入浴時間、男女別ではどちらが長いのかをさぐる
・平均的な入浴時間は男性28分、女性35分。
・75歳未満のすべての年齢階層で女性の方が入浴時間は長い。
・10年前と比べると女性では大よそ入浴時間が延びる傾向。
多くの人にとって入浴は疲れをいやしてくれるものに他ならない、とても大切な生活行動の一つ。今回は総務省統計局による2016年社会生活基本調査(※)の結果を用い、その入浴時間の実情を確認する。果たして男女で違いはあるのだろうか。
次に示すのは入浴時間(湯船につかる以外にシャワーやサウナ、銭湯などの利用も含む)の平均時間。全体としては男性28分・女性35分となり、女性が男性より7分ほど長い計算になる。
全体としてだけで無く、ほぼすべての年齢階層において女性の入浴時間は男性を上回っている。差異がもっとも大きいのは35~44歳における11分差。前後の年齢階層でも8~9分と長めの差異が確認でき、女性が念入りに入浴している状況がうかがえる。あるいは「非入浴者も含んだ平均」であることから、男性の方が女性よりも入浴をしていない人が多く、平均値を下げているのかもしれない(忙しさや、衛生面への気配りの差があるのだろう)。もっともそれらの年齢階層がピークで、それよりも若い、あるいは高齢層では差は縮まり、75歳以上では男女ともに同じ時間となる。
今調査で入浴時間を計上し始めた2006年以降の動向についてまとめたのが次のグラフ。
まだ3回分しか結果が出ていないが、男性では一部で異なる動きをしている年齢階層もあるものの、女性では大よそ入浴時間が延びる傾向が確認できる。特に中堅層では2006年から2016年の間に4~5分も延びている。65~74歳では6分もの延び。昨今では(防水の手立てをした上で)スマートフォンを持ち込む事例も増えており、また入浴を家族のコミュニケーションの場と見なしてさまざまな遊びをしてもらえるような商品の展開も行われている。色々と「楽しむ」手立てが増えたために、入浴時間が延びる傾向を示しているのかもしれない。
一方であまりにも長湯をすると身体に過度の負担がかかることもある。特に高齢者にはくれぐれもご注意されたい。
■関連記事:
※社会生活基本調査
5年おきに実施されている公的調査で、直近分となる2016年分は2010年時点の国勢調査の調査区のうち、2016年の熊本地震の影響を受けて調査が困難な一部地域を除いた、総務大臣の指定する7311調査区に対して実施された。指定調査区から選定した約8万8000世帯に居住する10歳以上の世帯員約20万人を対象としている。ただし外国の外交団やその家族、外国の軍人やその関係者、自衛隊の営舎内や艦船内の居住者、刑務所などに収容されている人、社会福祉施設や病院、療養所に入所・入院している人は対象外。2016年10月20日現在の実情について回答してもらっているが、生活時間については2016年10月15日から10月23日までの9日間のうち、調査区ごとに指定した連続する2日間についての調査となる。調査方法は調査員による調査世帯への調査票配布と回収方式。
(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。