2017年は95万人…高齢フリーターの推移と現状

↑ コンビニのアルバイトでもそこそこ歳を召している人を見かけるように(写真:アフロ)

・フリーターの定義より年上(35~54歳)の高齢フリーターは2017年では95万人。

・高齢フリーターは大よそ年々増加中。2016年では初の100万人突破。

・高齢フリーターの該当年齢層人口比も増加中。2017年では35~44歳層が3.0%、45~54歳層が2.4%。

職業選択の自由は日本国憲法に定められた基本的人権の一つだが、一方で社会的論点として「ニート」と並ぶ形で「フリーター」に関する問題がしばしば挙げられる。さらにこの「フリーター」と立場はほぼ同じものの、一般的定義では年齢の上限を超えるために該当しない「高齢フリーター(壮齢フリーター)」にも注目が寄せられている。今回は総務省統計局が2018年2月に発表した、2017年分の労働力調査(詳細集計)の速報結果から必要な値を抽出し、この「高齢フリーター」の動向を確認する。

「フリーター」とは、年齢が15歳から34歳までで、男性は卒業者・女性は卒業済みで未婚の者のうち、「(1)雇用者のうち”パート・アルバイト”の者」「(2)完全失業者のうち探している仕事の形態が”パート・アルバイト”の者」「(3)非労働力人口で、家事も通学もしていない”その他”の者のうち、就業内定をしておらず、希望する仕事の形態が”パート・アルバイト”の者」の者を指す(配偶者と死別、別離した女性は該当しない)。

労働力調査では2010年版で他の条件に合致するものの、年齢が35歳から54歳までの者に対し、はじめて「高齢フリーター」との表現を使い、「フリーター」より年上の人達に対する定義づけを行った。それ以降の版ではこの表現は用いられていないが、この定義に基づいて「高齢フリーター」の値を計算していく。なお55歳以上をカウントしないのは、その年齢に達すると通常雇用されていた人の退職者(「高齢フリーター」とは言い難い)も多数混じってしまうため。

↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」の推移(万人)(いわゆる「高齢フリーター」)(2017年)
↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」の推移(万人)(いわゆる「高齢フリーター」)(2017年)
↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」(いわゆる「高齢フリーター」)の推移(万人)
↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」(いわゆる「高齢フリーター」)の推移(万人)

従来の意味での「フリーター」は2002年以降しばらく数を減らし、2008年を底値としてやや上昇、2010年以降は横ばい、さらには減少の傾向にある。それに対し「高齢フリーター」はほぼ一貫して(多少の起伏はあるが)増加している。35歳にまで歳を重ねた時点で突如フリーターを脱し、雇用上の安定感を得ているわけでは無く、35歳以降も引き続き不安定な雇用情勢に置かれている人がおり、それが年々増加している状況。直近年となる2017年では前年比で6万人も減少し、ようやく天井を打ったようにも見える動きをしている。

年齢階層別で見ると2011年までは「45~54歳層」はほとんど横ばいだったのに対し、「35~44歳」の増加が著しい。このことから、本来のフリーター枠で定義された「25~34歳」の人たちが逐次歳をとり、この層に加わって「高齢フリーター」の数を押し上げていることが想像できる。特に2011年は35~44歳層の増加幅が大きく、計測・データがある期間内では最大の増加数(前年比8万人プラス)なのが確認できる。

一方2012年以降はより高齢となる45~54歳層の増加も始まっている。万単位のカウントなので多少の誤差はあるが、2012年以降35~44歳層よりも45~54歳層の増加幅が大きくなっている。通常フリーター層から高齢フリーターの前半期の増加への移行による高齢フリーターの増加だけで無く、前半期から後半期への移行増加も始まったものと考えられる。ややこしい話になるが「高齢フリーターの高齢化」な次第。

直近の2017年では高齢フリーターの若年層部分、つまり35歳から44歳層の人口が大きく7万人も減り、45~54歳層は前年から1万人の増加となり過去最高値を計上、結果として合計値は前年から6万人減少し、記録の限りでは過去最高の101万人となった前年から大きく減る形となった。今後さらに年を取り高齢フリーターの層を厚くしていく可能性がある35~44歳層の大幅な減少は、よい傾向に違いない。

年齢階層別人口に対する構成比率の変移は、直近年では35~44歳の仕切りでは大幅に減少、その上の45~54歳ではほぼ変わらず。中長期的に見ても天井感の雰囲気を覚えさせる。

↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」(いわゆる「高齢フリーター」)の該当年齢階層に占める割合
↑ 「中高年層のパート・アルバイト及びその希望者」(いわゆる「高齢フリーター」)の該当年齢階層に占める割合

景況感は回復に向かい、失業率は低下し、フリーターそのものは減少し、ようやく高齢フリーターにも上昇に歯止めが見えてきたのが2017年の動き。他方、該当者の内訳をみると、多くが完全失業者では無くパート・アルバイトの雇用状況にある現状から(例えば男性35~44歳における29万人のうち、パート・アルバイトの者は25万人に達している)、長年フリーターを続けた中堅層のパート・アルバイト「以外」として雇用されることが難しい状況が、これまでの高齢フリーターの増加を後押ししていたのだろう。

「(高齢)フリーター」すべてを「大人として望ましくない姿」「社会的に批判される立場」のような、否定的な存在としてとらえるべきでは無い。そのようなライフスタイルを望む、そしてそれをかなえられるだけの条件が整っている人も多数いる。一方で、フリーターから抜け出たいにも関わらず、悪循環の繰り返しでフリーターの立場に居続けざるを得ない人もいる。よほどのスキルや推薦、コネが無い限り、フリーターの期間が長いほど、職歴の上でも、経験の上でも正規雇用は難しくなる(雇用する側の立場で考えれば、容易に理解はできるはず)。

このような状況に対し、企業、行政、そして周囲の人たちはどのような手立てを講じるべきか。該当者本人はもちろん、関係各部局の意識改革が求められ、必要であれば状況改善のための行動が求められている。

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