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パートやアルバイトの飲み事情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ パートやアルバイトだって仕事をした後は飲みを楽しみたい!?(ペイレスイメージズ/アフロ)

・パートやアルバイトの人は勤務後にお酒そのものを飲まない人が4割前後。飲む人でも大よそ半分以上は家飲み(2018年)。

・パートやアルバイトで勤務後にお酒を飲む人の飲み代は、一般の会社員と比べると7割から8割程度。

パートタイムやアルバイトとして働く人たちの賃金動向は多方面で調査されているが、勤務後の飲み実情はあまり知られていない。その内情を新生銀行の定点観測的調査報告書「サラリーマンのお小遣い調査」(※)の最新版から確認する。

今調査結果によるとパートやアルバイトの一か月あたりの平均こづかい額は、男性では2万8638円、女性では2万3261円。

↑ パート・アルバイトの一か月の平均こづかい額(男女別、年齢階層別、円)(2018年)
↑ パート・アルバイトの一か月の平均こづかい額(男女別、年齢階層別、円)(2018年)

今調査に関する先行記事前年比で大きく増加…2018年のサラリーマンこづかい事情をさぐるでも解説している通り、サラリーマンの平均こづかい額である3万9836円と比べるとかなり低い額。

↑ サラリーマンの平均こづかい額(月額、年齢階層別、円)
↑ サラリーマンの平均こづかい額(月額、年齢階層別、円)

お財布事情が厳しいと、当然仕事の後の楽しみの一つである「飲み」に関する状況も厳しいものとなる。パート・アルバイトの飲み事情は次の通り。

↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(パート・アルバイト、男性、年齢階層別)(2018年)
↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(パート・アルバイト、男性、年齢階層別)(2018年)
↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(パート・アルバイト、女性、年齢階層別)(2018年)
↑ 仕事が終わった後のお酒の飲み傾向(パート・アルバイト、女性、年齢階層別)(2018年)

男女ともに4割前後は酒を飲まず、飲む人でもほとんどの属性で半数以上は家飲み(男性20代でかろうじて外飲みの方が家飲みを上回っている)。大よそ年上になるほど外で飲まない人が増えるのも特徴の一つで、一般の会社員と同様に「酒は飲めるし飲みたい気分だが金銭的な事情でダメ」な実情に加え、仕事場での同業者とのつながりが得にくいのも要因であると考えられる。中長期的な就労が考えにくい、あるいは時間の制約もあるパートやアルバイトの人同士が、仕事を終えた後に居酒屋に寄って一杯…とのパターンは会社員と比べると難しいのだろう。女性の場合は既婚者のケースが多く、外飲みが難しいとの事情もあるに違いない。

飲みをするにしても、やはり昼食代やこづかい同様、ひかえめな金額となってしまう。

↑ 外飲みの一回あたりの平均金額(外飲みする人限定、就業形態別、男女別、円)(2018年)
↑ 外飲みの一回あたりの平均金額(外飲みする人限定、就業形態別、男女別、円)(2018年)
↑ 家飲みの一回あたりの平均金額(外飲みする人限定、就業形態別、男女別、円)(2018年)
↑ 家飲みの一回あたりの平均金額(外飲みする人限定、就業形態別、男女別、円)(2018年)

同調査の会社員における飲み代と比較すると、パート・アルバイトの飲み代の金額は会社員の7割から8割程度の額面に留まっている(女性の外飲みはむしろパート・アルバイトの方が高い値を示しているが)。思い返してみれば正規社員・非正規社員の賃金差は7割前後という調査結果が複数の調査から出ている。例えば次のグラフは2017年分の賃金構造基本統計調査(厚生労働省)の結果を基に生成したものだが、雇用形態別・男女別の平均賃金は非正規社員の賃金は正規社員に比して、男性で2/3強、女性で7割強となっている。

↑ 雇用形態・男女別平均賃金(千円)(2017年)(賃金構造基本統計調査から筆者作成)
↑ 雇用形態・男女別平均賃金(千円)(2017年)(賃金構造基本統計調査から筆者作成)

今件調査の会社員には非正規社員も含まれているが、大よそ近い比率ではある。

■関連記事:

正規社員と非正規社員の賃金格差を年齢階層別にさぐる

正社員58.8%、パート・アルバイト29.2%…日本の雇用形態の現状をさぐる

※サラリーマンのお小遣い調査

直近年分となる2018年分は2018年4月12日から16日にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は2713人。男女会社員(正社員・契約社員・派遣社員)に加え、男女パート・アルバイト就業者も含む。公開資料では多くを占める会社員は男性1252人・女性791人。年齢階層別構成比は20代から50代まで10歳区切りでほぼ均等割り当て(実社員数をもとにしたウェイトバックはかけられていないので、全体値では社会の実情と比べて偏りを示している場合がある)。未婚・既婚比は男性が40.0対60.0、女性は59.9対40.1。パート・アルバイトに属する人達は、男性412人、女性258人。年齢階層比は男女ともに10歳区切りでほぼ均等割り当て。今調査は1979年からほぼ定点観測的に行われているが、毎年同じ人物を調査しているわけでは無いことに注意。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。

(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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