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諸外国におけるニュース取得目的のインターネットニュースやSNSの閲覧実情をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スマホ片手にニュースを確認。(写真:アフロ)

・2018年ではインターネットのニュースやSNSを見る人は女性よりも男性の方が多く、若年層が多めで年上になるほど減っていく。

・アメリカ合衆国では若年層でインターネットのニュースやSNSを見る人が他国と比べると少なめ。中国は非常に多い。

・インターネットのニュースやSNSをスマートフォンや従来型携帯電話で見る人は若年層ほど多く、年上ほど少ない。年齢階層による差異が大きいが、中国では他国と比べると差異が少ない。

諸外国のインターネットニュースやSNSを見る人たちの実情

インターネットの普及で情報の伝達や取得、検索精査の概念は大きな変化を示している。特に恩恵を受けたのがニュース分野で、また意思疎通ツールとして普及したSNS(ソーシャルメディア)でも多数のニュースが日々流れている。人々はどれほどインターネットニュースやSNSを見ているのか、そしてどのような端末を利用しているのか。今回は新聞通信調査会が2018年3月に発表した、アメリカ合衆国やイギリス、フランス、中国、韓国、タイへのメディアに関する世論調査「諸外国における対日メディア世論調査(2018年調査)」(※)の内容を元に、その実情を確認する。

次に示すのは調査対象母集団のうちインターネットニュースやSNSを見る人の割合。設問では「あなたは、インターネットのニュースやSNS(facebook、twitterなど)を見る時に、何を使いますか(回答はいくつでも)」とあり、選択肢には「パソコン」「スマートフォン・携帯電話」「タブレット(例:iPad)」「その他」が用意されている。その結果において一つ以上の選択肢に回答した人の割合を示したもの。SNSはニュースだけが流れているわけでは無いが、ニュースを広域解釈して「新しい情報」と認識した場合、SNS上の情報は大体ニュースとなるとの発想によるものだろう。

なお日本の値は2017年に同様の条件下で実施された調査「メディアに関する全国世論調査」(※※)の値が参考として計上されており、厳密には比較対象とはなり得ない。あくまでも参考値であることに注意が必要。また中国では統計上のぶれを考慮して70代以上の値は非公開となっている(対象人物が1名のみだったため)。

↑ インターネットのニュースやSNSを見る(2018年)
↑ インターネットのニュースやSNSを見る(2018年)

国によって絶対値に差異があるが、傾向としては女性よりも男性が高く、若年層が高めで年上になるに連れて値は落ちていく。他方フランスでは男女の差異がほとんど無い、アメリカ合衆国では意外と若年層の値が他国よりも低いことなどがうかがえる。イギリスが全般的に低めなのは、他の設問同様「無回答」が多めで、今件の回答値そのものを圧迫しているのだろう。

中国は都市部限定の調査ではあるが、面接方式による調査でここまでの高値を示しており、大いに注目に値する。情報取得への意欲は非常に高い。

パソコンとスマートフォン、その違い

続いてパソコンとスマートフォン・従来型携帯電話それぞれにおける、インターネットニュースやSNSの閲覧状況を確認する。普段のインターネット利用スタイルで何を使っているかが透けて見えてくる。

まずはパソコン。次のスマートフォン・従来型携帯電話と縦軸の仕切り分けは同じにしてある。

↑ インターネットニュースやSNSを見る(2018年)(パソコンで見る)
↑ インターネットニュースやSNSを見る(2018年)(パソコンで見る)

男女別では男性の方が高い。韓国や日本では非常に大きな差が出ている。年齢階層別ではアメリカ合衆国、タイやイギリスのように若年層ほど高い国もあれば、日本のように年上の方が高いところもある。また韓国や中国のように中堅層が高い国もある。そして全体としては中国の圧倒的な高さとフランスがそれに追随している実情が確認できる。それぞれの国のパソコン普及事情が見えてくるようだ。

続いてスマートフォンや従来型携帯電話。

↑ インターネットのニュースやSNSを見る(2018年)(スマートフォンや従来型携帯電話で見る)
↑ インターネットのニュースやSNSを見る(2018年)(スマートフォンや従来型携帯電話で見る)

パソコンと比べて高い値が各国で計上されている一方、よく見ると年齢階層による差異が大きいのも分かる。端末を利用しているか否かの違いが反映されているのに加え、所有していてもニュースやSNSの閲覧に利用する・しないも影響しているのだろう。

当然、若年層の方が値は高く、高齢層ほど低くなる。その差異は極めて大きい。見方を変えれば年齢階層別に見たモバイル情報の浸透度合いの一つの指標ともいえる。そうであればこそ、中国が属性にほとんど左右されること無く高い値が維持されていることは、注視すべき結果には違いない。

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※諸外国における対日メディア世論調査

直近年分はアメリカ合衆国、イギリス、フランス、中国、韓国、タイに対し、2017年12月から2018年1月に行われたもので、アメリカ合衆国・フランス・韓国は電話調査、イギリス・中国・タイでは面接調査で実施されている。調査地域は中国・タイは都市圏、それ以外は全国。対象年齢は中国以外は18歳以上、中国も同様だが70代以上の回答者は1名のみのため属性別では除外されている。回収サンプル数は各国約1000件。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。

※※メディアに関する全国世論調査

直近分は日本国内において、2017年11月2日から11月21日にかけて住民基本台帳からの層化二段無作為抽出法によって抽出された18歳以上の男女個人5000人に対して、専門調査員による訪問留置法によって行われたもの。有効回答数は3169人。有効回答者の属性は男性1526人・女性1643人、18~19歳63人・20代274人・30代422人・40代567人・50代504人・60代601人・70代以上738人。過去の調査もほぼ同様の調査スタイル。

(注)本文中のグラフや図表は特記事項の無い限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

(注)本文中の写真は特記事項の無い限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。

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(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更を加えたものです。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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