Yahoo!ニュース

「今後50年間でロボットやコンピューターが人間に取って代わる」日本人の9割近くは同意

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ ロボットやコンピューターが人に取って代わる時代。日本人はどう思っているのか。(写真:アフロ)

ロボットやコンピューターの技術は人の作業の手間を軽減し、代わりをしてくれる。未来にはどこまでこれらの新しい技術が、人に取って代わるようになると思われているのだろうか。アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerの調査「Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future」(※)の結果報告書を基に、実情を確認する。

最初に示すのは、今後50年間でロボットやコンピューター(などの新技術)が、現在は人間のしている作業の大部分を取って代わると思うか否か。具体的にどのような方面の作業などの説明は無い。

↑ 今後50年間でロボットやコンピューターが人間のしている作業の大部分を取って代わると思う(2018年)
↑ 今後50年間でロボットやコンピューターが人間のしている作業の大部分を取って代わると思う(2018年)

間違い無くそうなると断じている人は28%、多分そうなると考えている人は61%。合わせて89%の人が肯定的な意見を持っている。否定的な人は多分・絶対合わせても1割にも満たない。具体的にどの分野でどの程度代替されるかは回答者一人一人のイメージで違ってくることになるが、50年も経てば現行の人間の作業はその多くがロボットやコンピューターが代わりに行っている世の中になっているだろうとの考えが、圧倒的多数であるようだ。

報告書ではこの値に関して、同様の調査をしたアメリカ合衆国の結果である65%よりも高く、全部で9か国を対象にしているがその中でもっとも高い値であることを記している。また、年齢階層別では18~29歳における「間違い無くそうなる」の回答率は50歳以上の約3倍にあたると言及している。若年層の方がロボットやコンピューターによる世の中の大規模な変化への期待は大きいようだ。

それではロボットやコンピューターの代替化により、世の中はどのような変化を示すと考えられているのか。4つの項目について尋ねた結果が次のグラフ。

↑ ロボットやコンピューターが人間のしている作業の大部分を取って代わった場合、日本に次のようなことが起きると思うか(2018年)
↑ ロボットやコンピューターが人間のしている作業の大部分を取って代わった場合、日本に次のようなことが起きると思うか(2018年)

貧富の差が拡大するとの認識は83%、普通の人は職探しに苦労すると思う人は74%と、ロボットやコンピューターを誰が所有し利用するのか、その結果として作業がどれだけ人の手から離れるのかを考えた上で、一般の人にとってはマイナスと判断できる結果が生じると考えている人は多数となっている。他方、経済が効率化するとの考えも74%と多数の人が同意しているが、これは国全体、産業全体での話であり、一般の人にまでその効用が波及するか否かは別。むしろ経済の効率化は往々にして、効率化する以前は作業に従事していた人の職を奪うことになる。

ロボットやコンピューターが現在人が手掛けていた作業を奪うことになるが、代わりに一層よい稼ぎが期待できる、新しい仕事が登場し、その剰余人員をカバーすることになるだろうとの考えを持つ人は35%。産業構造の変化に伴う労働市場の縮小問題は、新たな仕事(産業)の登場でまかなえるだろうとの期待を持つ人は少数派でしかないようだ。

■関連記事:

「50年後にはロボットやコンピューターが人にとって代わる」世界の人達はどのように考えているか

ロボットやコンピューターが人の仕事を代替すると貧富の差は拡大するのか否か、世界の人々の考えをさぐる

※Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future

直近年分の調査は2018年5月24日から6月19日にかけて、RDD(固定電話40%、携帯電話60%)で選択された18歳以上の日本在住の人に対し、通話によるインタビュー形式で行われたもので、有効回答数は1016人。国勢調査の結果を基にウェイトバックがかけられている。なお過去の調査も同様の条件で実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

不破雷蔵の最近の記事