乗用車を買い替えた世帯はどれほどいるのだろうか
都市部への人口集中や少子化、公共交通機関の発達、趣味趣向の変化、相対的ランニングコストの向上を受け、一部世代で乗用車離れが進んでいるとの話もある。しかし多くの人にとって乗用車は今なお欠かせない移動の足であることに違いは無い。今回は内閣府が2017年4月に発表した「消費動向調査」の内容をもとに、世間一般において、どれほどの世帯が耐久消費財の一つである乗用車(新車限定)の買い替えをしたのかを確認する。
今件における「買い替えをした世帯」とは、乗用車を所有していなかった世帯が新規に購入するケースでは無く、以前から所有していたが新たに買い替えをした世帯の割合。なお乗用車の詳細解説は質問票には無いため、世間一般の常識で「乗用車」と判断できるものが対象となる。さらに新車のみに限定され、中古車は該当しないことにも注意が必要。
まずは純粋な買い替え世帯率。
2014年は少々高めで10.6%。大よそ1割の世帯が乗用車を買い替えたことになる。これは2014年4月からの消費税率引き上げに伴い、その適用前に新車へ差し換えようとする動き、いわゆる特別需要こと特需によるもの。2017年は大きく減って6.0%となっている。
これを買い替えをした理由別に仕切り分けたのが次のグラフ。
2014年において消費税率引き上げ前の駆け込み需要に該当しそうな「上位品目」「その他」はそれぞれ2.3%、5.1%。最大で7%強もの世帯が駆け込み需要により購入を後押しされた可能性がある。またそれとは別に、翌年の2015年と比較した場合、世帯比率で2%強ほど買い替え需要が底上げされたと見る事ができる。もっとも2015年は軽自動車税の引上げ直前のミニ特需が発生しており、一概に単純比較するのはリスクが生じる。
実際、直近となる2017年ではさらに各項目の値は減っている。特に「その他」の減少が大きいことから、やはり駆け込み需要はそれなりに大きな買い替え動機になったのだろう。
最後はいくつかの属性別に仕切り分けした上での買い替え率。
女性より男性、高齢層より中堅層、低所得者より高所得者の方が、買い替え率は高い。そして現状をかんがえみれば29歳以下の若年層は乗用車の購入において「買い替えでなく新規購入」の分が多分に差し引かれている。結果として70歳以上をのぞけばもっとも低い値が出る結果となった。一番高い値を示した世代は40代で7.6%。年収別では750万円以上の世帯が1割強の買い替えを実施している。
乗用車は比較的必要度が高く、しかも単価も高いため、税法など外部環境の変化に購入性向の影響を受けやすい。見方を変えれば買換え動向から、乗用車周りの環境の変化(の影響)を推し量ることができる。
2017年は16.7世帯に1世帯が乗用車の買い替えを行っている。これだけを覚えておいても損はないはずだ。
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