2017年時点で71万人…「ニート」数の推移と現状をさぐる

↑ 「ニート」な状態にある人達。その実情は。(素材:ぱくたそ)

・ニートの概念に近い若年無業者の数は2017年時点で71万人。前年比でマイナス6万人。

・若年無業者の中でもより若い年齢階層の15~29歳層は2002年や2004年の47万人を最大値とし、それ以降は減少する傾向に。より上の年齢階層の30~39歳は漸増傾向にあったが、ここ数年で減少の兆し。

・若年無業者となった理由は病気やけがによるものがトップ。

「ニート」の概念とその実数推移

2018年6月に内閣府から発表された「子供・若者白書」では、いわゆる「ニート」に該当する「若年無業者」の動向の解説も行われている。その実情と過去からの動向を確認する。

「ニート」は「NEET(Not in Employment、Education or Training)」の日本語読みをしたもの。そのまま直訳すると「就業、就学、職業訓練のいずれもしていない人」となる。今白書では類似概念の「若年無業者」と表現しているが、その定義は「15歳から39歳の非労働力人口(状況をかんがみて求職活動をしていない人など)のうち、家事も通学もしていない者」となっている(前回年分の2017年版までは「15歳から34歳」が年齢の区切りだった。各種状況を考慮し、定義の変更が行われたようだ)。求職活動と職業訓練はまったくの同一では無いが、当事者の意志としてはほぼ同じであり、「若年無業者」と「ニート」は大体同列のものと見なしてよい。

その「若年無業者」の推移は次の通り。

↑ 若年無業者(≒ニート)数(万人)
↑ 若年無業者(≒ニート)数(万人)

直近2017年のニート総数は71万人で前年比マイナス6万人。15~29歳では最初のピーク時の2002年と比べて11万人減少しているが、30~39歳は同年比較で3万人の増加。若年層の人口そのものが減少していることを考慮すると、若年層に当てはまる15~29歳の若年無業者数が減少傾向にあるのは当然の話といえる。一方でその上の年齢階層における人数が増加している状況は、あまり好ましい話では無い。

2001年から2002年にかけて有意に値が増加しているが、この原因は不明。白書にもそれに関する分析は無い(ニートに近い概念として若年無業者が白書に登場したのは2005年版・2004年分、「「ニート」に近い概念である若年無業者」として文言が明確に記されたのは2006年版・2005年分以降)。タイミングも含め、2002年度から開始された学校完全週5日制との関連を指摘する論文も見受けられるが、因果関係までは不明。

2017年版の白書までは参考値としてのみ提示され、「高齢ニート」との暫定的な定義をしていた35~39歳層だが、2002年に全体数が大きく増加したのとほぼ同じタイミングで大きな増加を示し、2009年・2010年・2012年には最大値の21万人を計上。2013年以降にようやく減少に転じた雰囲気を示している。

ニート状態となる・ならざるを得ない理由

白書では「若年無業者」について、「仕事に就きたいけれども求職活動をしていない(就業意欲はある)」「仕事に就きたくない・就けない(就業意欲が無い)」それぞれの立場において、その理由の調査結果(2012年のもの)を公開している。大本のデータは「就業構造基本調査」からのもので、5年おきの調査のため、現時点では2012年のものが最新。原典となる「平成24年就業構造基本調査」から詳しい値を抽出し、実情を確認する。

↑ 若年無業者の非求職理由(就業希望者のうち非求職者)(2012年)
↑ 若年無業者の非求職理由(就業希望者のうち非求職者)(2012年)
↑ 若年無業者の非就業希望理由(非就業希望者)(2012年)
↑ 若年無業者の非就業希望理由(非就業希望者)(2012年)

「職に就きたいとの思いはあるが、求職はしていない」人の場合、現在病気やけがで求職がかなわない事例がもっとも多く31.3%。次いで「(職を)探したが見つからない」が10.7%、資格取得のための勉強をしている、いわゆる「浪人状態」の人が10.3%で続く。一方、就業そのものを望んでいない人(非就業希望者)も病気やけがによるものが最多で3割強。次いで資格取得のための浪人として。就業希望者と大きく変わるところは無い。また、「特に理由は無い」を考察に加えると、病気やけがによるものに続く第2位の理由となっている。

内容を項目別に精査すると、

・「病気・けが」などは仕方が無く、回復すれば容易にニート状態から脱せられる可能性は”比較的”高い。

・「学校以外で勉強をしている」などは先を見据えた上で自らその立場についている「若年無業者」であり、問題視されている「ニート」とは本質的な意味合いが異なる。

・「急いで仕事につく必要が無い」「特に理由は無い」は、世間一般的に語られる「ニート」の筆頭に挙げられる。

・「探したが見つからない」「希望する仕事がありそうに無い」「知識・能力に自信が無い」は、「個人の問題(努力不足、現状認識不足など)」「雇用環境の問題」双方の可能性、あるいは両方の複合的な結果による場合があり、一概に振り分けるのは難しい。

などとなり、ひとくくりで全部を「ニート」とまとめるのには多分に問題があることが分かる。また、両パターンで「その他」の回答が多いことから、さらに提示項目だけでは説明しきれない、個々の多種多彩な事情も想起される。

今件の「若年無業者(ニート)」問題は「ニートの状態とは、そもそも何が問題なのか」といった根本部分から考察し直す必要があり、そして解決は一筋縄ではいかない。その実態が、今回のデータからあらためて想像できよう。

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