パソコンや携帯・固定電話の普及率、新興国の現状を探る
今やネットを使った交流ツールとして必要不可欠な携帯電話だが、元々音声による会話のやりとりを行う固定電話がベース。またネットはかつてはパソコンを用いるのが主流だった。それら端末の新興国における普及状況を、アメリカの調査機関Pew Research Centerが2015年3月に発表した調査報告書「Internet Seen as Positive Influence on Education but Negative on Morality in Emerging and Developing Nations」から探る。
最初に示すのは、回答者の世帯に固定電話があるか否か。整備に多大なリソースが求められるため、電力や水道同様、なかなか浸透しにくいインフラの一つ。昨今では携帯電話の普及に伴い、整備が遅滞、さらには利用率が減退しつつある。
今調査対象母集団国では最大の普及率を示したのはレバノンで79%。同国では携帯電話の普及率は85%、スマートフォンは48%と高い値を示しており、携帯電話への置換が遅れているわけではない。
新興国ではインフラ整備の過程で、固定電話から携帯電話への流れを経ずに、直接携帯電話へショートカットする動きが主流となる新興国の事例も少なくない。同時に高めの値の出ている国も、漸次経年で固定電話の普及率は漸減していることが詳細データから確認できる。
一方その固定電話の代替的存在となる携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方を意味する)だが、大よそ6割以上の国で利用されている。
固定電話の普及状況と見比べると、固定電話の普及率が1ケタ台の国の多くでも、携帯電話が相当率で普及しているのが分かる。電話によるコミュニケーションのスタイルが、先進諸国のように固定電話から携帯電話ではなく、一気に無い状態から携帯電話へ飛んだ、さらには多分に音声からインターネットへジャンプした感はある。
最後に示すのは、回答者の自宅に稼働しているパソコンがあるか否か。ノート・デスクトップの別を問わない。インターネットへのアクセスの是非も設問には無いが、多分にネット接続は可能であると見て良いだろう。なにしろ「現在でも使っている」との前提があるのだから。
アメリカが最多所有率の80%、次いでロシアが78%、チリの72%と続く。報告書によると高所得世帯層、教育水準が高い人ほどパソコンを有している場合が多く、それらの属性の人が多く居る国ほど、結果としてパソコン保有率も高くなると説明している。また新興国では若年層ほどパソコンの保有率が低いのも特徴的。説明は特に成されていないが、日本同様にインターネットの窓口として最初にスマートフォンを手にしてしまうこと、さらにそれなりの投資が必要なため若年層には手が届きにくいのが原因なのだろう。
■関連記事: