一般週刊誌の部数動向をさぐる
![](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00078169/top_image.jpeg?exp=10800)
すき間時間を埋める最良の友だった雑誌は、スマートフォンの普及に伴い急速に売上が厳しいものとなりつつある。その実情はいかなるものか、一般週刊誌における販売動向を、日本雑誌協会が四半期ベースで発表している印刷証明付き部数(該当四半期の1号あたりの平均印刷部数。印刷数が証明されたもので、出版社の自称・公称部数では無い。売れ残り、返本されたものも含む)から確認する。
次に示すのは一般週刊誌のジャンルに該当する雑誌の、直近にあたる2017年第3四半期(7~9月)における、前年同期比の部数動向。写真を中心に記事を展開する、いわゆる写真週刊誌も含む。印刷物は季節により販売数の変化が大きく生じるため、季節変動を考慮しなくても良い前年同期比の方が、すう勢を確認するのには適している。
![↑ 一般週刊誌印刷印刷証明付き部数(2017年7~9月、前年同期比)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00078169/image01.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
![↑ 一般週刊誌印刷証明付き部数(2017年7~9月)(万部)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00078169/image02.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
前年同期比でプラス領域にあるのはゼロ誌。他方、マイナス誌は13誌全誌、プラスマイナス5%内(誤差領域)を超えての下げ幅を示しているのはそのうち9誌。あまりよい状況とは言い難い。かつては新聞同様、電車やバスなどの通勤・通学時の合間には欠かせない存在だった一般週刊誌も、その需要は確実にスマートフォンなどに奪われ、肩身の狭い想いをしている、さらに継続的なプレッシャーを受けていると見てよいだろう。ただし少なからずは同時に電子雑誌版も刊行しており、その値は今件では計上されていないため、そちらに読者を奪われている(=雑誌としてのコンテンツ力・訴求力は失われていない)可能性は否定できない。
印刷証明付き部数を収録している雑誌に限定しているとはいえ、最低でも10万部は確保されている……との言い回しが少し前までは常套句だったが、まず「サンデー毎日」が10万部を割り込んでしまい、その状態が今四半期も継続している。そして「AERA(アエラ)」も10万部割れを起こし、今ジャンルでは現時点で2誌が10万部未満の部数に。特に「AERA(アエラ)」の衰亡ぶりは著しく、部数がほぼ一直線に減っていた。
![↑ AERA印刷証明付き部数](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00078169/image03.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
ここ数四半期はようやく底値を打ち、今回は前四半期比ではプラスを計上したが、これが踊り場的な動きなのか、あるいは本格的な反転への流れに乗ったのか、現時点では見極めは不可能。
それ以外の雑誌は、10万部という相応の需要は「今のところ」維持されていることになる。想定購読層が幅広い一般週刊誌ならではの値といえる。「SPA!」もやや危うい部数だが、同誌の部数は横ばいを維持しているので、こちらは10万部割れは無さそう。
![↑ SPA!印刷証明付き部数](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00078169/image04.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
昨今何かと世間を騒がせている「週刊文春」だが、前年同期比でマイナス2.7%、前四半期比ではマイナス2.4%。誤差領域内の動きであり、健闘しているとの好意的な見方もできる。しかしながら絶対部数の多さに支えられてはいるものの、中長期的な低迷感の中にあるのは否定できない。
![↑ 週刊文春印刷証明付き部数](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00078169/image05.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
![↑ 週刊文春印刷証明付き部数(過去5年間、万部)](https://newsatcl-pctr.c.yimg.jp/t/iwiz-yn/rpr/fuwaraizo/00078169/image06.gif?fill=1&fc=fff&fmt=jpeg&q=85&exp=10800)
昨今の動向はある意味部数低迷のテコ入れ的な活動との解釈もできるのだが。
大きく落ち込んだ雑誌のラインアップを再確認すると、「週刊現代」「週刊ポスト」「週刊大衆」「週刊朝日」「週刊アサヒ芸能」といった、男性向けの大衆誌、あるいはゴシップ系雑誌が多分に及ぶ。似通った内容に個性を出しにくくなってしまったのか、あるいは対象年齢階層の趣向そのものに変化が生じているのかもしれない。
今件はあくまでも「印刷」証明付き部数のため、電子雑誌版も並列配信している雑誌の場合、そちらに読者を奪われていることになるため、雑誌全体の勢いをそのまま反映するわけでは無いことに注意する必要がある。とはいえ、紙媒体としての雑誌のすう勢には違いなく、部数が減っているのもまた事実ではある。
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(注)本文中の各グラフは特記事項の無い限り、記述されている資料を基に筆者が作成したものです。