高校生はスマートフォンで17.0%…小中高校生の電子書籍利用の実情をさぐる(2019年公開版)

↑ スマートフォンはインターネットの窓口。ならば電子書籍も?!(写真:アフロ)

紙媒体による出版業界を大きく揺るがしているのがインターネットの存在だが、同時にそれを紙代わりのインフラとして用い、デジタルによる書籍の提供・販売を行うことで、時代の流れに乗る動きもある。スマートフォンをはじめとするインターネットの窓口となる端末が急速に普及する昨今、子供達の間に電子書籍はどこまで浸透しているのか。今回は内閣府が2019年5月に確定報の詳細値を発表した「2018年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の報告書から、小中高校生における主要なインターネット接続端末を用いた、電子書籍の利用状況を確認する。

次に示すのは主要なインターネットへの接続可能媒体でインターネットを利用している人における、電子書籍の利用状況。設問表では「何をしているか」の対象として「電子書籍」とのみ記述され、具体的な説明は無い。厳密には電子書籍と電子雑誌は別物扱いされることが多いが、今件状況では「インターネット上で読める本や漫画、雑誌など」すべてを対象としていると判断し、回答したものと見た方が間違いは無い。また有料・無料の別の設定も無いため、単純に閲読しているか否かを答えてもらったものと見なす。

なお一部属性で空欄の部分があるが、その属性では回答者自身が存在しないことを意味する。また学習用タブレットは該当者が少数で統計上のぶれが懸念されるため、グラフには反映させるが精査では取り扱わない。

↑ 電子書籍利用者比率(該当機種でインターネットを利用している人限定)(2018年)
↑ 電子書籍利用者比率(該当機種でインターネットを利用している人限定)(2018年)

パソコンではすべての属性で1割に満たない値。最大は男子高校生の9.1%。

タブレット型端末は小学生ではパソコンとあまり変わらないが、高校生では大きく伸び、1割強の値を示す(女子高校生に限れば7.9%だが)。他方スマートフォンでは中学生で1割強、高校生になると1割台後半。スマートフォンを使ってインターネットを利用している高校生のおよそ1/6は、電子書籍を利用している計算になる。

インターネット利用端末の利用者における電子書籍の利用状況としては、スマートフォンがトップ、タブレット型端末とパソコンが続くといった具合(学習用タブレットは上記の通り利用者少数で統計上のぶれが懸念されるため除外する)。また中学生から積極的に読み進められ、高校生ではスマートフォンで2割近い閲読率を示している。

しかしこれは該当端末でのインターネットの利用者限定。電子書籍の現状を把握するためには、むしろ各属性毎の利用状況を知りたいところ。そこで各属性における電子書籍利用率を算出した結果が次のグラフ。例えば総数のスマートフォンは7.5%の値が出ているので、小学生から高校生を合わせた全体のうち7.5%、およそ13人に1人はスマートフォンで電子書籍を利用していることになる。

↑ 電子書籍利用者比率(各属性全体比)(2018年)
↑ 電子書籍利用者比率(各属性全体比)(2018年)

元々各該当端末によるインターネット利用率が低い小学生は、誤差の範囲に収まる利用率しかない。実質的に「読んでいる人はナシ」と見ても構わないレベル。中学生になるとスマートフォンやタブレット型端末では利用率の高さが後押しする形でそれなりの利用者率を示す。

そして高校生。スマートフォンそのものの利用率が圧倒的な値を示していることから、それを用いた電子書籍の利用者率もグンと跳ね上がる。高校生全体の15.9%、およそ6人に1人はスマートフォンで電子書籍を閲読している計算になる。タブレット型端末の場合は50人に1人。

今件調査は小学生から高校生を対象としたものであるため、当然大学生以上の大人の動向は把握できない。ただ、例えば総務省の通信利用動向調査によれば2015年末時点でインターネット利用者に限定した場合、男性40代でも8.0%に過ぎないとの結果が出ている(2016年分以降の調査では該当項目は存在しないので、これが最新値)。

↑ 電子書籍の購入者比率(2015年末、インターネット利用者限定、比重調整・無回答調整なし)(通信利用動向調査から筆者作成)
↑ 電子書籍の購入者比率(2015年末、インターネット利用者限定、比重調整・無回答調整なし)(通信利用動向調査から筆者作成)

調査様式が異なるため単純比較はできないが、高校生のスマートフォンによる電子書籍の閲読意欲は相当高いと見てよいかもしれない。

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※2018年度青少年のインターネット利用環境実態調査

2018年11月8日から12月9日にかけて、2018年11月1日時点で満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3079人(うちウェブ経由は73人)、保護者は3445人(うちウェブ経由は21人、郵送回収法は39人)。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。