日本の国民負担率の詳細推移をさぐる

↑ そろそろ確定申告。税金や社会保険料が気になる時期だが…。(写真:アフロ)

・日本の租税における対GDP比は大よそ15~20%の範囲で推移。

・日本の社会保障費における対GDP比はほぼ上昇する一方。

・直近の2015年では全国民負担のうち個人所得税の割合は18.9%、法人所得税12.3%、資産税8.2%、消費税21.0%、その他の税0.3%、社会保障費は39.4%。

消費税や社会保険料の料率や金額の動向が定期的に話題に上るが、これは生活に直結するお金関連の話だからに他ならない。日本における国、社会全体のための個人や組織の金銭的負担はいかなる推移を示しているのだろうか。OECD(経済協力開発機構)の公開データベースOECD.Statの公開値(※)から、対GDP比の観点で確認する。要は国内で新たに生み出された商品やサービスの付加価値のうち、どれほどの割合が国全体を支えるために徴収されているかを見ていく次第である。

まずは日本における租税・社会保障費の対GDP比推移を折れ線グラフにしたもの。単純に租税と社会保障費それぞれ、そして合算したもの(国民負担)を併せ掲載したものが1つ、租税部分を詳細に仕切り分けし直したものを別途作成した。なお「一般政府」とは中央政府だけで無く地方政府や公的な社会保障基金を併せた公的機関の総体。また「賃金・労働力税」はOECDの仕切り分け上では存在するが、日本では該当する税が無いため、値はゼロとなっている。

↑ 日本の租税・社会保障費推移(対GDP比、一般政府)
↑ 日本の租税・社会保障費推移(対GDP比、一般政府)
↑ 日本の租税・社会保障費推移(対GDP比、一般政府)(租税部分詳細)(折れ線グラフ)
↑ 日本の租税・社会保障費推移(対GDP比、一般政府)(租税部分詳細)(折れ線グラフ)

租税は1960~1980年代にかけて上昇したものの、その後は下落。大よそ15~20%の領域での推移。一方で社会保障費はほぼ上昇のみの動きを示しており、結果として租税と社会保障の合算となる国民負担もまた、増加する傾向にある。1990年代から2010年ぐらいまでにかけて、一時的に国民負担が減ったのは、租税部分の負担が減ったからに他ならない。

租税部分を詳しく見ると、「消費税」は本来の消費税以外に個別の商品やサービスの売買や利用などに課せられる税、たばこ税や自動車税なども含まれているため、消費税導入以前にも一定値を示しているが、消費税の導入(1989年)、5%に引き上げ(1997年)、8%に引き上げ(2014年)とともに増加していく様子が把握できる。他方、景況感に大きな影響を受ける個人所得税や法人所得税はバブル時代にピークを迎え、その後は失速している。タイミング的に法人所得税が先に落ち、その後個人所得税が落ちていくのは興味深い。

これを積み上げグラフの形で見たのが次の図。構成比も算出した。国民負担総額の動向を推し量るのはこちらの方がよいだろう。

↑ 日本の租税・社会保障費推移(対GDP比、一般政府)(租税部分詳細)(積み上げグラフ)
↑ 日本の租税・社会保障費推移(対GDP比、一般政府)(租税部分詳細)(積み上げグラフ)
↑ 日本の租税・社会保障費推移(対国民負担総額構成比率、一般政府)(租税部分詳細)
↑ 日本の租税・社会保障費推移(対国民負担総額構成比率、一般政府)(租税部分詳細)

個人も法人も所得税の負担が減り、その分社会保障費が増え、国民負担が底上げされている、特にリーマンショック以降の国民負担の増加度合いは社会保障費の負担増によるところが大きいのが分かる。

すべての項目のデータがそろっている最新の値となる2015年分では、全体比で個人所得税は18.9%、法人所得税12.3%、資産税8.2%、消費税21.0%、その他の税0.3%、そして社会保障費は39.4%。国民負担の約4割が社会保障費で占められている。さらに言えば社会保障に関してはこの負担でも足りず、それを一般政府からの助成で補っているのが現状である。

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※OECD.Statの公開値

言葉の定義は次の通り。国に対する金銭的な負担(国民負担)は大きく租税と社会保障に分けられる。図式としては国民負担=租税負担+社会保障負担。OECDでは社会保障負担に関して「Social security contributions」で定義をしているが、それによれば将来における何らかの不利益に対して国から便益(社会給付)を受ける資格を得るために必要な強制的支払いであると定義している。具体的には事故や障害、病気に対するサポート、老化や障害などに対する年金支払い、医療費などへの対応などが該当する。日本ならば健康保険料や年金保険料が該当する。会社組織の場合、従業員が支払う額に加え、会社側が負担する額も含まれる。社会保障や租税の仕組みは国々で異なるため、個々の値を単純比較するのは問題が生じるが、OECD側では極力同一の基準で合算し、比較ができるような値として公開している。

租税負担の仕切り分けは次の通り。

・個人所得税

「1100 Taxes on income, profits and capital gains of individuals」。個人の所得(収入から経費や控除を引いたもの)に課せられる税。国と地方の合算。

・法人所得税

「1200 Taxes on income, profits and capital gains of corporates」。法人の所得(収入から経費や控除を引いたもの)に課せられる税。国と地方の合算。日本ならば地方税の事業税も含まれる。

・社会保障費

「2000 Social security contributions」。一般政府から社会給付を受けるための義務的徴収金。各種社会保険料。

・賃金・労働力税

「3000 Taxes on payroll and workforce」。賃金の一定率や人数あたりで就業者に課せられる税。社会保障費と異なり、一般政府からの社会給付との連動性は無い。

・資産税

「4000 Taxes on property」。資産の所有や取引(贈与や相続など)などに課せられる税。資産の売却益は個人所得税や法人所得税に分類。

・消費税

「5000 Taxes on goods and services」。付加価値税、消費税。それ以外に個別の商品やサービスの売買や利用などに課せられる税(日本ならたばこ税や自動車税など)。

・その他の税

「6000 Taxes other than 1000,2000,3000,4000 and 5000」。上記のいずれにも該当しない租税。

(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。