2割近くの人が利用中…オンラインゲームの利用実情をさぐる
・オンラインゲームの利用者率はインターネット利用者限定で24.7%(2017年)。
・年齢階層別では男性では13~19歳がもっとも多く65.1%、女性でも13~19歳が最多だが36.0%。ピークの年齢階層より上の年になると利用率は漸減。
・調査対象母集団全体比では17.7%。
インターネットのインフラとしての普及と、それにアクセスするための窓口となるパソコンやスマートフォンの普及で、大きく様変わりしたのがゲーム業界。今ではインターネットへの接続で不特定多数との意思表示や、運営側が有するデータとのやりとりによって進展するゲーム(オンラインゲーム)がごく当たり前のものとなってしまった。そのオンラインゲームは現状でどこまで普及しているのだろうか。総務省が2018年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に確認する。
次に示すのは2017年時点で過去1年間にインターネットを利用したことがある人において、オンラインゲームをプレイしたことがあるか否かを尋ねた結果。ここにおけるオンラインゲームとは「インターネットを利用し、多人数で同時に同じゲーム進行を共有することができるゲーム」と説明されている。多人数同時参加型ネットワークロールプレイングゲームの類に限らず、ソーシャルゲームなども該当すると見てよい。また全部無料でプレイできるものに加え、有料制のもの、そして基本は無料だが特殊な環境や設定を利用する場合には課金を行う(例えばアイテム課金)もすべて含まれる。さらに機種は特定していないので、パソコンでもスマートフォンでも家庭用ゲーム機でもかまわない。
全体では24.7%。インターネットを利用している人の1/4近くは、オンラインゲームを利用している計算になる。全般的には女性よりも男性が積極的に利用しており、年齢階層別では男性は中学生から高校生ぐらいでピークに達し20代まで半数超えが続くが、30代以降は利用率も減っていく。男性は中高生の時がピークだが、20代まで5割超えが継続する。50代に入ると利用者は1割程度にまで減り、60代になると数%程度にまで値は落ち込む。
女性は増減の仕方は男性と大きな違いは無いものの、元々の値が低く、最大値も4割に届かない。男女間のオンラインゲームへの熱中ぶりの違いがよく表れている。
上記のグラフはインターネット利用者に占める割合。実際には年上になるに連れてインターネット利用率そのものも減少していくので、世間一般との認識にはいくぶんのずれが生じている。そこで調査対象母集団全体として、各属性全員に対する比率を求めたのが次のグラフ。例えば男性20代は50.0%とあるので、インターネットを利用している人、していない人も合わせて男性の20代全員のうち半数はオンラインゲームをしている計算になる。
全体では17.7%、男性は2割強、女性は1割強。世間へのゲーム浸透度を推し量るのにはこちらの値の方が適切だろう。男性は中高生から20代までは5割以上、40代で3割近くにまで落ちる。男性では大よそ40代と50代がプレイヤーとしての境目だろうか。
女性も男性とはあまり変わらない増減を見せるが、元々の値そのものが男性と比べて低い。ピークは中高生から20代で3割強。30代以降はほぼ男性と同じような減少ぶりを見せていく。
世帯年収別では800~1000万円未満が増加のピークで、あとはほぼ横ばいからやや減少。1500万円以上が低い値を示しているのは、ゲームとは距離を置きがちな高齢層が多く属しているため。
昨今ではオンラインゲームといえばスマートフォンを用いたものがよく知られている。基本無料でアイテムなどによる課金制のシステムがメインだが、スマートフォンそのものの利用者数が多く、カートリッジや光磁気ディスクのようなメディアによる提供ソフトと比べてアプリケーションによる提供のため購入しやすいこともあり、流れに乗れば利用者は万単位のものとなり、売上も大きなものとなりうる。セールス的に優れたタイトルを生み出すことができれば、経営的に傾いた会社を立て直すこともできるほど。
通販や交通地図と異なり、生活の上での必需性は無いため利用率は限られたものとなってしまうが、それでも現状はまだまだ伸び代があるようにも見える。例えば「ポケモンGO」のような、幅広い層が興味関心を抱くタイトルの創生が求められよう。
■関連記事:
ソーシャルゲームの課金経験は四人に一人、平均額は1300円/月
「ノーゲームデー」の誤解と実態、そして子供が本当に必要だったもの
※通信利用動向調査
2017年分は2017年11月~12月に世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送による調査票の配布および回収の形式によって行われている(企業向けは一部オンラインでも実施)。有効回答数はそれぞれ1万6117世帯(4万1752人)、2592企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。過去もほぼ同様の条件下で実施されている。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。