全国では4割足らず…FAXの普及状況をさぐる

↑ 今でも電話と一体型のFAXを置いている世帯は少なくないが(ペイレスイメージズ/アフロ)

インターネットの普及浸透に伴い、その必要性が大きく減じられた家電の一つにFAX(ファックス)がある。ファクシミリ(facsimile)の短縮語で、電話回線を介して画像情報を送り伝える機器・仕組みを指し、かつては図版を素早く送る手段としては欠かせない存在だった。今では業務用はともかく、家庭用としてはインターネットとデジタルスキャナやデジカメの併用で、ほぼ代替ができる。そのFAXに関して世帯ベースでの普及率を、総務省が2017年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に確認する。

次に示すのは回答者の世帯におけるFAXの保有状況。なお機器そのものは存在していてもお蔵入りなどの理由で過去1年間に一度も利用していない、あるいは自前での調達ではなく勤め先から借りていたり経費で購入したものは該当しない。要は今現在でも利用している自前のFAXを持っているか否か。

↑ FAXの保有状況(世帯主状況別、世帯単位、2016年)
↑ FAXの保有状況(世帯主状況別、世帯単位、2016年)

全体では4割近くが保有している。しかしながら20代ではわずかに1.9%、30代でも15.2%、40代でようやく39.1%となる。50代以降は4割から5割を維持し、80歳以上で4割を割り込む。この値動きを見るに、幼いころからインターネットに触れている世代はFAXの必要性を覚えず親元から離れて暮らすようになってもFAXを購入することは無く、かつて必要だった世代はそのまま維持している実情が透けて見える。

あと10年も経過すれば、その時の30代の保有率も(今現在の20代がそのままシフトして)数%となるだろう。あるいは必要性が無くなったことから廃棄し、さらに落ち込みを見せるかもしれない。無論、仕事や手続きの関係で手放せない事例も少なからずあるだろうが。

世帯構成別では若年層の単身世帯が約1割と少ない。また、高齢者を含む世帯が一段高の値を示していることから、高齢者における需要が高いことも推測できる。

世帯年収別ではきれいな形で高年収ほど高保有率。元々歳が上になるに連れて年収が高くなる傾向があるのに加え、高年収の自営・自由業者や、交友関係上のつながりの点で高年収者ほどFAXが必要な高齢層との関係があるのかもしれない(あくまでも相関関係であり、「FAXを持っていれば高年収になれる」を意味しないことに注意)。

深い意味は無いかもしれないが、都道府県別の保有率の実情を示したのが次のグラフ。

↑ FAXの保有状況(世帯主状況別、世帯単位、2016年)(都道府県別)
↑ FAXの保有状況(世帯主状況別、世帯単位、2016年)(都道府県別)

必要性を鑑みれば世帯主の年齢との連動が推定されることから、各地域の年齢階層別人口構成比と浅からぬ関係があるように思われるのだが、実際にはそのような値動きは見られない。

もっとも低い値を示したのは沖縄県の17.3%、高値は奈良県の53.3%で続いて山梨県の47.7%、滋賀県の47.0%。高値を付けている地域は農業関係でFAXによる連絡を多用しているとの話もあるが、この調査結果からだけではその裏付けはできない。とはいえ、地域によっては今なお5割前後の(稼働状態での)普及率を示していることに違いは無い。

■関連記事:

情報機器を使わない高齢者の「なぜ」を探る

Faxやパソコン、携帯電話…高齢者の情報機器の利用実態をグラフ化してみる

※通信利用動向調査

2016年11月~12月に世帯向けは都道府県及び都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送・オンラインによる調査票の配布及び回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万7040世帯(4万4430人)、2032企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。