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「フェイク動画をしばしば観ている」15%…アメリカ合衆国でのYouTubeの問題動画への認識をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 危険行為を意図的に行い、それを動画に撮って注目を集めようとするもの多い。(ペイレスイメージズ/アフロ)

投稿動画サイトの最大手YouTubeでは日々新しい動画が投稿されるが、明らかに間違った内容の動画、問題のある動画も少なくない。アメリカ合衆国での利用者はどのような認識をしているのだろうか。同国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年11月に発表した調査「Many Turn to YouTube for Children's Content, News, How-To Lessons」(※)の報告書から確認する。

YouTubeには各種規定があり、それに抵触した投稿された動画の削除や制限が行われているが、それでも不適切な内容の動画が多数投稿され観賞できる状態にあるのは事実。その類の動画に関して、YouTube利用者(調査対象母集団の68%)はどの程度の頻度で目撃しているのかを尋ねた結果が次のグラフ。

↑ YouTubeの動画に関してどれほどの頻度で目撃しているか(アメリカ合衆国、YouTube利用者限定)(2018年5~6月)
↑ YouTubeの動画に関してどれほどの頻度で目撃しているか(アメリカ合衆国、YouTube利用者限定)(2018年5~6月)

いわゆるフェイクニュースに代表される、間違っている・虚実の内容の動画をしばしば観ている人は15%。時々観る人も合わせると6割を超えている。意図的に間違った内容の場合もあれば、本人が正しいと思った上で作成した動画の場合もある。後者の場合は単なる思い違い・理解の間違いの場合だけでなく、狂信的な思い込みによるものの場合もある。該当動画の内容が間違っていたとしても、それを作成した側がどのように判断しているのかは知るすべは無い。

さらに今件は回答者が「間違っている・虚実である」と認識できたからまだ救われるが、そのような内容の動画を正しい・事実であると判断して観賞してしまう可能性も否定できない。印象付けの上では動画は優秀なツールであり、洗脳やプロパガンダではよく使われる手法である。

「他者への罵倒などの攻撃的内容」はしばしば観るが11%だが、時々観る人は32%で、合わせると4割を超える。世間に物申す的なアクションで注意を引きつけよう、人気を得ようとするものもあれば、純粋に攻撃のために動画を用いる場合もあり、同じ属性のものとしてまとめるのはやや難があるのだが。

「危険な・問題のある行動をしている」はしばしば観るが19%と2割近く、時々観るの42%を合わせると6割を超える。事件報道や監視カメラの映像のように、結果として動画に納められてしまったものもあれば、人気を得るために意図的に危険行動をして動画を作成し投稿する事例も多々見受けられる。バラエティ番組で流れる映像はトリックやCGを使っていたり安全対策を施したものがほとんどだが、素人が真似をして同じような動画を撮ろうとするとリスクが体現化されかねない。たまたま事故が起きなかったまでの話でしかない、という危険極まりない動画となる。

報告書では今件に関して、属性別の傾向上の差異はほとんど無いとしている。かろうじて「『危険な・問題のある行動をしている』動画をしばしば観る・時々観るでは、男性は67%なのに対し女性は54%に留まっている」との例が挙げられている程度。男性の方が動画の検索をする際に、そのようなリスクある動画が出てきやすいキーワードを用いているのだろうか。

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※Many Turn to YouTube for Children's Content, News, How-To Lessons

Pew Research Centerの調査パネルATP(American Trends Panel)によって行われたもので、調査実施期間は2018年5月29日から6月11日。有効回答数は4594人。ATPはRDDで抽出された固定電話と携帯電話番号への通話で18歳以上のアメリカ合衆国居住者に対して応募が行われたもので、国勢調査の結果でウェイトバックが実施されている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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