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高校生はスマホ9割時代…小中高校生のネット機器利用状況

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ スマホは今や高校生にとっては不可欠な情報ツール(写真:アフロ)

小中高校生全体ではスマホが4割強

急速に浸透が進むインターネットへのアクセスが可能なデジタル機器。大人以上に子供達の間への普及が加速化し、生活環境も大きな変化の中にある。その実情を内閣府が2017年3月に発表した「2016年度青少年のインターネット利用環境実態調査」(※)の結果から確認していく。

次に示すのは調査対象母集団全体における、各種インターネットの利用が可能なデジタル機器の「利用率」。保有率・所有率では無いので、回答者が所有権を有していなくても(親から借りている、家族共用など)回答対象となる。また設問では「あなたは、下記の機器を利用していますか」とのみ尋ねているので、その設問で回答者が判断しうる利用状況における値となる。大よそ現状において、一定頻度以上の割合で日常的に使っている人の割合と見て良い。

また今回は単なる機器の利用状況であり、インターネットへのアクセス機能を有していても、ネット機能を使っていない場合も該当する。例えば携帯ゲーム機はインターネットへのアクセスが可能だが、ネット機能を使わずに単純に実媒体のソフト提供によるゲームのみで遊んでいる場合も今件では該当する。

↑ デジタル機器利用状況(2016年11月~12月、小中高校)(複数回答)(インターネット利用の是非を問わず)
↑ デジタル機器利用状況(2016年11月~12月、小中高校)(複数回答)(インターネット利用の是非を問わず)

スマートフォンの利用率は49%。携帯ゲーム機が40%で続く。ノートパソコンは2割近くでデスクトップパソコンの2倍以上に達している。今件は小中高校生の利用状況との限定された環境下の結果だが、ほんの数年前までは圧倒的多数を占めていたデスクトップパソコンの利用状況が、すでにノートパソコンの半分以下となっている状況には、やや驚かされる。さらにはそのデスクトップパソコン、さらにはノートパソコン以上に、タブレット型端末が使われている実情も確認できる。

ゲーム機に限ると、携帯ゲーム機の40%に対し、据え置き型ゲーム機は23%と大よそ半分程度。さらに携帯音楽プレイヤーが据え置き型ゲーム機と同程度にまで普及している。実際にアクセスしているか否かはともかく、スマートフォンがインターネットにアクセス可能ならばゲーム機としての利用も十分可能な実情を見るに、子供におけるゲーム機の立ち位置の現状(「スマホと携帯ゲーム機は同程度に利用されている」「据え置き型ゲーム機はスマホの半分程度にしか利用されていない」)が認識できる結果ではある。

歳と共に大きな変化を見せる利用状況

今件を回答者(子供)が通っている小中高の学校種類別に仕切り分けし直した結果が次のグラフ。子供の歳に伴い利用機種が大きく変化していく様子が分かる。

↑ デジタル機器利用状況(2016年11月~12月、小中高校)(複数回答)(インターネット利用の是非を問わず)(主要機種・学校種類別)
↑ デジタル機器利用状況(2016年11月~12月、小中高校)(複数回答)(インターネット利用の是非を問わず)(主要機種・学校種類別)

小学生で一番よく使われているのは携帯ゲーム機。次いで据え置き型ゲーム機と続き、タブレット型端末がそれに続く。スマートフォンはまだ1割強。中学生でも携帯ゲーム機が大変よく使われていることに違いは無いが、スマートフォンがそれすら追い抜いてトップの利用率となり、タブレット型端末がそれに続く。

そして高校生になると状況は大きな変化を見せる。利用率はスマートフォンがトップで変わりは無いが群を抜く形で91%。次いで携帯ゲーム機、そしてノートパソコンが続く。

今調査の調査対象母集団では高校生が一番年上であり、また多くは大学生に連なる事になるため、一番大人に近い存在でもある。そこで現在の成人若年層の現状、あるいは今後の動向を推し量りやすいことから、高校生の値のみを抽出し、状況の再確認を行うために再生成したグラフが次の図(機種区分も詳細化している)。

↑ デジタル機器利用状況(2016年11月~12月、高校生)(複数回答)(インターネット利用の是非を問わず)
↑ デジタル機器利用状況(2016年11月~12月、高校生)(複数回答)(インターネット利用の是非を問わず)

スマートフォンの圧倒的な利用率、そしてパソコンがノートパソコンでも2割強に留まり、デスクトップパソコンでは1割にも満たない現状が把握できる。2、3年前から大学生などにおける、キーボードを利用した端末に慣れていない、パソコンを使いこなせないケースが増えているとの話がよく見聞きされているが、この実情を見ればそのような状況も理解はできる。

回答者が「利用している」との認識に至るレベルでのパソコンの利用は、デスクトップとノート、双方を単純に加算しても半数にすら届いていない。スマートフォンは9割を超えているので、インターネットへのアクセスはほとんどの高校生が経験し、容易に可能な状態にあるのだろうが、キーボードを使い、パソコンを利用するとのスタイルを日常的に行っている人は半数にも満たないことになる。

インターネットへのアクセスを常日頃からしているか否かは今件では考慮されていないが、各機器を利用しなければ不可能であることから、今件各値と大きな違いは出ていない(ゲーム機などは差が大きいが)。単純な各機器の利用状況だけでなく、インターネットへのアクセスツールとしての利用実態としても、状況に大きな違いは無い。

やや余談だが、昨今注目を集めているタブレット型端末に関して、通常のタブレット型端末、学習用、そして子供向けの娯楽用タブレット端末の利用状況をまとめておく。

↑ デジタル機器利用状況(2016年11月~12月、小中高校生)(複数回答)(インターネット利用の是非を問わず)(タブレット系・学校種類別)
↑ デジタル機器利用状況(2016年11月~12月、小中高校生)(複数回答)(インターネット利用の是非を問わず)(タブレット系・学校種類別)

タブレット型端末の利用状況は中学生がもっとも値が高く3割近く、小学生は2割超え。高校生になるとスマートフォンへシフトすることもあり、値はグンと落ちる。学習用タブレットも案外利用率は高く、小学生では8%にも達している。子供向けの娯楽用タブレットはさすがに利用状況も1%にすら届かない。

タブレット型端末はスマートフォンと比べて屋外への持ち運びが難しいこと、アクセス環境の問題(多分に無線LANでインターネットに接続される)もあり、スマートフォンよりは保護者の監視がし易い。価格が安くなってきたことも合わせ、普及が進んでいる。今後さらに利用率は上昇し、各ゲーム機すら追い抜く日が来るかもしれない。

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※2016年度青少年のインターネット利用環境実態調査

2016年11月5日から12月11日にかけ満10歳から満17歳までの青少年とその同居保護者それぞれ5000人に対し、調査員による個別面接聴取法(保護者は訪問配布訪問回収法)で行われたもの。時間の調整ができない場合のみウェブ調査法(保護者は加えて郵送回収法)を併用している。有効回答数は青少年が3284人(うちウェブ経由は108人)、保護者は3541人(うちウェブ経由は55人、郵送回収法は34人)。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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