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高年収層では7割も…世帯ベースでのタブレット型端末の保有状況をさぐる

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 使ってみると思った以上に便利なタブレット型端末。その保有状況は(写真:アフロ)

全体では1/3超

パソコンの補完的な利用のためのセカンドマシンとして以前から注目されていたが、価格の高さから普及が今一つだったタブレット型端末も、この数年の間に「廉価端末の登場」「インフラ整備によるネット接続環境の改善」「独自の利用スタイルによる有益性の確認」「電子書籍端末としての使いやすさ」など多様な理由により、急速に普及が進んでいる。今回は総務省が2017年6月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に、日本の世帯ベースでのタブレット型端末の普及状況を確認する。

今調査対象母集団ではパソコンを使ってインターネットを利用している人は58.6%、一方でタブレット型端末を使ってインターネットへのアクセスをしている人は23.6%との結果が出ている。

↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2016年)(パソコン以外)
↑ インターネット機器としての個人の携帯電話やパソコン利用率(全体比)(年齢階層別、2016年)(パソコン以外)

それでは世帯単位(個人単位ではない。世帯内の誰かが保有、さらには世帯全体での保有も該当する)で、タブレット型端末の普及状況はいかほどなのか。主要属性毎の動向だが、全体では34.4%。大体3世帯に1世帯でタブレット型端末が存在している計算になる。昨年は33.3%なので、1.1%ポイントの増加。

↑ タブレット型端末の保有状況(世帯単位、2016年)
↑ タブレット型端末の保有状況(世帯単位、2016年)

世帯主の年齢別に見ると30代がもっとも高い値で48.8%、4代がほぼ同じの48.1%。この年齢階層がボリュームゾーン(あえていえば50代も該当するだろう)。60代以降はある程度値を下げるが、それでも1割を切ることは無い。シニア層世帯でも10世帯に1世帯から3世帯がタブレット型端末を有する時代である。

一方世帯内の構成別に見ると、高齢者が居る世帯ではやや低めで、子供が居る世帯では高めの値が出ている。「子供」の要素がある世帯では5割前後で、多分に子供の遊具・学習ツールとしてタブレット型端末を利用している状況が想像される。これは最上記のグラフ、個人の年齢階層別利用率において、6~12歳のタブレット型端末の利用率が4割近い値を示していることからも納得できる。

世帯年収別では一様に高年収ほど保有率は高い。高年収世帯のライフスタイルには、機動力の高いパソコン的な立ち位置にあるタブレット型端末は、まさに「鬼に金棒」なのだろう。

世帯に何台あるのか

上のグラフは「世帯内にタブレット型端末のあるなし」だけの話で、台数までは明らかにされていない。それこそ世帯内に1ダース存在しても、1台のみでも、「保有」には違いない。

そこで各属性別に「世帯内でタブレット型端末が何台あるか」までを記したのが、次以降のグラフ。まずは世帯主年齢別。

↑ タブレット型端末の保有状況(世帯単位、2016年)(具体的保有台数、世帯主年齢別)
↑ タブレット型端末の保有状況(世帯単位、2016年)(具体的保有台数、世帯主年齢別)

保有率上位の30代をはじめ30代から50代のボリュームゾーンでは、2台持ち、3台以上持ちの比率も比較的高め。金銭的余裕ができること、そして子供の成長の過程で世帯主自身の分、さらには子供向けの双方、または世帯主と配偶者が別個それぞれに保有している状況が増えることが想定できる。単価も随分と安いものが登場しているので、携帯電話のようにプライベート端末として構成員それぞれが保有している世帯も少なくあるまい。

他方20代は単身世帯が多く、また金銭的余裕も無く、子供がいる世帯も少ない。単数台保有がほとんどを占めているのも納得がいく。一人暮らしで複数台タブレット端末が必要な状況は考えにくい。高齢層も状況は似たようなものだろう。

続いて世帯構成と世帯年収別。

↑ タブレット型端末の保有状況(世帯単位、2016年)(具体的保有台数、世帯構成別)
↑ タブレット型端末の保有状況(世帯単位、2016年)(具体的保有台数、世帯構成別)
↑ タブレット型端末の保有状況(世帯単位、2016年)(具体的保有台数、世帯年収別)
↑ タブレット型端末の保有状況(世帯単位、2016年)(具体的保有台数、世帯年収別)

単身世帯で2台以上の持ち主はやはりレア…としたいところだが、合わせて3.3%確認できる。新型機に買い替えた上で従来機も残しているのか、OS別に保有しているのだろうか。または自宅専用と外出用といった状況も想定できる。一方、子供が居る世帯は複数台保有率が高め。保護者と子供の双方保有が想像できる。

そして世帯年収別では高年収ほど複数台持ちも多い。年収による保有率の上昇は、単に保有する・しないだけでなく、保有台数の増加も伴っていることが分かる。特に2000万円における「3台以上が8.7%」との結果は注目に値する。見方を変えると、年収2000万円以上世帯におけるタブレット型端末保有世帯では、そのほぼ4割は2台以上を所有している計算になる。

今はまだ世帯ベースでも1/3強のタブレット端末だが、今後さらに飛躍する可能性は多分に占めている。特に子供向けの玩具、情緒教育端末として注目を集め、その裏付けとなる保有率・利用率のデータが次々と確認され、おもちゃ売り場の商品にもスマートフォンと並び、タブレット型端末を模したものをよく見かけるようになった。今後、どこまで利用率は伸びていくのだろうか。

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※通信利用動向調査

2016年11月~12月に世帯向けは都道府県及び都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に、企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に対し、郵送・オンラインによる調査票の配布及び回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万7040世帯(4万4430人)、2032企業。調査票のうち約8割は回収率向上のために調査事項を限定した簡易調査票が用いられている。各種値には国勢調査や全国企業の産業や規模の分布に従った、ウェイトバックが行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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