全体では7割超え…パソコンの世帯単位での保有状況をさぐる
・世帯単位でのパソコンの保有率は72.5%。
・世帯主の年齢階層別では20代~50代までは8割超え。世帯年収別では大よそ高年収ほど高保有率。
・具体的保有台数では、若年層世帯ほど単数保有率が高い。子供がいる世帯では台数がいくぶん多くなる傾向。
パソコン世帯保有率、全体では7割強
若年層でパソコンの操作に難儀する人の話はよく聞かれるようになり、「若者のパソコン離れ」との言葉も生じている。それでは実態として、世帯単位でのパソコンの保有率はどの程度なのだろうか。総務省が2018年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に確認する。
次に示すのは世帯単位でのパソコン保有率。パソコンの機種形態は特に問われていないので、デスクトップでもノートでも構わない。他方、「保有していても、過去1年間に一度も使用していない機器や職場の経費で購入した機器は『保有していない機器』としてください」との説明があるため、昔使っていたが押入れにしまったままのような、非利用状態のものは該当しない(つまり今件の保有率は、ほぼ利用率をも意味する)。要は今でも現役として使っているパソコンがあるか否か。また、インターネットへ接続しているか否かは問われていない。
全体では72.5%。世帯主の年齢階層別では20代でもすでに81.3%と8割に届いており、50代でピークの85.5%。それ以降は減少を示すが、80歳以上でも39.2%とほぼ4割。
世帯構成別では高齢者を含む世帯で低く、単身世帯でやや低め。むしろ世帯主の年齢に引っ張られている感はある。世帯年収別では200万円未満で4割を切るものの、200~400万円層ですでに66.8%、400万円以上は全体の平均値を超える値が計上されている。世帯年収別の区分の内訳を見るに、200万円未満の層の55.7%は65歳以上であることから、こちらもまた年齢に起因するものなのだろう(高齢者は多分に貯蓄の切り崩しにより生活費の補てんを行うが、それは収入には含まれないので、生活の様相と年収とは必ずしも連動しない)。
何台パソコンを持っているか
実際にパソコンを保有している人なら分かると思うが、新しい機種に買い替えても古い機種を予備機的に保存しておいたり、メイン機種とサブ機種に使い分けるケースが多々ある。昨今ではタブレット型端末やスマートフォンがその予備機やサブ機種代わりとなっている場合があるが、すでにパソコンそのものをその目的に使っている時には、わざわざさらに予備機として買い増すこともあるまい。
次以降に示すのは、パソコンの保有台数別の保有状況。上でも説明した通り、あくまでも現役機種として利用しているものに限る。
世帯主年齢階層別では、若年層ほど単数保有が多い実情が分かる。買い換えによる予備機化が行われる機会がまだ無いのか、あるいはタブレット型端末などを併用することで、パソコンの複数所有の意義を見出せないのだろう。また、子供がいない場合には、子供に別途パソコンを買い与える必要も無いため、その点でも台数は少なくなる。
世帯年収別では大よそ高年収となるに連れて台数も増えていく。世帯年収が1500~2000万円未満では7.9%の世帯が4台、2.6%もの世帯で5台以上の所有率。
最後は世帯構成別。構成人数が少ない世帯ほど、台数は少なくなる。子供がいる世帯では必要に駆られてか、台数がやや多くなる傾向があるようだ。他方、高齢世帯では保有率そのものは低いものの、複数台の保有率が案外高めで驚かされる。4台保有世帯に限れば3.6%にも達している。
今調査の限りでは現役のパソコンに限っても高い保有率が確認できるなど、若年層のパソコン離れ的な話とはかい離した結果のように思える。インターネットへの接続の是非は問われていないものの、少なくとも利用しているのだから、操作系は理解把握できているはずである。
あるいは利用頻度の上で、スマートフォンなどのモバイル端末にウェイトが置かれ、結果として「使ってはいるがさほど慣れていない」状態なのかもしれない。
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※通信利用動向調査
2017年分は2017年11月~12月に、世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送による調査票の配布および回収の形式によって行われている(企業向けは一部オンラインでも実施)。有効回答数はそれぞれ1万6117世帯(4万1752人)、2592企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。過去もほぼ同様の条件下で実施されている。
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