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InstagramやPinterestが成長、Twitterは横ばい…米国ソーシャルメディア利用実情

不破雷蔵「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者
↑ 多様な種類が存在するソーシャルメディア。米国での利用実情は

4大SNSの米国での利用実情は

個々の機能の違いからすみ分け、利用スタイルの差異が生じつつあるソーシャルメディア。ネット先進国の米国におけるその利用実情を、同国の民間調査会社PewResearchCenterが2016年11月に発表した調査報告書「Social Media Update 2016」(※)をもとに確認していく。

次に示すのは「インターネット利用者に対する」各ソーシャルメディアの利用者率。例えばFacebookは直近で79%とあるので、18歳以上のインターネット利用者の約8割はFacebookを利用していることになる。

↑ ソーシャルメディア利用状況(2016年春、アメリカ合衆国、成人、インターネット利用者限定)
↑ ソーシャルメディア利用状況(2016年春、アメリカ合衆国、成人、インターネット利用者限定)
↑ ソーシャルメディア利用状況(アメリカ合衆国、成人、インターネット利用者限定)
↑ ソーシャルメディア利用状況(アメリカ合衆国、成人、インターネット利用者限定)

全体比では無く対インターネット利用者率であることから上昇度合いは大人しいカーブだが、確実に上昇していることがうかがえる。他方中身をよく見ると、InstagramやPinterestのようなマルチメディア系ソーシャルメディアの伸び率が堅調の一方、Twitterは今一つの動きに留まっているのも分かる。またFacebookは調査上のぶれの可能性もあるが、直近で大きな伸びを見せ、まだ上昇するのかとすら感じさせる。

直近ではFacebookがダントツ、InstagramとPinterestがほぼ横並び、少し落ちてLinkedIn、さらに落ちてTwitterの順になる。同時期のアメリカ合衆国における成人のインターネット利用率は87%であることから、その値をかけることで大よその米成人全体における普及率も概算できよう。

それぞれの利用スタイルは?

次に示すのは主要ソーシャルメディアの利用頻度。それぞれのソーシャルメディア利用者に、そのソーシャルメディアをどの程度の頻度で使っているかを尋ねたもの。個々のサービスの機能や利用形態にも大きく影響されるので「低頻度はすたれている」「高頻度は活性化している」を意味しないことに注意。

↑ ソーシャルメディア利用状況(アメリカ合衆国、成人、各サービス利用者限定、利用頻度)
↑ ソーシャルメディア利用状況(アメリカ合衆国、成人、各サービス利用者限定、利用頻度)

意外にも(!?)もっとも高頻度で使われているのはFacebook。利用者の過半数が毎日数回はアクセスしている。1日1回以上の仕切り分けなら実に8割近く。Facebookが無いと生きていけない状態とは、あながち冗談でもない感はある。

次いで多いのはInstagram、そしてTwitterが続く。昨今では日本でもInstagramの盛況ぶりが伝えられるようになったが、コンテンツが高い頻度で更新され、それが待ち遠しいとの観点ではInstagramもTwitterも似たようなものなのだろう。他方、同じマルチメディア系のサービスでもPinterestはもう少し頻度が低めとなる。とはいえ週一以上の利用者で仕切り分けすれば過半数。毎日利用している人も1/4近くに及ぶ。

LinkedInはビジネス系、特に求人・求職でよく使われるサービスであることから、利用頻度は一般的に低い。ハローワークへ毎日足を運んだり、求人情報誌を毎日買い求めることが滅多にないのと同じと考えればよいだろう。

次は各サービスの併用状況。多くの利用者は特定の1サービスだけでなく、複数のサービスを併用している。次に示すのはその実情を示したもの。例えばTwitterの横軸でFacebookの値が93%と出ているが、これは「Twitterの利用者全員のうち、93%はFacebookも利用している」と読む。Twitterを利用している人は全員Twitterを利用しているのだから(当たり前の話)、その部分は空欄となっている。

↑ ソーシャルメディア併用状況(アメリカ合衆国、成人、各サービス利用者限定)
↑ ソーシャルメディア併用状況(アメリカ合衆国、成人、各サービス利用者限定)

どのサービスでもエメラルドグリーン、つまりFacebookの値がずば抜けて高く9割前後を示し、横軸のFacebookでは他のサービスの値が3割前後に留まっている。これは「Facebook以外の利用者の大部分はFacebookも利用している」「Facebookの利用者で他のサービスを利用する人は少なめ」であることを意味する。Facebookの利用率そのものが他サービスと比べて極めて高いのも納得がいく。囲い込みが上手くいっているのだろう。

Facebookを除くと、Instagramを併用している人が多いのも目に留まる。昨今成長率の著しさは上記グラフで確認できた通りだが、この併用率も一因だろう。利用頻度の高さも合わせ考えると、将来的にはFacebookに続く立ち位置を確固なものとするほどに成長するかもしれない。

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※Social Media Update 2016

2016年3月7日から4月4日にかけて、アメリカ合衆国に住む18歳以上の男女に対し、RDD方式などで選択された電話番号に対し通話方式で行われたもので、有効回答数は1520件。うち381件は固定電話、1139件は携帯電話(そのうち636件は固定電話を持たず)。国勢調査の結果に基づき、各種ウェイトバックが行われている。

「グラフ化してみる」「さぐる」ジャーナブロガー 検証・解説者

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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