どの地域が一番牛豚鶏肉を食べているのだろうか、その実情をさぐる
・2017年時点では量あたりの単価は牛肉が一番高く、次いで豚肉、鶏肉の順。
・二人以上世帯では牛肉は京都府京都市、豚肉は新潟県新潟市、鶏肉は大分県大分市が一番たくさんの量を食べている。
・鶏肉をたくさん食べる地域は大よそ九州から四国、近畿に集中している。
餃子の消費量日本一をめぐり各地域が激しい競争をしていることはよく知られている。これは総務省統計局の家計調査の年次調査結果を基に、金額ベースでの高低を比較したもの。そこで似たような手法で、しかも支出金額では無く量から、主要な精肉の消費動向を見ていくことにする。つまり「どの地域がいちばん多くの量の牛肉、豚肉、鶏肉を食べているか」を公的データから確認する次第。
今回精査では「二人以上の世帯」を対象とする。本来なら総世帯(全部の世帯)の値を用いることで世の中全体の動向を推し量るのが筋ではあるが、「家計調査」の年次データでは総世帯と単身世帯において分量の調査が行われておらず、値の抽出は不可能となっているため。
まずは大まかな状況確認のため、牛肉・豚肉・鶏肉の大よその相場を東京都区部の値で示しておく。
部位や市場、産地、販売地域など多様な条件で変動はあるが、大よそ種類毎にこの程度の価格差が出ているとの認識ができる。やはり牛肉は高め。豚肉の2倍以上。
続いて「牛肉」「豚肉」「鶏肉」それぞれの、年間購入(消費)量上位10位の都道府県庁所在地をグラフ化し、状況を確認する。世帯単位での年間消費量を示したもので、例えば牛肉消費量トップの京都府京都市なら、二人以上世帯限定だが2017年の1年間で1世帯あたり平均約10キロを消費したことになる。
牛肉は京都府京都市、豚肉は新潟県新潟市、鶏肉は大分県大分市が一番たくさんの量を食べている計算になる。個々の精肉の比較なら、「西日本は牛肉」「東日本は豚肉」「九州は鶏肉」との構図が大よそつかみ取れる。また各グラフの横軸の区分を見れば分かるが、分量的には全般として「豚肉」>「鶏肉」>「牛肉」であることがわかる。重量あたりの単価は鶏肉が一番低いが、鶏肉の消費量が一番多いわけでは無い。
もちろん「地域によっては豚肉以上に牛肉が(重量の観点で)食べられているところもあるかもしれない」との疑問がわいてくる。しかし今データの限りではそれは皆無だった(のでグラフの類は省略する)。残るは「豚肉」と「鶏肉」のどちらが多く食べられているか。つまり主要精肉3種類のうち、「豚肉」では無く「鶏肉」が分量面でもっとも多く食べられている地域はあるのか否かが気になる。
そこで実際に「豚肉」と「鶏肉」の購入消費量を比較し、「鶏肉が豚肉より多く食べられている」(=主要3種精肉では量の上で鶏肉が一番多く食べられている)地域を抽出し(該当する都道府県庁がある地域)、日本地図に反映させたのが次の図。図版の作成には【白地図ぬりぬり】を利用している。
大体九州から四国、近畿に集中していることが分かる。この地域は唐揚げ文化が活性化しており、結果として消費分量が多いのも納得できる。例えば「鶏肉」の最多消費量を誇る大分県大分市と東京都区部の消費量を比較したのが次のグラフ。
単純計算で大分は東京の約1.38倍の鶏肉を消費している。大分の人がいかに鶏肉を愛しているかが、改めて理解できる次第ではある。
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