号。付録もあわせ非常にリッチで、部数面でも大いに期待できそうな内容ではあるが、部数公開は行われていない。不定期刊とはいえ、ペースは今のところ2~3か月おきなので、実質的に季刊誌扱いにして印刷証明付き部数の公開をしてもよそさうなものだが。

幼稚園関連誌を追加して再確認

「小学●年生」の現存誌が現時点では1誌しか無くなったことから、幼稚園児向け雑誌「学習幼稚園」「幼稚園」「たのしい幼稚園」の3誌を加え、再構築したのが次のグラフ。タイトルに「など」が入っていることに注意。

↑ 印刷証明付き部数(小学一年生~六年生など、部)
↑ 印刷証明付き部数(小学一年生~六年生など、部)

追加した幼稚園関連の3誌の動向を「小学●年生」シリーズと重ねたが、幼稚園向け雑誌では小学生向け雑誌のような、「春に伸び、冬に落ちる」といった年単位での季節変動的な特性は確認できない(「たのしい幼稚園」がそれらしいように見えるが、年によって1~3月期が伸びる場合と4~6月期が伸びる場合があり、やや傾向は異なる)。一方で、幼稚園児向け雑誌もまた小学生向け同様に、中期的にはその部数を減らしているのが分かる。

部数動向を分かりやすくするため、各年の同四半期(1~3月期)の動向に絞ってグラフを再構築したのが次の図。季節変動を考慮せずに済み、年ベースでの動向を推し量ることができる。

↑ 印刷証明付き部数(現存「小学●年生」シリーズと幼稚園関連(一部)、部)(各年1~3月期のみ)
↑ 印刷証明付き部数(現存「小学●年生」シリーズと幼稚園関連(一部)、部)(各年1~3月期のみ)

一部イレギュラーはあるもののほぼ右肩下がりで推移してきた現存誌において、2015年において、明らかにこれまでとは異なる動きを一部(「小学一年生」「幼稚園」)で示しているのが一目でわかる。これが「妖怪ウォッチ」特需によるもの。しかしそれ以降はあえなく失速し、再び減少基調に転じている。また2016年以降の「小学一年生」の減少ぶりが非常に大きなものであることも確認できる。

一方、直近2019年における「小学一年生」の増加ぶりもまた、特異なものとして見ることができる。他業界のムーブメントに乗る形では無く、自社キャラを積極的に活用した誌面構成や付録の充実が功を奏してきたのだろうか。保護者向け別冊付録「HugKum」も評価の対象として挙げられるのかもしれない。選択をするのは子供自身かもしれないが、購入をするのは多分に保護者であるからだ。

子供向け教材の不調さの一因としてよく語られる「少子化」だが、状況として存在する以上、その影響が否定できない。しかし今記事グラフの領域時期に該当する期間中に、幼稚園児や小学生が半減するようなスピードで少子化が進んでいるわけでは無く、少子化だけを理由とするのには無理がある。

↑ 小学生数(国公私立合計、人)(文部科学省・学校基本調査から筆者作成)
↑ 小学生数(国公私立合計、人)(文部科学省・学校基本調査から筆者作成)

「小学●年生」で現存しているのは、現時点では「小学一年生」のみ。経験則から死活ラインとなる5万部切れすら生じる時期も多々あり、先行きは明るいとはいえない。

「妖怪ウォッチ」特需をよい経験とし、今後はいかにこのタイプの特需となるネタを活用して部数底上げに活かすか。その施策を断続的に続けることができるか。感度の高い子供市場に向けたレーダーの実装と、即時に対応できる機動力、そして企画力の高さが求められる。子供を育てる立場にある保護者の納得がゆくものを創り上げるのはもちろんだが、子供自身が興味関心を抱き、保護者にねだるほどの魅力を創生し盛り込み続けるのも、職人ならではの使命であり、状況改善の道の一つに違いない。直近期の堅調な動きは、その打開策を見つけ出した兆しなのかもしれない。

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※印刷証明付き部数

該当四半期に発刊された雑誌の、1号あたりの平均印刷部数。「この部数だけ確かに刷りました」といった印刷証明付きのものであり、雑誌社側の公称部数や公表販売部数では無い。売れ残り、返本されたものも含む。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。