小中学校の学級人数推移をさぐる
・2017年度の平均学級人数は小学校で23.95人、中学校で28.10人。
・小中学校ともに平均学級人数は高度成長期は少し増える動きもあったが大よそ減少傾向にある。
・平均学級人数は1956年度から半世紀強の間に、小学校では20人強、中学校では19人強減っている。
保護者の立場にいる人は、自分が子供の頃と、今の子供のクラス人数の違いに少なからぬ衝撃を覚えた経験があるはず。小中学校におけるクラス人数の推移と実情を、文部科学省の学校基本調査に関する公開値から確認する。
まずは直近データについて。記事執筆時点では2017年度の値が最新となっている。これについて小学校・中学校それぞれの人数階層別学級数比率をグラフ化する。
小学校は26~35人が、中学校は26~40人がボリュームゾーンとなっている。また「0.0%」との区分もあるが、これはあくまでも計算上の話。例えば小学校・中学校ともに50人以上のクラスも存在する(すべて私立学校)。一方、7人以下のクラスも少なからず見受けられるが、これは特別支援学級や、複式学級(複数学年を同一クラスに編成する仕組み)など主に僻地や離島などにおける小中学校が該当すると考えてよい。
そして平均人数だが、各人数区分の中央値(調査年度数によって仕切り分けが随時変化するため、概算中央値を用いる場合もある)を用いて当方で独自に算出したのが次のグラフ。
直近データ(2017年度分)では小学校23.95人・中学校28.10人との値が出ている。値が取得可能な最も古い1956年度から半世紀強の間に、小学校では20人強、中学校では19人強減った計算。
クラス人数の多い少ないは、色々な問題と密接に関係する。いわゆる「授業妨害」を起す生徒に対処するためには(個々の生徒、そしてその保護者の素質によるところが大きいものの)、人数が少ない方がよいとする考えが一般的。また、その他の指導面でも生徒数が多いと、注意が行き届かないリスクが高まる。一方で少人数単位のグループを想像すれば容易に分かるのだが、クラスあたりの人数が少なくなると、一集団としての柔軟性に欠け、クラス単位での団結性が弱まる、個々の子供が孤立しやすくなるなどのリスクが生じる。
他方、高度成長期における揺り戻しも一部見られるが、クラス構成人数の漸減が起きているのは、教育や子供に対する社会の見方、倫理観の変化、少子化に伴い子供一人に向けられる注力の増加もまた要因なのだろう。
現状では少子化傾向、教育環境を整備し国際水準に併せるため、クラスあたりの人数が減少する傾向にある。それによって生じるプラス・マイナス両面を注意深く見守らねばならない。
■関連記事:
小学校入学直前の子供を持つ親、小学校について知りたいこととは?
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。