電子書籍は今や専用リーダーよりタブレット型端末が好まれる時代…米国電子書籍事情

↑ 電子書籍を読むのに好まれる端末は。その米国事情

大きく伸びるタブレット型端末の電子書籍閲読スタイル

「読書」のスタイルを大きく変化させたのが、インターネットでデータを配信する形にて読書環境を提供する電子書籍。ネットインフラの先進国である米国では、どの端末で良く読まれているのだろうか。同国の民間調査会社PewResearchCenterが2016年9月に発表した読書に関する報告書「Book Reading 2016」(※)を元に、同国の電子書籍閲読実情を、利用端末の視点から確認していく。

今調査によれば該当調査対象母集団のうち39%は、過去1年間に1冊以上電子書籍を読んだことがある。5年前に行われた同様の調査では22%との結果が出ているので、5年間でほぼ倍増した形。

ではそれぞれの時期において、いかなる種類の端末で電子書籍を閲読したのだろうか。調査対象母集団全体比(電子書籍閲読者限定では無いことに注意)を算出したのが次のグラフ。例えば2016年のタブレット型端末は15%とあるので、アメリカ合衆国の成人の15%は、過去1年間に電子書籍を1冊以上、タブレット型端末で読んだことになる。

↑ 電子書籍はどの種類の端末で読んだか(2016年春、アメリカ合衆国、複数回答)
↑ 電子書籍はどの種類の端末で読んだか(2016年春、アメリカ合衆国、複数回答)

2011年の時点では電子書籍リーダーとパソコンが同率の7%、次いで携帯電話(この時は多分に従来型携帯電話だったのだろう)、そしてタブレット型端末が4%で、この4種類の中では最下位だった。しかし直近の2016年ではタブレット型端末が飛躍的に伸びて15%となり、この4種類の中ではトップとなっている。続いて携帯電話(この時点では多分にスマホだろう)、パソコン、電子書籍リーダーが続く。それぞれの種類端末の普及率の伸長も一因だが、タブレット型端末による電子書籍の読者が多くの人に受け入れられた実態をあらためて認識できる。

電子書籍による読書の端末種類を精査する

続いて現状における「端末種類別の電子書籍の読書実情」を、回答者の属性別で見ていく。まずは性別と年齢階層別。

↑ 電子書籍はどの種類の端末で読んだか(2016年春、アメリカ合衆国)(属性別)(性別と年齢階層別)
↑ 電子書籍はどの種類の端末で読んだか(2016年春、アメリカ合衆国)(属性別)(性別と年齢階層別)

男女別では男性はタブレット型端末と携帯が同率で、パソコン、電子書籍リーダーが続くが、女性はタブレット型端末の方が高いを示している。そしてパソコンは男性よりも少なめだが、電子書籍リーダーは高め。それぞれの性別における端末種類そのものの利用性向が反映されているようだ。

年齢階層別では若年層は圧倒的に携帯が多く2割超え、次いでパソコンが続き、案外電子書籍リーダーは少ない。しかし中堅層になるとタブレット型端末や電子書籍リーダーが伸び、特にタブレット型端末は携帯と相並ぶ。適度な大きさ(≒文字の見やすさ)、持ち運びやすさを有する両端末は、自宅内での読書に好まれているのだろうか。

さらに興味深いのは高齢層。50歳以上になるとタブレット型端末が端末種類別ではトップとなり、携帯すら超えてしまう。機動力と文字の大きさの利点が、高齢者にはより一層有意な点として働くようだ。65歳以上でも1割は電子書籍をタブレット型端末で読んでいる実情は、ある意味驚きではある。

続いて学歴や世帯年収別など。

↑ 電子書籍はどの種類の端末で読んだか(2016年春、アメリカ合衆国)(属性別)(学歴、世帯年収、居住地域別)
↑ 電子書籍はどの種類の端末で読んだか(2016年春、アメリカ合衆国)(属性別)(学歴、世帯年収、居住地域別)

全体として高学歴、高年収ほど電子書籍を読む人が多いのは容易に想像ができるが、それとは別にそれぞれの属性内区切りでどの端末がよく使われるかの変化が生じているのも確認できる。具体的には低学歴では携帯がよく使われ、それら以外の端末はほとんど無し、学歴の増加と共にパソコンや電子書籍リーダー、そしてタブレット型端末の利用が増え、最上位学歴の大卒以上ではタブレット型端末が一番よく使われるようになる。見方を変えれば、低学歴者における電子書籍の閲読は携帯(多分にスマートフォン)が支えているとも読み取れる。

世帯年収別でも同様の傾向がみられるが、タブレット型端末は一番低い属性でもそれなりに使われている。しかしながら一定以上になると一番よく使われる端末となることに変わりは無い。

外出時にも気軽に使えるのは携帯電話だが、表示面積が限定されているため、当然文章は読みにくい。パソコンは大きな画像を用いることができるが、機動力がゼロ、あるいは極めて限定される。タブレット型端末や電子書籍リーダーはその点、そこそこの機動力とそれなりの画面の大きさを持ち、電子書籍を読む端末としては都合が良い。そして電子書籍を読むことだけでなく、同時に他の事もできるとなれば電子書籍リーダーよりもタブレット型端末の方が使い勝手の上では優れている。

機種の多様化と低価格化も要因だろうが、電子書籍を読むプラットフォームとしてタブレット型端末が最適解として認識されているのは、ある意味当然といえるのだろう。

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※Book Reading 2016

2016年3月7日から4月4日にかけて、アメリカ合衆国に居住する18歳以上の男女に対しRDD方式で選択された電話経由で音声対話によって行われたもので、総対象者数は1520人。うち381人は固定電話、1139人は携帯電話(そのうち636人は固定電話非保有者)。国勢調査の結果に基づいた各種ウェイトバックが行われている。