結婚経験無しは日本で4%台…日本と諸外国における高齢者の結婚状況
子供も独り立ちして夫婦のみ、あるいは配偶者とは何らかの理由で別居、さらには未婚による一人暮らしなど、高齢者の居住事情は結婚状態と深い関係がある。その実情を内閣府が2016年5月に発表した、高齢者の生活と意識に関する国際比較調査の最新版となる第8回調査(2015年9月から12月にかけて日本、アメリカ合衆国、ドイツ、スウェーデンにおいて、60歳以上の男女(老人ホームなどの施設入所者は除く)に対して調査員による個別面接聴取方式で実施。有効回答数は各国とも1000件強。それぞれ性別・年齢階層別・地域・都市規模などを元にウェイトバック済み)の結果から確認していく。
次に示すのは調査対象国における男女別の、質問時の結婚の状態。相方(配偶者やパートナー)と同居状態にあるか、健康や介護の事情で別居状態か、仲たがいなどの理由で別居したり離婚しているか、相方はすでに亡くなっているか、そして結婚経験がまだ無い人か、大よそこれらの状況のいずれかであることから、現状について択一回答で答えてもらっている。
今調査は当然回答者が生存しているのが前提で、しかも老人ホームなどに入居していない人。健康寿命が長い女性の方が男性よりも一層高齢者率が高い。例えば日本の場合、今調査では85歳以上は男性37.6%、女性62.4%の比率となっている。元々男女比率は成人以降は女性の方が多いのだが、歳を経るに連れ差は開いていく。
従って、どの国でも男性より女性の方が「相方は死去」の回答率が高い。他方、「別居・離婚」の率も男性より女性の方が高い値を示しているが、男性の定年退職と共に女性側から離婚をする「定年離婚」的なケースが、どの国でも一定率存在するということだろうか。
国別では男女ともに日本の同居率の高さが目に留まる。男性に限れば8割以上が相方と同居している。ドイツがやや近い値だが、それでも7割に届かないと比べると大きな違い。日本の平均寿命が長いことと合わせ考えると、国による高齢層におけるライフスタイルの違いが透けて見えてくる。日本の高齢男性は相方の女性に頼りがちとの話もあるが、数字の上ではそれは確かなようだ。
日本において男女合わせた値ではあるが、年齢階層別に見ると次の通りとなる。
回答者は生存している以上、相方が亡くなっている可能性は回答者の歳が上になるほど増加する。60代前半では7.5%のみだった「相方は死去」も85歳以上では半数を超える。見方を変えれば、子供や孫、サポーターが居ない限り、この半数以上の人は一人暮らしをしていることになる。
最後に余談だが、国別・年齢階層別に見た、「結婚経験無し」の人の割合。現在結婚状態に無く、離婚した人では無いことに注意。
中には結婚の経験は無くとも異性と同居・同棲などの経験を有するケースがあることが予想されるが、結婚状態になった経験が無く60歳以上の人は、これだけ居ることになる。アメリカ合衆国とスウェーデンでは1割を超え、日本でも7.5%確認できる。歳を取るに連れて回答率が低下するのは、今は昔と比べて結婚にこだわる人が減っているからなのか(≒今後継続調査をすれば各年齢階層の値は漸次増加していく)、結婚経験が無く同居人が居ない可能性が高い人は死亡リスクが高く、回答に加わる事ができなくなるのか(≒今後継続調査をしても各年齢階層の値は変わらない)、今件調査結果からのみでは推測すら難しい。
少なくとも現状で分かるのは、より年上ほど、結婚未経験の人の割合は少ない事実のみである。
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