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タブレット型端末の普及率の現状を詳しくさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 憩いの場でタブレット型端末。世帯ベースでの普及率の実情は。(写真:アフロ)

・世帯ベースでのタブレット型端末の普及率は単身世帯で20.1%、二人以上世帯で36.8%(2018年)。

・タブレット型端末の普及率は単身世帯では若年層、二人以上世帯では中年層ほど高い普及率を示している(2018年)。

・高い世帯年収ほどタブレット型端末の普及率は高くなる(2018年)。

ここ数年の間にスマートフォンとともに急速に普及が進み話題に上るようになったモバイル端末、タブレット型端末。それなりに高い機動性を持ち、ノートパソコンに匹敵するパソコン的な使い方が可能で、スマートフォンのようなタッチパネル方式での操作が行える。いわばパソコンとスマートフォンの中間的な立ち位置にある端末だが、最近ではノートパソコン的に使えるものも登場し、その柔軟性の高さから、パソコンの代替機として選択する人も多い。そのタブレット型端末の世帯ベースでの普及率の実情を内閣府の消費動向調査(※)の結果を基に、複数の視点から確認する。

まずは全般的な世帯普及率。単身世帯は20.1%、二人以上世帯は36.8%。一人の世帯では大よそ5世帯に1世帯、二人以上世帯では3世帯に1世帯以上がタブレット型端末を保有していることになる。ちなみに全部の世帯を合わせた総世帯の保有率は31.6%、1保有世帯あたりの保有台数は1.29台。

↑ タブレット型端末世帯主男女別普及率(2018年3月末)
↑ タブレット型端末世帯主男女別普及率(2018年3月末)

いずれの世帯種類でも男性の方が普及率は高め。普及が進んでいるとはいえ、まだ汎用的なレベルには届いていないため、デジタル系アイテムに強い関心を持ちやすい男性の方が、より強い所有願望を抱いているのだろう。また必要性の観点でも女性は男性ほど有用性を見出していないのかもしれない(より機動性の高いスマートフォンを好むとの観点もあろう)。

続いて年齢階層別の保有率。男女別とクロスした区分と、詳細年齢階層別区分のデータが用意されているので、それぞれをグラフ化し、現状を確認する。

↑ タブレット型端末世帯主年齢階層別普及率(2018年3月末)
↑ タブレット型端末世帯主年齢階層別普及率(2018年3月末)
↑ タブレット型端末世帯主男女別・年齢階層別普及率(2018年3月末)
↑ タブレット型端末世帯主男女別・年齢階層別普及率(2018年3月末)

単純な年齢階層区分別だが、最多保有層は単身世帯が29歳以下だが40代まではさほど違いは無し、二人以上世帯では最多保有層は40代だが30代から50代でそれほど大きな違いは無し。新型デジタル機器への興味関心・好奇心の高さが若年層から中年層までの単身世帯の保有率を引き上げ、また二人以上世帯では子供との共有も考慮した上での調達事例が多いことから、30代から50代の保有率が高いものと考えられる。

また男女別の普及率だが、二人以上世帯の60歳以上以外のすべての属性で、男性の方が高い値が出ている。女性はより機動性のあるスマートフォンを好むからだろうか。

最後は世帯年収別に見た、タブレット型端末の普及率。なおグラフの表記上、一部の属性では「以上」を省略している。例えば「300~400万円未満」は「300万円以上400万円未満」を意味する。

↑ タブレット型端末世帯年収別普及率(2018年3月末)
↑ タブレット型端末世帯年収別普及率(2018年3月末)

単身世帯・二人以上世帯ともに、低年収ほど低普及率、高年収ほど高普及率の傾向が見られる。今やタブレット型端末は安価なものも多数登場しているものの、外出して通信回線に直接つなぐ(WiFiを使わない)となればそれなりに通信コストは必要となる。また手持ちのパソコンやスマートフォンでインターネットへのアクセスは事が足りる人も多く、タブレット型端末は現状では「あれば便利にこしたことは無いが、無くても特段困るものでは無い」との位置づけをしている人も多い。結果として、年収による普及率の差が大きく出てしまうことになる。

タブレット型端末は屋内での利用機会が多く、また電子書籍との連動性が注目されている。一方でノートパソコンの代替機として使う場合はともかく、必要性の高い使い方を見出しにくい、タブレット型端末が無いと困る事例がさほど無いのも事実。他方、子供の教材や遊び道具として、あるいは教材用のタブレット型端末も多数市場に出回り始めており、こちらは子供(を持つ世帯)への急速な浸透が確認されている。さらにはそこから転じ、通常のタブレット型端末を子供の玩具代わりに使わせるケースも多々見受けられる。

現在は試行錯誤の中で、タブレット型端末の有用性が模索されている時代ともいえる。電子書籍リーダーとの兼用も併せ、多方面の切り口で提案が行われつつ、少しずつ普及が進んでいくのだろう。

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※内閣府の消費動向調査

今後の暮らし向きの見通しなどについての消費者の意識や各種サービスなどへの支出予定、主要耐久消費財などの保有状況を把握することにより、景気動向判断の基礎資料を得ることを目的としている調査。調査世帯は、二人以上の世帯、単身世帯毎に三段抽出(市町村・調査単位区・世帯)により選ばれた8400世帯。調査時期は毎月1回で、調査時点は毎月15日。毎月10日前後に調査対象世帯に調査票が届くよう郵送し、毎月20日頃までに届いた調査票を集計する。

毎月調査を実施しているが年1回、3月分において、他の月よりは細部にわたる内容を調査している。その中の項目の一つ「主要耐久消費財の普及・保有状況」を今件精査では用いている。これは「回答者の世帯において対象品目を回答時点(直近分の場合は2018年3月末時点)で持っているか否か」「持っている場合は保有数量はどれほどか」を尋ねた結果。具体的な利用状況は尋ねていない。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。

(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロで無いプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。

(注)「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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