小さな子供が居る大人の日常生活、米国ではどのような実情なのか
男女で子供への注力時間は大きな違い
小さな子供が居る世帯では、大人は子育てに多分な時間を費やす。日本では共働き世帯や男性の育児休暇などの話と合わせ注目を集めるようになったこの実情について、アメリカ合衆国の様子を、同国の労働省労働統計局の公開資料をもとに、時間配分の点からさぐる。
次に示すのは回答者が18歳以上で末子が6歳未満に限定した(つまり子供がいることが前提)、週全体平均での1日あたりの平均時間。主従事の時間であり「ながら行動」の時間は含まれていない、平日と休日の合算平均であること、夫婦世帯限定では無いので父子世帯・母子世帯による回答も含まれている、さらにアメリカ合衆国ではよく用いられているベビーシッターの雇用の是非は考慮されていないことに注意が必要となる。
男性の方が就業率は高いので当然仕事などへの時間も長くなる。またテレビ観賞や運動などの時間も長い。他方家事や買物、そして育児・介護といった世帯を維持するために欠かせない内部活動は多分に女性の方が長くなっている。あくまでも主従事の時間のみで、「ながら行動」を含めるとまた別の動きとなるが(「ながら行動」も含めた時間は同一条件においては公開されていない)、家庭内の切り盛りや子供の世話は女性中心になり、時間が多分に割かれていることがうかがえる。
実際に男女差を計算するとこのようになる。男性が仕事に注力する時間が、女性では家事や育児・介護、買い物にあてられている様子がよくわかる。
ながら行動はどうだろうか
それでは「ながら行動」ではどのような値動きを示しているのだろうか。残念ながら単年の統計値は非公開だが、直近5年分の平均値としてなら、その値が一部ではあるが公開されている。上記の主従事行動と仕切り分けがいくぶん異なるが、次に示すのはながら行動として「育児」を行った場合における、主従事の行動時間。例えば男性の平日における「入浴等」は8分とあるが、これは男性では平日で平均8分ほど「入浴を主従事行為として、子供の世話を行っている」ことを意味する。
「ながら行動」でも平日における男性は就業に従事している場合が多いためか、家事などの点で女性よりかなり短い値に留まっている。しかし一方で他の行動では女性との差異はさほど大きくなく、どうにか時間をやりくりして他の行動の中で子供の世話をしよう(≒子供と共に居る時間を設けよう)としている様子がうかがえる。
休日では時間そのものは長くなるが、大きな違いはない。ただし平日と比べると男女差は縮まっており、特に娯楽・運動では男性の値は女性以上のものとなっている。休みの時間を利用して男性が子供との間の関係強化に努めようとする意図が見えてくる。
これらはあくまでも平均値でしかなく、個々の環境によって実情は大きく異なる。父子世帯・母子世帯では当然保護者の娯楽的行動以外の時間は長くなり、特に育児周りは多分に時間を拘束される。父子世帯より母子世帯の方がはるかに多いことを合わせ考えると、母子ともにいる世帯での育児時間の差異は、もう少し短いものとなるだろう。
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