5000円を超えると現金よりクレジットカードを多用…単身世帯の代金支払い方法の移り変わりをさぐる
現金だけでなくクレジットカードなども多用する単身世帯
対価支払いには現金だけで無くクレジットカードや電子マネーなど、多彩な手段を用いることができる。単身世帯における、お金の決済手段の移り変わりと現状を金融広報中央委員会の「知るぽると」が毎年実施している調査「家計の金融行動に関する世論調査」(※)の公開結果から確認する。
まずは直近2018年における、金額別主要決済手段。4つの選択肢のうち「主なもの2つ」を答えてもらっている。
単身世帯の場合、小口決済では電子マネーの利用率が約3割となっている。5000円以下でも2割強が使っている。また、クレジットカードの利用率も高く、二人以上世帯では1万円超でようやく「現金利用率をクレジットカード利用率が超えた」のに対し、単身世帯では「5001~1万円以下」の区分で超えている。
これら二人以上世帯との差は、単身世帯が「世帯全体の家計」=「回答者本人のお財布」であることによるもの。クレジットカードや電子マネーの場合、利用の際に「個人の私財を使う」か「家計全体の出費とする」かによって争いごとが生じる、あるいは区別がつけられずに混乱する場合がある。一方で単身世帯の場合、本人の私財は同時に自らの世帯全体の資金でもあり、(わざわざ別口座で勘案している人を除けば)もめる心配は無い。従って、クレジットカードも電子カードも気軽に使えることになる。
もっともそのような状況下にある単身世帯でも、電子マネーはまだ副次的手段であり、現金が多用されていることに違いは無い。そして電子マネー以上にクレジットカードが大いに活用されているのも、二人以上世帯と同じ。
急速に利用が伸びる電子マネー
時代による変遷を見ると、(参照できるデータが2007年以降のものでしか無く、仕方が無い面もあるが、)2007年の時点で電子マネーがすでに比較的多くの人に使われていることが確認できる。
2007年の時点で2割強の単身世帯者が、小口決済で電子マネーを多用している。そして主に5000円以下の支払いで漸次利用率は増加し続けている。「小銭代わりの電子マネー」は単身世帯にとって、第二の「小銭」的立ち位置を確かなものとしつつある。ただし5000円以下の区分に限れば、この数年は利用率が頭打ち状態になっているのも事実で、利用状況の上限に達している可能性はある。5000円超では少しずつ利用率は上昇し続けているが。
一方現金は、主に少額決済の面で利用率を減らしている。クレジットカードは増加しており、「現金」から、「電子マネー」や「クレジットカード」への流れを主なものとし、支払い対象などの場面によって、払い方を変えるライフスタイルの変化が見て取れる。
直近年ではすべての金額区分で「現金」の利用率が減り、「クレジットカード」で増加している。特に少額区分での増加率が著しい。クレジットカード対応店舗が増えていることが、利用率を引き上げているのだろう。
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※家計の金融行動に関する世論調査
直近分となる2018年分は二人以上世帯においては、層化二段無作為抽出法で選ばれた、世帯主が20歳以上でかつ世帯員が2名以上の世帯に対し訪問と郵送の複合・選択式で、2018年6月15日から7月24日にかけて行われたもので、対象世帯数は8000世帯、有効回答率は44.7%。単身世帯においてはインターネットモニター調査で、世帯主が20歳以上70歳未満・単身で世帯を構成する者に対し、2018年6月22日から7月4日にかけて行われたもので、対象世帯数は2500世帯。過去の調査も同様の方式で行われている。
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