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子供達のスマホ動画視聴の現状

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スマホで動画の様式は娯楽の形態を確実に変化させた(ペイレスイメージズ/アフロ)

スマートフォンやタブレット型端末の急速な普及に連れ、大きく変化したインターネットの利用様式の一つが動画関連。数年前までは動画によるやり取りが未来の話、あるいはごく一部の人に限られた技術のように語られていたが、今やスマートフォンなどを利用してインターネットに接続することで、個人が記録した動画を公開し、不特定多数に視聴してもらうことが極めて容易となった。そのスタイルは小中高校生の間にも急速に広まり、テレビを観たり漫画を読むのと同じように、配信された動画を楽しんでいる。今回は内閣府が2017年3月に確定報を発表した、「平成28年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果」(※)の報告書データから、小中高校生におけるスマートフォンを介した動画視聴の現状を確認していく。

次に示すのはスマートフォンを持ち、それを使ってインターネットを利用している人に、動画視聴をしているかを尋ねた結果。動画視聴のスタイルとしてはインターネット経由で閲覧する以外に、ファイルをダウンロードしてオフライン(インターネットに接続していない状態)で観るパターンも想定されるが、今調査ではそれに関わる調査項目は無い。

↑ スマートフォンで動画視聴をしている人の割合(2016年、スマートフォンでインターネットを利用している人限定)
↑ スマートフォンで動画視聴をしている人の割合(2016年、スマートフォンでインターネットを利用している人限定)

スマホを持ちネットを利用している小学生は6割、中学生は3/4、高校生は8割強が動画視聴をしている。同じ学校種類なら中高生では男女差は大よそ誤差の範囲で事実上差は無いと見て良いだろう。小学生はやや男子の方が上回っているが、視聴したいタイプの動画の有る無しが関係しているのだろうか。具体的な視聴先は調査対象とされていないので今件では不明だが、スマートフォンで視聴可能な動画サービスは山ほどあるため、視聴先には困らない。

「スマホでネットを使っている人の6割から8割が動画を観ている」。これは一つの指標ではあるが、全体像がやや分かりにくい。そこで各属性毎のスマートフォンでインターネット利用をしている人の割合を抽出し、それと合算することで、各属性の全体のうち、何%がスマートフォンで動画視聴をしているかを算出した結果が次のグラフ。例えば小学生女子は8.5%と出ているが、これは女子小学生全体の1割近くが、スマートフォンで動画を視聴していることになる。

↑ スマートフォンで動画視聴をしている人の割合(2016年、各属性全体比)
↑ スマートフォンで動画視聴をしている人の割合(2016年、各属性全体比)

スマートフォンを利用していなければ当然スマホで動画は視聴できず、さらにスマホを利用していてもインターネットへのアクセスが許可されていなければ(今件定義における)動画視聴は不可能。よってスマートフォンの利用状況そのものが多分に反映される形となっている。

小学生は元々スマートフォンの利用率が低いため、値そのものも低い。大よそ9%前後。中学生は3割前後、そして高校生は7割強。「高校生全体の7割はスマートフォンを使って動画を視聴している」計算になる。対象となる動画サービスは多種多様だが、関係方面には小さからぬ驚きを覚えさせる値に違いない。

今件「動画視聴」はその頻度や視聴先は問われておらず、具体的な視聴スタイルは不明。しかし少なくとも「スマホで動画」との新しい娯楽様式に関して、小中高校生の実情が把握できたのは興味深い。今後スマートフォンの普及が進むに連れて、小中学生にもこの「スマホで動画」はさらに浸透していくに違いない。

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※青少年のインターネット利用環境実態調査

直近年分は2016年11月5日から12月11日にかけ満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3284人(うちウェブ経由は108人)、保護者は3541人(うちウェブ経由は55人、郵送回収法は34人)。過去の調査もほぼ同様の様式で実施されている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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