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YouTubeとニコニコ動画はどちらが上か…動画や画像共有サービスの利用状況をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ イベントの情景をそのまま動画投稿する人も増えている。(写真:アフロ)

YouTubeは7割強の人が利用中

インターネット回線の高速化、各インターネット端末の映像処理能力の向上と映像処理技術の進歩、そして高い機動力を持つスマートフォンの普及は、動画や画像を共有するサービスを飛躍的に浸透させた。言語の壁すら取り払う動画や画像の共有化は、言葉通りワールドワイドな世界を展開させるツールとして広がりを見せている。今回は日本で主流の動画共有サービスであるYouTubeとニコニコ動画、さらには画像の共有サービスとして名を知られているInstagramに関して、総務省が2018年7月に情報通信政策研究所の調査結果として公式サイトで発表した「平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」(※)の公開値を基に、利用状況を確認する。

まずはYouTube。

↑ YouTubeの利用状況(利用スタイル・端末種類問わず)(2017年)
↑ YouTubeの利用状況(利用スタイル・端末種類問わず)(2017年)
↑ YouTubeの利用状況(複数回答、利用スタイル別、属性別)(2017年)
↑ YouTubeの利用状況(複数回答、利用スタイル別、属性別)(2017年)

全体利用率は7割強。男女別では男性の方が高く、年齢階層別では20代がもっともよく利用して9割強を示しているが、10代もほぼ同率、そして40代までは8割超えを維持している。そして50代以降は減少するも、60代以降でも3割強は利用している。

利用端末を見ると実のところYouTubeはおおよそ携帯電話メインのサービスとなりつつある(その多くはスマートフォンだろう)。男女別では携帯電話の利用状況に大きな差異は無いものの、パソコンでは男性の方が閲覧率はかなり高い。元々パソコンの利用率自身男性の方が高いため、当然の結果ではあるが、見方を変えれば男女別の全利用における比率では、女性の方が携帯電話経由の利用割合は高いことにもなる。

また10代から40代までも携帯電話経由が非常に多く、50代までは携帯の方が上な状態が続き、60代でようやくパソコン経由の利用者の方が多い状態となる。

投稿者の割合はさほど多くなく、パソコンで1.3%、携帯電話で2.1%。20代の携帯経由による投稿が突出しているが、それでも5.6%に留まっている。YouTube利用者の大勢は観賞側にあると見てよい。

ニコ動は20代では1/3強

続いてニコニコ動画。

↑ ニコニコ動画の利用状況(利用スタイル・端末種類問わず)(2017年)
↑ ニコニコ動画の利用状況(利用スタイル・端末種類問わず)(2017年)
↑ ニコニコ動画の利用状況(複数回答、利用スタイル別、属性別)(2017年)
↑ ニコニコ動画の利用状況(複数回答、利用スタイル別、属性別)(2017年)

全体では2割近く。男性の方が利用率が高く、年齢階層別では10代から20代が圧倒的で、30代以降は利用率が急激に下がる。YouTubeと比べて汎用性の低さ、投稿される動画の傾向の違いなどが原因か。

利用端末別では興味深い動きが確認できる。全体ではパソコンと携帯電話に大きな違いは無い。男女別ではパソコン・携帯電話間の差異において女性の方が大きい。そして投稿はほとんど男性のみ。年齢階層別では10代から20代が閲覧だけで無く、投稿でもそれなりの値を示しているが、30代以降は閲覧の値が低くなり、投稿率もほとんど無くなる。

Instagramは若年層に大人気

最後は動画では無く画像共有サービスのInstagram。他のソーシャルメディアとの連動性も高く、かつてのポラロイドカメラ的な使われ方もされている。2012年4月にはFacebookが買収したが、その後も独立性を保ち、他サービスとの連動性も維持されている。

↑ Instagramの利用状況(利用スタイル・端末種類問わず)(2017年)
↑ Instagramの利用状況(利用スタイル・端末種類問わず)(2017年)
↑ Instagramの利用状況(複数回答、利用スタイル別、属性別)(2017年)
↑ Instagramの利用状況(複数回答、利用スタイル別、属性別)(2017年)

全体利用率は25.1%。おおよそ4人に1人は使っている。男女別では女性が圧倒的に多く、3割強で男性の1.6倍近くの割合。年齢階層別では10代から30代が主流で、20代に限れば過半数の人が利用していることになる。

利用端末・スタイル別では圧倒的に携帯電話経由が多い。また、閲覧だけでなく投稿率も高いのが特徴で、20代では3割近くの投稿率を示している。40代でも携帯経由の閲覧率は2割近く、投稿率も5.3%と、決して低くない値を計上している。

日本で利用できる動画・画像共有サービスは今回例示した以外にも多数存在する。また最近では録画した動画ファイルの共有では無く、リアルタイムでライブ配信をするストリーミング系サービス(例えばツイキャス、ニコニコ生放送、YouTube live、Ustreamなど)も注目を集めている。これらもさらに利用率が高まれば、あるいは調査対象項目として加わるかもしれない。

冒頭で動画・画像共有サービスの拡大の理由をいくつか挙げたが、最大の要因はやはりスマートフォンの普及にある。今後さらに端末の利用率は上昇することから、動画・画像共有サービスもまた同様に、その利用状況は活性化することだろう。

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※平成29年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査

2017年11月11日から17日にかけて、全国125地点をランダムロケーションクォーターサンプリング(調査地点を無作為に抽出、地点ごとにサンプル数を割り当て、該当地域で調査対象者を抽出する方法)によって抽出し、訪問留置調査方式により、13歳から69歳の1500サンプルを対象としたもの。アンケートと日記式調査を同時並行で実施し、後者は平日2日・休日1日で行われている。グラフ・本文中の表記の「10代」は、厳密には13~19歳を意味する。

今件記事で用いられている回答値は、各サービスの利用をどの種類の端末から行っているかに関する値。回答時点で該当サービスを動画・画像の閲覧のみで利用しているか、書込みや投稿をしているか(設問では単に「書き込む・投稿する」とあるので、動画共有サービスにおいては動画の実投稿以外にコメントの記述などまで含むと回答者が判断したとする)。そして利用する際の端末はパソコン(ノートパソコン、デスクトップパソコンの双方)か、携帯電話(従来型携帯電話、スマートフォンの双方)かについて尋ねている。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記の無い限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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